ロシアンカーフの靴

こんにちは、Tango245です。
このところブログで、昨今なかなか住みにくい世の中ですが、洋服や靴に関してまだ楽しみが残っているところなので、今後はいわゆるグッドインベストメンツとして、いいもの少しずつ揃えていくというのは如何でしょうか、と言うようなことを書いてきました。その中で究極の3品と称し、前回「ビキューナ100%のコート」、前々回「アイリッシュリネンのスーツ」をご紹介させていただきました。が、今回はその最後、ロシアンカーフの靴について書きます。

店主がロシアンカーフの名前を初めて耳にした(正確には目にした)のはブルータスの英国靴特集号でした。(詳細は各種サイトに譲りますが)「そんな革があったのか」という驚きで、「いつかは買うぞ」とかも(実は)思いませんでしたが、「二度目のロンドン、ロイヤルアーケードのクレバリーで、アタッシュケースを見たとき、感動して思わず買ってしまいました。それ以来一度も使わず同態保存状態なのはご案内の通りですが、このロシアンカーフの鞄もさることながら、「ロシアンカーフの靴」をいつかは持つべき逸品と考えております。当店にも数足在庫があるのですが、独特の模様が歴史的経緯と相まって圧倒的なオーラを放っており、存在感が違います。

ロシアンカーフは「靴には向かない」等のご意見もありますが、どうなんでしょうか。例えば店主の世代、イタリア車へのあこがれは強いものがありましたが、そこは「行ってはいけない領域」とされておりました。無謀にも店主は、マセラッティを購入、その後もテーマ8.32(これが最高でありました。なんせフェラーリのエンジンにポルトローナフラウの内装、しかもセダン)を2台、フェラーリを2台乗り継ぎましたが、行ってはいけないどころか行ってよかったと心から思っています。いろいろと人生を切り開いてくれました。ロシアンカーフが耐久性がなく靴には向かないのは事実かもしれませんが、そんなことは取るに足らない問題(個人の感想です)だと思います。それをいうなら80年代後半のバブル期のフェラーリなんて、耐久性どころかまっすぐ走る個体、もっというとエンジン掛かる個体なんてほとんどありませんでした。それでもフェラーリはフェラーリ、購入した多くの人の人生を切り開いたと思います。耐久性や静寂性、メンテナンス面や各種機能を求めるのであれば、クラウンに乗れば(マッサージもしてくれますし)最高だと思うのですが、クラウン乗って得るものよりフェラーリ乗って得るものの方が俄然大きいと店主は考えております。ロシアンカーフの靴もまさにそうではないかと思っています。実際、毎日履くわけでもありませんし、この靴は、スーツ時よりカジュアルで映えると思います。加えて、あの模様です。仮にクラック等入ったとしてもそれが味に思えるような革ではないでしょうか。今ならフェラーリの何十分の一で手に入ります(何の関係も無いですが)。そもそも靴と思うから機能性、耐久性とかの話になるのでしょう。ロシアンカーフの靴は靴であって靴じゃなく、どうぞ350年の歴史をお履きください。日本なら江戸時代です。余談ですが店主は今まで20足近くロシアンカーフの靴を見ており、そのほとんどがかなり古いものですが、クラックが奥まで入ったのをまだ見たことがありません。

(グリーンランドに対する)アイスランド、朝酒、エレキギター、平日ゴルフ、、、。とかくこの世は「楽しいことは悪いこと」という儒教的バイアスが働いているような気がします。真面目なのか、逆にわざと近寄らせないためなのか、本当のところはどうなんでしょう。性格悪いというか、住みにくい世の中です。そういう儒教的行動規範は他の人に任せておき、クレバリーのロシアンカーフの靴とダブルエックス、コスタンティーノのシャツ、その上にビキューナのコート羽織って、寒くなったら飲みにでも行きませんか。うちのワインを拠出いたします。

ご紹介した究極の品々ですが、当店、ロシアンカーフの靴を5足、ビキューナ100%のコートを6着、在庫しております。ちなみにクレバリーのロシアンカーフ製、未使用アタッシュケースもあります(上記写真)。まあこれだけアホアホな個人商店はなかなかに少ないと思いますので今後ともよろしくお願いいたします。

この3つ(いや4つ)持てば、もう物欲なくなります。あとは彼らに着られないよう仕事頑張りましょう。大丈夫です。彼らがお客様の人生をサポートしてくれます。そしてまた物欲が湧き出した際は、今一度ご相談ください。さらにとっておきのものをご紹介します。大変恐縮ではありますが、当店は不定期営業で、また倉庫や自宅にて保管し店舗にない商品もありますので、原則予約制とさせていただいております。またすでにお買い上げいただいている場合もありますのでお手数おかけしますが、ご来店の際はメールか電話にてご連絡いただきますようお願いいたします。店主の予定がなければ土曜日曜祝日を問わず、また夜間についてもご対応させていただきます。ナポリの名店マリネラを真似てコーヒーをご用意しお待ち申し上げます。よろしくお願いいたします。*当店につきましてはこちらこちらこちらもお読みいただければありがたいです。

 

ビキューナ100%のコート

こんにちは、Tango245です。今回も当店が、「グッドインベストメンツ、究極の3品」の一つとしているビキューナ100%のコートについて書かせていただきます。

ビキューナは、アンデスの女王と言われインカ帝国の王の衣装として使用され、その後は乱獲によって絶滅寸前の状況となり、ペルー政府が1960年代にその保護に乗り出し、現在はロロピアーナが管理し独占的に輸出する権利を持っているとのことです。その結果、今新品のビキューナのコートは、キトン、ロロピアーナで1着数百万、ブリオーニではオーダーのみ対応で1000万となっているらしいです(未確認です)。とにかく高級外車が買えるほど高価です。半額でもおいそれと手が出る金額ではありませんし、実際買ってしまっても、気軽には羽織れませんでしょうし、ほとんどの場合は着こなすどころかコートに着られてしまい、なかなか楽しむところまでは行きにくいと思います。(間違いなく素晴らしいとは思いますが)

 

当店がご紹介したいのはこの数百万円のロロピアーナのビキューナコートではありません(ご安心ください)。新品のコートを着ることほど気恥ずかしいものはありません。コートは、みすぼらしいのはNGですが、いい素材で仕立てた逸品を、親、あるいは祖父から引き継がれた感じで大事にお召しになられているほうが味が出てていいような気がします。それで当店がお勧めしたいのは、ロロピアーナの独占供給前の時代のビキューナ100%のコートです。かなり古くなってしまいますが、ビキューナですから大事にされているものも多く、枯れ感、着古し感がちょうどいい塩梅のものが多いと思います。いわゆるプレーヤーズコンディションというやつでしょうか。もっというとこの頃のビキューナはいわば天然物、一方、今のロロピアーナのビキューナは養殖物ということになります。店主は、すっぽんと真牡蠣以外は天然物のほうが好きなので、当然ビキューナも天然物に惹かれます。有名どころのブランドのタグ付きなら本物でしょうし、価格もロロピアーナの10分の一以下で手に入ります。「天然ビキューナ100%」、温暖化でコートを着る機会も年々少なくなってきていますが、だからこそ逸品を1,2着持ちたいと思います。天然物が絶滅しないうちに是非、抑えてしまってください。

当店その天然ビキューナ100%のコートを6着在庫しております。古いものですが、くすんだ感じやくたびれた感じはありません。加えて専門の業者様に水洗いをお願いしております。カシミアぐらいなら店主が水洗いをしてしまうのですが、さすがにビキューナは怯みまして、専門家に依頼しました。クリーニング代にも怯みましたが、気合いで頑張りました。ぜひ当店にて、プレーヤーズコンディションのビキューナをご体験ください。14,5世紀(日本なら鎌倉、室町時代)に道路網や金属加工、脳外科手術等、高度な文明を成立させたとされるインカ帝国の王の衣装です。

なお大変恐縮ではありますが、当店は不定期営業で、また倉庫や自宅にて保管し店舗にない商品もありますので、原則予約制とさせていただいております。またすでにお買い上げいただいている場合もありますのでお手数おかけしますが、ご来店の際はメールか電話にてご連絡いただきますようお願いいたします。店主の予定がなければ土曜日曜祝日を問わず、また夜間についてもご対応させていただきます。ナポリの名店マリネラを真似てコーヒーをご用意しお待ち申し上げます。よろしくお願いいたします。*当店につきましてはこちらこちらこちらもお読みいただければありがたいです。

 

アイリッシュリネンのスーツ

こんにちは、Tango245です。
これまで、時代や友人、家族に恵まれて、「着道楽」、「食い道楽」、「車道楽」に溺れてきた店主ですが、車と食は先行きに悲観的になってしまっているものの、着道楽についてはまだまだ楽しみがあるんじゃないかと考えていて、いいものを少しずつ揃えてくのは如何でしょうか、それが英国でいうグッドインベストメンツというものでは、というようなことをここ何回かのブログで書かせていただきました。(文章長すぎ)

それで、そのグッドインベストメンツとして、ヘンリープールやアントニオパニコ、ガット、パリロブ、クレバリー、フィノッロ、シニスカルキ等々のサルトや工房を挙げておりますが、さらに突き詰めていくと、上記のサルトや工房製の「アイリッシュリネンのスーツ」、「ビキューナ100%のコート」、「ロシアンカーフの靴」が究極の三品になるかと思っています。それで今回のブログを含め、都合三回でこの三品の自分なりの勝手な解釈を書かせていただこうと考えております。

今回は「アイリッシュリネンのスーツ」です。店主は麻の素材が大好きで、似合いもしないのに性懲りもなく麻のスーツを仕立てたりしてしまいます。麻のシャツは言うに及ばず、下着やハンカチ、枕やベッドカバー、鞄、かつては野球のユニフォームまで麻で作っておりました。基本的に麻なら何でも好きなのですが、別格に好きなのはアイリッシュリネンです。

ですが本物のアイリッシュリネンは絶滅状態で、量産品で謳っているアイリッシュリネンは「なんちゃってアイリッシュリネン」になります。本物のアイリッシュリネンの詳しい解説は各種サイトにお譲りしますが、本物は独特のヌメリ感と肌触りがあり、醸し出される存在感、オーラが圧倒的に違います。当店にも「本物」と「なんちゃって」がそれぞれあり、「なんちゃって」もいいものは単独で見ると悪くないのですが「本物」と比べてしまうと残念ながら負けてしまいます。「知らなければ良かった」の好例であります。それでこの本物のアイリッシュリネンで誂えるビスポークスーツを究極のグッドインベストメンツの一つに考えております。ロットでは絶滅状態ではあるのですが、着分単位程度であれば、時々デッドストックに出会うことができます。まだ買える値段だと思いますので、あれば抑えられた方が、と思っています。

麻は耐久性もありますし、水洗いもできます。経年変化も楽しめます。耐用年数は軽く50年はあると思うので、マージン多めに確保して仕立てておけば、お孫さん、あるいは曾孫さんの代まで引き継げるのではないでしょうか。「この膝のかけはぎは爺のパパが昔ジョージアンクラブというフレンチの階段で滑ったときのものらしい」、「この焼き焦げはおじいちゃんがモナコのカジノで、熱くなってつけてしまったコヒーバじゃ。もう時効じゃ」、「曽おじいちゃんはもったいなくてほとんど着てなかったみたいじゃ。なのでおじいちゃんが着倒していい味出してやったんじゃ」とか。2代3代と物語を紡いでいってください。仕立てはフェリーチェが元気なうちにコスタンティーノにお願いされましたら如何でしょうか。

なお大変恐縮ではありますが、当店は不定期営業で、また倉庫や自宅にて保管し店舗にない商品もありますので、原則予約制とさせていただいております。またすでにお買い上げいただいている場合もありますのでお手数おかけしますが、ご来店の際はメールか電話にてご連絡いただきますようお願いいたします。店主の予定がなければ土曜日曜祝日を問わず、また夜間についてもご対応させていただきます。ナポリの名店マリネラを真似てコーヒーをご用意しお待ち申し上げます。よろしくお願いいたします。*当店につきましてはこちらこちらこちらもお読みいただければありがたいです。

 

 

そういうこと?

こんにちはTango245です。
今回は着道楽について書かせていただきます。食事や車に比べるとまだまだ着道楽の楽しさは残されていると店主は思っています。価格も高騰しているものの、ワインほどではなくて、今ならまだギリギリ手が届く感じで、これからも上昇するなら持っている満足度も高まるというものです。また車は技術革新で現行車が陳腐化していくのに対し、洋服や靴はサイズの問題はありますが丁寧に着れば一生どころか子供や孫の代まで継承していけます。いい素材や職人が少なくなっていく中、今のうちにコツコツと買い揃えていくののも楽しいのではないでしょうか。英国人がよく言う、good investments という奴です。とはいえ高価なものを揃えていくわけですから、むやみに数を増やしたり、中途半端な品で妥協すると結局遠回りになると思います。

店主は高校生の頃から洋服にお金をかけてきました。リアルタイムではありませんでしたが「傷だらけの天使」を再放送で見てメンズビギ(ビッグワンかと思った)を知り、大学生の頃は「赤いカード」にお世話になりながらデザイナーズブランド一色、社会人になると序盤でイタリアブームが起こりアルマーニ、ベルサーチ、フェレの洗礼を受け、それ以降はクラシコイタリアに改心し現在に至る、というお決まりのコースを歩んできました。また仕事柄、「安い、と思うと買ってしまう」、「迷ったら全部買う」プログラムが体内に埋め込まれ、このような状況に至っております。それでも何度かの断捨離のサイクルがありそのたびに処分もしてきましたが、昨年末にそのサイクルを潜り抜けた精鋭たちとともに、店を出すという暴挙を起こしました。ご来店いただいたお客様からは「よくもまあこんなに買いましたね」というお声をいただきます。ですがバックヤードにはまだ相当残っておりますし、それよりも断捨離のサイクルで処分した量はこの何倍もありますので、本当にどうかしていたと思います。「誰にも止められない若さ」って奴だったのでしょう。

ただ後悔はしていないのですが、もう少し効率的であってもよかったと思っています。AIのように行動を最適化する必要はないと思うのですが、あまり回り道をするのも何なので、「程よい無駄使い感」が心地良い、そしてAIに負けない為の「(スイングでいうところの)タメ」になるような気がします。そしてその「タメ」がgood investmentsを生み出す素のような気がします。

それで本題ですが、最近思うことがあります。時折雑誌には、ファッション業界の大御所、気鋭のインタビュー記事が載ります。インタビューが進むにつれ「今日お召のスーツは」となるかと思いますが、少なくない割合で古いスーツが紹介されます。メンズプレシャス誌(読んでます)を遡ると、カルロバルベラ社の2代目ルチアーノ・バルベラ氏は「30年前のカラチェニ」、タイユアタイ出身でフラージシモーネリーギのシモーネ・リーギ氏は「10年以上前に仕立てたキトン」、ロンドンハウスの3代目ルカ・ルビナッチ氏は「2007年に仕立てたスーツ(掲載は2016年春号)」というように、かなり古いスーツを着用され、インタビューに臨まれています。こういった面々がインタビューで奇をてらうことはないと思いますので、普段からそういう古いものを長く着用されているのだと思います。また仕立ては最近でも「生地はイギリスのビンテージ」という例も含めると、ほとんどのインタビューがビンテージ物を着用されているのではないかと思います。実際、リベラーノのアントニオ氏も日本の信濃屋の白井氏や赤峰氏も恐らく同じだと思います。

要するに「そういうこと?」と。大御所の面々は、コート、スーツ、ジャケット、シャツ、靴、鞄等の「体幹」部分は昔の品で押さえ、あとはスパイスで最近のエスプリ効かせている、という話だと思うのですが、何故彼らは新しいスーツを着ないのでしょうか。我々と違い、原価で着れるわけですから値段の問題じゃないと思うのです。それは結局「昔の逸品には勝てない」、「クラシコイタリアの範疇においては流行りは重要ではない」と言うことなのかもしれません。少し前に、「セットアップでジャケットは長年継続でその間パンツを2、3回買い換えるのが、、、」と書きましたが、お歴々と同じような方向性だと思い自信を持ちました。と同時にパンツを買い替えるのはある意味逃げで、逃げているうちはまだまだ甘いのかも、と考えましたが、そうなると「道楽」というよりは単なる「道」になって泥沼に入り、今度は悲壮感も出てくるので、ここは寸止め感覚で、やはり「パンツ買い替え」で行こうと思っております。

それで長く着ることになるので、どこのを買うか、と言う「入口」が非常に重要かと思います。個人的にはコート、スーツは、ヘンリープール、コスタンティーノ、アントニオパニコ、ジャンニカンパーニャあたりを押します。それと、これが大事だと思うのですが、ご本人が現役バリバリだったころのものがいいと思います。その意味では、ヘンリープールは均一性が維持されているのでいつの時代も安心感があるかと思います。シャツは、ターンブル&アッサー、コスタンティーノ、シニスカルキあたりをスーツの地元に合わせるのがいいのではないでしょうか。ミラノならミラノ、ナポリならナポリと、シャツとスーツは地元を合わせておいた方が無難だと思っています。
靴もやはりビスポーク物(とはいえ甲高幅広の足型で作ったビスポークは出来上がりのシェイプが心配なのでそういう足型の人はすでに出来ているビスポーク物)を勧めます。ビスポーク物は革の質感、マージンの削り方が既製品とは違います。経済合理性からいえば、既製品は、在庫リスクがあるので最上級の革は使えませんし機械縫いだと精度の問題でマージンをより多く取らざるを得ません。また重さもビスポーク物は驚くほど軽いです。量産車とレース車両、その辺の時計とリシャールミルぐらい違います。ブランドとしては個人的にロンドンロブ、ジョージクレバリーフォスター&サンパリロブが好きです。また古いもののほうが革の質も職人の腕も高いです。ぜひとも古いビスポーク物をご検討いただきたく存じます。

有難いのは、こういった巨匠物でも現状は、特にプレミアムがついていない点です。それどころか単なる中古品扱いで安価な値段がついています。クレバリーもジョンロブも現行の既製品とビスポークの値段差は(どちらも新品として)3,4倍はあるでしょうか。しかしながらセカンドハンドになると、あまり差はないように感じます。また同じクレバリーのビスポークでも、現行品と古いもの、また古いものでもロイヤルアーケード時の物とコークストリート時の物であまり差はありません。質感や作り込みの凄さは一目瞭然なのにです。個人的には現行品の新品のステファノベーメルより、程度がよければ90年代のユーズドのステファノベーメルのほうが高くてもいいと思っています。

501は時代や仕様によって価値、ひいては価格が細かく細分化されています。マーチンのアコギやフェンダーのストラトキャスターもそうです。価値があるものは現行の新品の何倍から十数倍、物によってはそれ以上の値段がついています。パニコやカンパーニャのビスポークもそうなる可能性は十分にあると思っています。なので単なる中古品程度の扱いがなされているうちに大人買いしておくのはいかがでしょうか。今なら新しく1着ビスポークする値段で数着買えます。「やはり新品が、」というお客様は、ブリオーニやチフォネリパープルレーベルを安く仕入れて、暑い日も雨の日も涼しい顔して着倒すのはどうでしょう。ブリオーニならシャツもブリオーニ(ビンテージならブリーニ)、チフォネリならシャルベ、靴は、ブリオーニなら英国物のビスポーク、チフォネリならパリロブかガットでしょうか。パープルレーベルなら合わせるブランドは幅広いと思います。

 上記の品は全て当店にご用意があります。サイズさえ合えば選り取り見取りなのでお気軽にご連絡ください。なお大変恐縮ではありますが、当店は不定期営業で、また倉庫や自宅にて保管し店舗にない商品もありますので、原則予約制とさせていただいております。またすでにお買い上げいただいている場合もありますのでお手数おかけしますが、ご来店の際はメールか電話にてご連絡いただきますようお願いいたします。店主の予定がなければ土曜日曜祝日を問わず、また夜間についてもご対応させていただきます。ナポリの名店マリネラを真似てコーヒーをご用意しお待ち申し上げます。よろしくお願いいたします。*当店につきましてはこちらこちらこちらもお読みいただければありがたいです。

 

 

食道楽、着道楽、車道楽

こんにちは、Tango245です。
皆様もいくつか道楽をお持ちかと思いますが、店主の場合は、食い道楽、車道楽、着道楽(順不同)になるかと思います。それぞれで家一軒分は浪費しているらしいです。どうかしていましたが時代もそうでした。その時その時で優先順位は変わりますが、優先順位とともに追求の仕方も変わって来てます。無駄の効用もあるとは思いますが、それでも必要以上に散財するよりは有益な投資に回された方がいいとも思いますので、「そういうのもありかな」、「それはないな」、とご参考にしていただければありがたいです。くだらないかもしれませんのでご興味なければ無視してください。

「食」については、最近のお店はほとんど知りませんが都心部の古い有名店はだいたいお邪魔しているはずです。ここ数年、外食がめっきり減りました。きっかけは、ワインが高くなったことと、料理の原価が見えてしまうようになったことです。洋食系は誘われない限りはワイン持ち込み不可な店にはまず行かなくなっていまいました。持ち込み可能であれば、手持ちのワインを抜栓料で飲みながらプロの料理が食べられ一石二鳥ですし、最近はお店の方も高級ワインを在庫するのはキツいと思いますので双方にメリットがあると勝手に思っています。実際、持ち込み可の店も増えているのでありがたいです。(持ち込む際はぜひ当店のロレンツィーのワインケースをご検討ください。)
ですが問題はもう片方で、「これ美味しいけど原価1000円しないな。売値2500円か」、「二人で2万8000円か。日本酒だけで1万超えたな」、これが問題です。ハレの日や、手間暇がかかっている一品、あるいはそこでしか入手できない一品であればもちろん話は別ですが、通常の日、自分でも作れるなと思うと、足が遠のくようになりました。「(2500円あれば)特売なら神戸牛のヒレ250g買えるな。特売してたら家のいいグラスでサッシカイヤでも開けるかな。いやムートン?、何年?」、「(2万8000円あれば)奮発して根津の魚屋さんでお刺身と焼魚とのり弁頼んで、帰りに義侠の慶か久保田の得月を買って帰るべきだったかな」とか考えてしまいます。
また外食の金額を考えれば、野菜を2、3倍する有機野菜に、調味料を数倍する高級品に変えてもお釣りはきます。料理も趣味にすれば結構楽しく、クックパット見ながらやれば素人でも大抵のことはできますので、おすすめです。
とはいうものの、外食が嫌いというわけではないので、ワイン好きのお客様、お買い上げ金額に応じて、店主所有のワインを拠出しますので、その後近所の持ち込み可の店でお食事でもご一緒させていただければと考えています。お気軽に「なんか飲ませろ」とその旨お申し付けください。(写真はチーム1986)

「車」については、通算で20台近く乗り継ぎ、ピーク時は6,7台所有していました。マセラッティやテーマ832からジャガー、フェラーリやロールスを経て(すみません、ポリシーないです)、今は国産のワゴン車一台です。店主の若い頃は、何するにも車はマストで、ローンで購入するもの、中には前の前のローンも払っている猛者もいるくらいでありました。所有した車それぞれに思い出があり、後悔どころか感謝しています。なので最近の車離れは残念だと思っていますが、乗りたい車もめっきり出てこないので、それもしょうがないかなという感じ(選挙に行けと言われても投票したい候補者いないじゃないか、無理やり投票するのはどうなのか、それよりマイナス一票入れられるようにしてくれ、みたいな)です。そんな中、車好きの愛好家を見ると「これからも頑張ってくれ」と言いたくなります。
しかしそんな頑張ってくれている愛好家に試練が訪れています。数年後には、電気自動車やカーシェア、自動運転等の進展で、趣味性を含んでいた自動車がよりコモディティー化してしまう感じです。多分今走っている車には、税金や制度、また部品や修理のメンテ費用等、様々なコストアップやリスクが課せられるのでしょう。つれて、本当に一部の車を覗き、スクラップ台ぐらいの残存価値しか無くなってしまうのではないでしょうか。処理費用取られたら追い金かも、です。「進むも地獄、退くも地獄」の状況、購入を考えている人は何百万も、場合によっては1000万以上払うのが得策かどうか、保有されている人は早く処分するべきなのか、辛い決断を迫られています。突き進む人はそれはそれで潔いと思いますが、より有益な方面に回された方が得策か、とも思います。「趣味に損得関係ないだろう」、そう思いますが、トータルで考えると、、、。店主は、今の国産車にあと10年乗って、余ったお金は違うところに回します。その後、(携帯端末のように)本体代無料のレクサスのEVの自動運転車に乗り換え、お酒飲みながら、ゴルフ旅行に行く予定です。(飲酒運転じゃないですよね。自動運転ですから。)もっとも「1000万? 年間の維持費? はあ? 稼げばいいんだろが」と、こうありたいものですが。

それで本題の「着」ですが、長くなってしまったので、すみません、次回に回させていただきます。なお大変恐縮ではありますが、当店は不定期営業で、また倉庫や自宅にて保管し店舗にない商品もありますので、原則予約制とさせていただいております。またすでにお買い上げいただいている場合もありますのでお手数おかけしますが、ご来店の際はメールか電話にてご連絡いただきますようお願いいたします。店主の予定がなければ土曜日曜祝日を問わず、また夜間についてもご対応させていただきます。ナポリの名店マリネラを真似てコーヒーをご用意しお待ち申し上げます。よろしくお願いいたします。
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デフレと為替

こんにちは、tango245です。
値段の高騰が厳しい昨今ですが、90年代後半までは平和な時代で、ピロッティのスーツやコートが15万、マトッツォのシャツが3万円ぐらいでオーダーでき、フィノッロの8万円のシャツを除けば、カラチェニのスーツもガットの靴も手を出せる価格帯でありました。それで今、「高い、高い、」といっているわけですが、高い理由は、ブランド戦略もさることながら、経済環境による部分の方が大きいのかな、とも思っております。

例えば、ロンドンの地下鉄の初乗りはベタで買うと約5ポンドで、1ポンド150円で計算すると日本円で約750円となります。少し前は1ポンド200円超えていましたから、1,000円を超える計算で、距離によっては日本のタクシーより高いわけであります。実際、前回ロンドンに行った時は、いろいろなものがあまりに高く、「(まるで)息吸ってるだけでお金なくなっていく感覚」で、最終日は夕方の便にもかかわらず、朝から空港のラウンジに逃げ込み、のんびり過ごしました。

ですが、その時、色々と考えました。ロンドンで生活している人々は、(不満はあるかもしれませんが)それで生活できているわけで、裏返せば、物価の高騰に準ずる形でそれなりには収入も上がっているのだろう、と。一方、長年デフレが続いていた日本は、地下鉄料金もほぼ横ばいですが、収入も横ばいで、その結果、「ロンドンの地下鉄1,000円かよ」となるわけであります。仮に物価高騰の差が年3%で30年続けば、高騰分が価格に転嫁されるとすると、価格差は3倍近くになるかと思うので、そう考えると地下鉄1,000円(1ポンド200円の場合)でもそうは驚かなくなります。

店主は、長年「デフレはいいな」と思っていましたが、それ以降、これは非常にまずい状況だと思うようになりました。これまでは趨勢的には円高が続いていたので、この価格転嫁が為替で隠れて推移しておりましたが、アベノミクス以降の円安で、一気に露呈した格好となり、80万円のブリオーニのスーツや100万を軽く超えるロロピアーナのカシミアのコートにびっくりしているのであります。

「じゃあどうするんだ」となりますが、もはや欲しいものは「今のうちに買っておく」ぐらいしか手はないのかもしれません。店主は中長期的には大幅な円安と勝手に考えており、1ドル200円なんて単なる通過点ぐらいにしか考えておりません。今後は欧米の高級品やビスポークなんて「夢のまた夢」になってしまうと思っています。もしかしたら米国の利下げか英国のEU離脱等に絡む局面で、短期的に1ユーロ100円割れ、1ポンド120円とかがあるかもしれませんが、その際は最後のチャンスと考えています。買う予定がなくても外貨(あるいは金利のつく外国債、余裕があれば一部を仮想通貨)に替えておいた方が賢明かと思います(全くもって個人の感想です)。またいい物は買っても損はないと思っております。得るものは大きいですし、数年後、本当に円安になれば、海外で売れば為替だけで元は取れると思います。その頃はebayじゃなくてもヤフオクやメルカリでももっと手軽に海外で売れる時代が来ていると思います。あとはハードル高いですが、仕事頑張って、スーツで90万と言われれば、「そんなもんかな」と感じるぐらいまで稼ぐことでしょうか。(我々が100円ショップやドラックストアで安く買えるとわかっていても普通にコンビニで定価で買ってしまうような感覚ぐらいに。)

大変恐縮ではありますが、当店は不定期営業で、また倉庫や自宅にて保管し店舗にない商品もありますので、原則予約制とさせていただいております。またすでにお買い上げいただいている場合もありますのでお手数おかけしますが、ご来店の際はメールか電話にてご連絡いただきますようお願いいたします。店主の予定がなければ土曜日曜祝日を問わず、また夜間についてもご対応させていただきます。ナポリの名店マリネラを真似てコーヒーをご用意しお待ち申し上げます。よろしくお願いいたします。
*当店につきましてはこちらこちらもお読みいただければありがたいです。

 

 

パンツについて

こんにちはTango245です。
前回シャツについて書かせていただきました。長くなってしまいすみませんでした。今回はパンツについて書かせてください。当店は御案内のように古いものを取り扱っておりまして、スーツも同様です。靴は基本的に古いものほど格好いいと思っておりますが、スーツは、個人の感想ですが、靴とは違い、90年代前半だと少しというか、割と寒いです。むしろ80年代の方がいい感じで、もっと古いもの、フランス製のピエールカルダンとかサンローランに時々格好のいいもの(倉庫にありますので折を見て出します)に出会います。90年代半ば以降は今着ても何ら問題ないと思います。先日、お見えいただいたお客様が、スカルピーノ時代のコスタンティーのや同時期のカンパーニャのスーツをご試着されましたが、上着については最高にかっこよく、スミズーラした当時の店主より似合っていらしゃっていてうれしいやら悲しやらでございました。ただ、パンツについては今となっては少し太く、また長めですが、太いものや長いものを細くや短くはできますし、またパンツは太くなる傾向があるので、「どう調整しましょうか」と、ある意味前向きな悩みでありました。繰り返しますが上着をお召しの感じは本当に美しかったです。

それで思うのですが、上着よりもパンツの方が流行のサイクルが早いんじゃないかと思った次第です。いわば靴の周期がコンドラチェフ、上着の周期がクズネッツかジュグラ―、そしてパンツの周期がキチン、のようなです。そう考えると、(スーツはスーツでもちろんいいのですが)ジャケパンスタイルを意識した方が、(コーディネートという面よりも)時間軸で使い回しがきくんではないかと。ジャケパンで揃え、パンツのトレンドがさすがに変わってきた頃に、ジャケットはそのままで、パンツを買い換える、と。パーマは2回か3回に1回、みたいな。ジャケパンスタイルはこのところ一般的ですし、物理的にもパンツの方が上着より消耗も早いのでこれは一石二鳥な効用があるのではと考えています。

昔はパンツのブランドというと、ロータとインコテックスぐらいでしたが、その後パンタローネが出て、最近はPT01等ブランド数は増えてきております。加えてブリオーニパープルレーベルも単品でパンツを出しており、今は選択の幅はほぼ無限ではないでしょうか。

話は変わりますが、イタリアでコートをオーダーするとスーツより高いと思います。説明は受けるのですが、何回聞いてもおなかに落ちないのですぐ忘れてしまい、未だ不思議に思っています。「(手間として)丈の長いジャケットとどう違うんだろう」、「ジャケット代プラスアルファでは無理なんだろうか」、「もしかして生地代?」等々です。(すみません、無知です。)

それで一番不思議なのが「じゃあパンツの値段ってどうなっているのか」ということです。スーツは上着とパンツの値段の合計ですからジャケットの値段はそれより安いはずで、その合計金額より(丈の長いジャケットみたいな)コート単品の値段の方が高いと。加えてだいたいどこのサルトもパンツは外注のようで、外注ということは、代金をサルトが支払っている(最終的には我々ですが)わけで、本来スーツ価格に占めるパンツは割高になると考えるのが普通、と思います。

ですが「たまにはスーツ注文しろよ」と言われ、付き合いなので「いいよ」と値段聞くと、(高くて)きついので「ジャケットでもいい?」と答えると「いいけどあんまり変わらないよ」と。で、確かにそんなには変わらないし、「別々でも着れるし」とか言われて結局スーツを注文してしまう。そして別々で着ることは一度もないという「スミズーラあるある」も多々ありました。

要するにパンツの値段ってもともと結構安いのではないかと。ナポリの某工房が治安の悪い地区で頑張っているのも、これまでパンツ専業メーカーが少なかったのも、もしかしたらそういう理由なのかもしれません。と思って、あらためて手持ちのパンツを裏返して見てみると、結構やっつけ感否めないと思ったものでした。「アイロンワークでS字を出す」、「後ろ吊って動きを出す」、、、あんまりわかりませんでした。ここ数年、パンツ専業メーカーが増えている(もともとあったんでしょうけど)のは、市場が膨らんで数量出るようになったことと単価が上がりリスクを取れるようになった結果ではないでしょうか。単純な値上げはきついものがありますが、単価が上がったことでこれまでやりたくても出来なかったことが出来るようになったのであれば、それはむしろ大歓迎です。

我々としましては、格好いいパンツを出してくれればありがたいわけです。シャツは直接肌に触れる上、ごまかしが効かないので、いいものを着たいと書きましたが、パンツは、素材も重要ですが、それよりも脚を長く見せてくれたり、ある程度のトレンド感をお願いしたいと思っています。一方で上着に比べ、酷使されますし、トレンドの影響を受けるので、価格にはシビアに行きたいものです。もともと安かったようなのでなおさらです。今スミズーラでパンツ作ると5~10万、既製品だと3~10万ぐらいでしょうか。上の価格帯はなかなか手を出しにくいと思います。当店では、ブリオーニやパープルレーベルの7~10万クラスの仕付け糸の付いた単品パンツ(未使用品)を2万円強でお出ししております。サイズ46、48を中心に20本ぐらいご用意していますので、お試し買い、大人買い、色々とご検討いただき、「パーマは2、3回に1回のジャケパン作戦」をぜひご検討ください。

 

大変恐縮ではありますが、当店は不定期営業で、また倉庫や自宅にて保管し店舗にない商品もありますので、原則予約制とさせていただいております。またすでにお買い上げいただいている場合もありますのでお手数おかけしますが、ご来店の際はメールか電話にてご連絡いただきますようお願いいたします。店主の予定がなければ土曜日曜祝日を問わず、また夜間についてもご対応させていただきます。ナポリの名店マリネラを真似てコーヒーをご用意しお待ち申し上げます。よろしくお願いいたします。
*当店につきましてはこちらこちらこちらもお読みいただければありがたいです。

 

 

シャツについて

こんにちは、Tango245です。
前回のブログでは、春夏物の商品についてご紹介させていただくところを、無謀にも秋冬物について書いてしまいました。ですが、それでも何件かお問い合わせをいただき、本当にありがとうございます。今回も思い切ってカシミア特集でも打とうかと一瞬思いましたがやめておきます。それで遅ればせながら春夏のポロシャツやシャツ、パンツを店頭に出したわけですが、当店にしては未使用品も思ったより多く、このブログに加え、インスタグラムでも順次ご紹介させていただきますので見ていただければありがたいです。ブランドといたしましては、ゼニア、ブリオーニ、ジョンスメドレー、チフォネッリ、ロエベ、ターンブルアッサー、パープルレーベルといったところが未使用品ではまとまってあり、サイズはシャツで38、39あたり、パンツは46、48あたりが中心で、価格もリーズナブルに設定させていただいていると思ってはいます。またユーズドでもよろしければかなりお安く出しているつもりです。

それで今回はシャツについて勝手なことを書かせてください。20年近く前、シニスカルキで生地を選んでいると、誰かの使用人らしき人が麻の白いシャツを10枚ぐらい抱えて修理に持ち込みに入ってきました。襟と袖を交換するのだそうですが、よく考えると、「何で一度に10枚(20枚かも)も修理に出すのか」と。しかも多分ですが全部同じシャツです。少なくとも麻の白いシャツというのは同じです。驚くべきは、それらを修理に出すわけですから実際に擦れるまでよく着こんでいるということです。それで(これが手持ちのすべてではないでしょうから)「一体何枚持っているんや。身体は一つやろう」と。で、どうしたらこのような状況が生まれるのかを考えました。多分ですが、本人は一日に何枚も同じシャツを着替えて(だから枚数がいる)、使用人がその都度洗濯してアイロンをビッチリかける(だから痛む)、ということなのかと思った次第です。なんかこれ、格好良くないですか?使用人を雇うことや1日に数回着替えるのは無理でも、そんな雰囲気、空気感は少し真似て、自己満足を味わうことはできると思っております。

その場合、もちろん主役は自分ですが、シャツ自体の役割は大きく、着心地のいいシャツが大前提になるかと思います。そもそも直接肌に触れる部分ですから、ある意味最も重要なアイテムで、スーツやコート以上に素材の質感や縫製が大事とも言えます。つくりもシンプルでごまかしが効かなく、いわば朝ごはんみたいなもの?でしょうか。

なのでできればいい物を身につけたいですが、マトゥッツォが10万円強、フライがほぼマシンメイドで5,6万円。消費税で国産のシャツが買える値段です。最も重要なアイテムと考えるならばこの価格も納得がいくかもしれませんが、長年着ていると襟や袖の擦れてきますし、スープやソースの汚れ等が付くリスクも大きく、スーツやコートより寿命は大幅に短いと思われます。そう考えると上記のような金額で揃えるのはちょっと厳しいかもしれません。

一方、国産のシャツもいいということなので、店主もアウトレット(定価じゃ買えない)で国産のセレクトショップ物(それでも1万円半ば)に時々手を出したりします。「日本人の体型に合わせて新しく型紙を起こし、、、、」。今度こそと思って買いますが、アウトレットだからかもしれませんが、今のところは後悔ばかりです。居酒屋で苦手なものを、もしかしたら美味しいかも、と注文してやっぱり苦手だった、というようなあの感じです。襟の合わない感じと脇のゴワゴワ感が、、、。まあ「昔のカルロリーバは、、、」とか「今のフライは、、、」とか言って、(値段の面もありますが)今のスミズーラでさえあまり評価していない人間が、普通の生地とマシンの縫製のシャツで満足できるわけはないわけですよね。

なので、サイズが合うお客様は、どうぞ当店の昔のデッドストックを大人買いしてやってください。フィノッロやシモネゴダールといった希少性のあるものを除けば、ターンブル&アッサーやシャルベ、アットリーニ、ゼニア、ブリオーニ等、未使用品を1−3万のタイムマシン価格で出しています。既製品ならネックさえ合えば問題ありませんし、もしそで丈が合えば、シニスカルキやコスタンティーノのバリバリのスミズーラがその値段で手に入ります。イニシャルが入っているものは痛いですが、セータ着ればわかりませんし、見えてもイタリア人のように子供みたいな適当な理由をつければ無問題です。それよりも着て得るものの方が大きいです。がっつり買い込めば、上述のような生活の背中が見えてきます。そしてお仕事頑張っていただき、店主を使用人としてお使いください。

大変恐縮ではありますが、当店は不定期営業で、また倉庫や自宅にて保管し店舗にない商品もありますので、原則予約制とさせていただいております。またすでにお買い上げいただいている場合もありますのでお手数おかけしますが、ご来店の際はメールか電話にてご連絡いただきますようお願いいたします。店主の予定がなければ土曜日曜祝日を問わず、また夜間についてもご対応させていただきます。ナポリの名店マリネラを真似てコーヒーをご用意しお待ち申し上げます。よろしくお願いいたします。
*当店につきましてはこちらこちらこちらもお読みいただければありがたいです。

 

 

 

 

 

衣替え(の前に)

こんにちは、Tango245です。
この連休中に当店、衣替えを行い、冬物のパンツやセーターを一旦しまい、夏物のパンツやシャツ、ポロシャツを出しました。半分無理くりながら、先日、寒くなったのでコートの話を書くや否やのこの暑さで、まさに「洋服あるある」であります。それで夏物のご紹介をしていきたいのですが、そうするとまたまた「洋服あるある」で寒くなりそうなので、秋冬物の最後のご紹介を一回入れさせて下さい。

店主の得意分野はどちらかというとナポリ系クラシコイタリアでそれに英国靴が絡んできます。そんな中、ブリオーニは結構気に入っています。海外ドラマの「SUITS」では、ハービーがトムフォードを着ていて、ルイスがブリオーニでよく茶化されています。ブリオーニの余裕で確信犯なのか、はたまたアメリカではそういう評価なのかはわかりませんが、自分も20年ぐらい前、日本橋三越の(6階ではなく)2階にあった頃は正直「どこがいいんだろう?」、「何でこんな値段?」と思っておりました。既製品ならキトン、アットリーニの時代でありました。当時のブリオーニもなぜかまだありまして、サマーカシミア100%とか生地はいいですけど、(流行りがあるとはいえ)ちょっと厳しいです。ですが最近のものは「迷った時はブリオーニ」、「ブリオーニ着ていれば、間違いないだろう」という感じであります。日頃は「昔のものは作りが違う」だの「今のものは縫製が簡略化」だの、いろいろと言っておりますが、ブリオーニは今のほうが全然いいです。個人的には、ハービーが着ているシングルのピークド(の3ピース)ならブリオーニのほうが無難かと思います。

とはいえ難点はその価格で、無難どころかスーツで60~90万ぐらいします。消費税だけで、安いスーツが買える価格帯であります。半額(30~45万円)で買えたとしても、ほぼスミズーラのスーツの価格帯ですから強烈です。なかなかに敷居が高いです。

ということで当店、仕付け糸がまだ付いた状態の秋冬物の新品未使用のブリオーニのスーツを3点限りですが定価の半額の半額(75%オフ)、16~18万円でお出しします。サイズはすべて46です。オーソドックスな紺で織が入った2ピースと少し光沢のあるスーパー160の3ピース、そしてスーパー170&シルクのグレンチェックが薄く入ったダブルの2ピースです。ブリオーニですと、サイズ50の茶の革のブルゾンとサイズ46の生成り色のスエードのショートコート(ロングジャケット?)をそれぞれ10万円(半額の半額以下)でお出します。どちらも新品未使用です。

ブリオーニ以外では、ボッテガのカシミア100%のダブルのチェスターコート、黒のダブルのカシミア100%のスーツがどちらも新品未使用(サイズ44)でそれぞれ15万円でお出します。あと定価30万円超のチフォネリの茶系のジャケット(新品未使用、サイズ44,46,48)をこれも9万円でお出します。ボッテガのカシミア最高ですし、チフォネリはウールのパンツはもちろんデニムとの相性も良く、また流行に左右されず長くお召しになれそうです。どれもサイズが合えば相当お買い得とは思います。今ならいろいろお選びいただけますのでご検討の程お願いいたします。(売れ残れば今年の秋に自分が着ることにします。)

大変恐縮ではありますが、当店は不定期営業で、また倉庫や自宅にて保管し店舗にない商品もありますので、原則予約制とさせていただいております。またすでにお買い上げいただいている場合もありますのでお手数おかけしますが、ご来店の際はメールか電話にてご連絡いただきますようお願いいたします。店主の予定がなければ土曜日曜祝日を問わず、また夜間についてもご対応させていただきます。ナポリの名店マリネラを真似てコーヒーをご用意しお待ち申し上げます。よろしくお願いいたします。
*当店につきましてはこちらこちらこちらもお読みいただければありがたいです。

 

 

 

 

だからどうした

こんにちは、Tango245です。
サイバーエージェントの藤田氏の著書に、「当社がまだ黎明期だったころ、当時付き合いのあった堀江さん(ホリエモン)の会社にシステム開発を依頼した際、堀江さん本人にプログラミングを頼むと割増料金を請求されまして、、、」というようなお話が書かれていた記憶があります。「僕がやるんだから高いのあたりまえでしょう」と言われたと。(すみません、うる憶えです。)プログラミングはその人のセンスが出るので、「動けばいいだろう」というプログラミングと、美しいとまでは言わなくてもメンテ等で使い勝手まで考えてくれたプログラミングとでは後者のほうがありがたいです。

靴やスーツのビスポークも、できればブランドやサルトを立ち上げた本人にお願いしたいものです。本人じゃなくても本人が職人に厳しい目を光らせている状況でお願いしたいものです。逝去されたり、逝去されていないまでも引退して好々爺な感じではやはり残念です。例えば当店にはクレバリーのビスポークが、コークストリートにあった頃の品、一度閉店しロイヤルアーケードにて再開した頃の品、2001年に自分がビスポークした品、割と最近のビスポークと何足かありますが、古い品ほど美しいと思います。昔のものはどこかオーラがあります。ブルースを感じます。クレバリーが現役だった時代、彼がカネラとグラスゴーを鍛えていた時代、二人が再度立ち上げた頃の時代のものは真剣さが違っていたのではないでしょうか。

1999年、スミズーラのスーツを受け取りに行ったアントニオパニコのアトリエで、完成した品を着てみると、なぜか1着だけ首から肩のあたりが少しよろしくないようで、それまでにこやかにコーヒーを飲んでいたパニコ氏がいきなり職人を呼びつけて厳しく指示を出し、「申し訳ないがもう一回来てくれ」といわれ、お詫びなのかどうなのか、結構大きいナポリのオレンジピールの入ったチョコレート缶(日本なら2万円ぐらいするようなの)がホテルに届きました。それで半年後もう一回引き取りに行きました。のんびりした古き良き時代です。

ジャンニカンパーニャのアトリエでは、本人にサンプルを着せていただき、ここはこうで、ここはこうで、と説明を受けながら針打ってもらって、これで完璧ということで、そのサンプルを直してもらって結局結構な値段で購入させていただきました。「スミズーラとそんなに変わらない値段じゃないか」というと「スミズーラより手間がかかってしまったじゃないか」と返されました。

アルノ川を渡って二本目ぐらいの路地にあった頃のステファノベーメルの小さい工房では、仕事中の本人がエプロン姿で出てきて対応してくれました(これも確か1999年かと)。店頭にあったコンビのゴルフシューズのサンプルが格好良くて、サイズもあっていたので、それを購入し、それとともに同じ型、配色でフルグローブをスミズーラしました。あの大きな木の箱に、メンテ道具も一式入れてくれ、メンテの方法まで本人から教わるとは思いませんでした。

孤高のシャツ工房フィノッロはジェノバにあるわけですが、(今はわかりませんが)二回目以降はミラノまで出向いてくれ、カラチェニにて、採寸や仮縫い、納品の対応をしてくれました。ジェノバのシャツの工房がミラノのカラチェニで採寸というのもすごいですが、当時でも一枚8万円ぐらいしておりました。コスタンティーノ(当時のブランド名はスカルピーノ、製作はロンバルディ)で作って2万円、マトッツォで作って3万円の時代ですから、今、日本だと30万円級のシャツ(3枚頼むと税込み100万?)ということになりますからすごいシャツです。それで、採寸とか一通り終わると、「好きなネクタイ持っていけ」と20‐30本見せてもらい、「じゃあこれで」と一本選ぶとこちらのセンスが悪かったのか「これも持って行け」ともう一本追加してくれました。

このように当時は品物にご本人の手が入っているいい時代でした。堀江氏の感覚なら、割増料金どころか2、3倍ぐらい請求されてもおかしくないかもしれません。2年ぐらい前の雑誌で、キトンの職人の平均年齢が38歳で2000年頃の58歳からかなり若返ったと紹介されていました。この記事についての店主の感想は「あのころのキトンは確かに良かったな」であります。当時はインコテックスはまだイタリア製、フライのボタンホールもまだ手縫いの品がありました。イタリア製といってもタグ付けだけかもしれませんし、ボタンホール手縫いだからといって着心地が大きく変わるわけではありません。昔の話をツラツラと書いても「だからどうした?、それがどうした?」ですが、どうせ着るなら、ストーリーや思い入れのある少数精鋭で行きたいと思っています。身体は一つ、スーツやシャツを何着も同時には着ませんから。

 

大変恐縮ではありますが、当店は不定期営業で、また倉庫や自宅にて保管し店舗にない商品もありますので、原則予約制とさせていただいております。またすでにお買い上げいただいている場合もありますのでお手数おかけしますが、ご来店の際はメールか電話にてご連絡いただきますようお願いいたします。店主の予定がなければ土曜日曜祝日を問わず、また夜間についてもご対応させていただきます。ナポリの名店マリネラを真似てコーヒーをご用意しお待ち申し上げます。よろしくお願いいたします。*当店につきましてはこちらこちらこちらもお読みいただければありがたいです。