デフレと為替

こんにちは、tango245です。
値段の高騰が厳しい昨今ですが、90年代後半までは平和な時代で、ピロッティのスーツやコートが15万、マトッツォのシャツが3万円ぐらいでオーダーでき、フィノッロの8万円のシャツを除けば、カラチェニのスーツもガットの靴も手を出せる価格帯でありました。それで今、「高い、高い、」といっているわけですが、高い理由は、ブランド戦略もさることながら、経済環境による部分の方が大きいのかな、とも思っております。

例えば、ロンドンの地下鉄の初乗りはベタで買うと約5ポンドで、1ポンド150円で計算すると日本円で約750円となります。少し前は1ポンド200円超えていましたから、1,000円を超える計算で、距離によっては日本のタクシーより高いわけであります。実際、前回ロンドンに行った時は、いろいろなものがあまりに高く、「(まるで)息吸ってるだけでお金なくなっていく感覚」で、最終日は夕方の便にもかかわらず、朝から空港のラウンジに逃げ込み、のんびり過ごしました。

ですが、その時、色々と考えました。ロンドンで生活している人々は、(不満はあるかもしれませんが)それで生活できているわけで、裏返せば、物価の高騰に準ずる形でそれなりには収入も上がっているのだろう、と。一方、長年デフレが続いていた日本は、地下鉄料金もほぼ横ばいですが、収入も横ばいで、その結果、「ロンドンの地下鉄1,000円かよ」となるわけであります。仮に物価高騰の差が年3%で30年続けば、高騰分が価格に転嫁されるとすると、価格差は3倍近くになるかと思うので、そう考えると地下鉄1,000円(1ポンド200円の場合)でもそうは驚かなくなります。

店主は、長年「デフレはいいな」と思っていましたが、それ以降、これは非常にまずい状況だと思うようになりました。これまでは趨勢的には円高が続いていたので、この価格転嫁が為替で隠れて推移しておりましたが、アベノミクス以降の円安で、一気に露呈した格好となり、80万円のブリオーニのスーツや100万を軽く超えるロロピアーナのカシミアのコートにびっくりしているのであります。

「じゃあどうするんだ」となりますが、もはや欲しいものは「今のうちに買っておく」ぐらいしか手はないのかもしれません。店主は中長期的には大幅な円安と勝手に考えており、1ドル200円なんて単なる通過点ぐらいにしか考えておりません。今後は欧米の高級品やビスポークなんて「夢のまた夢」になってしまうと思っています。もしかしたら米国の利下げか英国のEU離脱等に絡む局面で、短期的に1ユーロ100円割れ、1ポンド120円とかがあるかもしれませんが、その際は最後のチャンスと考えています。買う予定がなくても外貨(あるいは金利のつく外国債、余裕があれば一部を仮想通貨)に替えておいた方が賢明かと思います(全くもって個人の感想です)。またいい物は買っても損はないと思っております。得るものは大きいですし、数年後、本当に円安になれば、海外で売れば為替だけで元は取れると思います。その頃はebayじゃなくてもヤフオクやメルカリでももっと手軽に海外で売れる時代が来ていると思います。あとはハードル高いですが、仕事頑張って、スーツで90万と言われれば、「そんなもんかな」と感じるぐらいまで稼ぐことでしょうか。(我々が100円ショップやドラックストアで安く買えるとわかっていても普通にコンビニで定価で買ってしまうような感覚ぐらいに。)

大変恐縮ではありますが、当店は不定期営業で、また倉庫や自宅にて保管し店舗にない商品もありますので、原則予約制とさせていただいております。またすでにお買い上げいただいている場合もありますのでお手数おかけしますが、ご来店の際はメールか電話にてご連絡いただきますようお願いいたします。店主の予定がなければ土曜日曜祝日を問わず、また夜間についてもご対応させていただきます。ナポリの名店マリネラを真似てコーヒーをご用意しお待ち申し上げます。よろしくお願いいたします。
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