袖裏の話

こんにちは、Tango245です。
先日袖裏の話をしていますが、もう少し書かせていただきます。袖裏はフランス物は裏地と同じ色の無地が多く、イタリア物はクリーム地に黒のピンストライプと黄色の太いストライプ等のシャツストライプが多く、イギリス物は白地にブルー系が束なったピンストライプというのが一般的かと思います。それでイタリア物によくある黄色が混ざったのは、結構人気があるように感じます。

スーツをオーダーしだすと一回は裏地に凝るようになりますよね。先日のパニコの袖裏も、これまで見たことがなかったので、常備しているというよりオーダー主が持ち込んだんじゃないかと思われます。それでポリエステルよりキュプラ、キュプラよりシルクをと、奥様が使わなくなったエルメスのスカーフ等はお約束であります。ポリエステルはイメージが悪く、実際吸水性もないのでキュプラを選びがちですが、発色や柄的にはポリエステルの方が鮮明に出しやすいのでなかなか捨てがたく、悪いイメージと狭間で悩ましいものがあります。

また、裏地の持込みを受けてくれるところは割と少なく、また受けてくれても結構な量が必要でスカーフ3枚とか言われると怯みます。背抜きも総裏もほとんど変わらないのは不思議で、まあテーラーさんがその裏地を欲しい訳でもないと思いますので、実際それぐらい必要なのだとは思いますが、歩留まりは非常に悪い感じです。

それでそんなこんなで結構なコストと手間がかかってしまうのと、やっていてもなんか飽きてくるので、1周するとお任せになるわけです。またコスト面から持込みも袖裏までは持ち込まず、実際イタリアのあのストライプがいい感じなので、あまり気にしないのが通常だと思います。

ですが稀に何とも言えない袖裏に出くわします。先日のパニコがそうです。袖裏単品でもいい感じなのですが、背裏との相性がこれまた逸脱で、こういうのを見ると昔のムシが疼きます。また当時は袖裏まではやっていなかったのがその気持ちを掻き立てます。当店在庫を見返しましたところ、1社、かなり袖裏に気持ちが入っていると思われるところがありました(個人の感想です)。まさに神は細部に宿るという感じで、さすがです。

ということで、店主が欲しいものは作ってしまうという悪い癖のある当店、袖裏も作ることにしました。実は一回作っているのですが、「こんな感じ?」で、割とふわっと作ってしまい、まあこれはこれで悪くはないのですが魂が足りていませんでした。次回はガチなやつを2,3種類作る予定であります。

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