シャー少佐

こんにちは、Tango245です。
昔の話ですが、イタリアに行くと、よくイタリア人から「お前らがよく食べている、あの黒い塊はなんだ?」と聞かれました。初めはなにを聞かれているかわからなかったのですが、どうもおにぎりのことのようで、それをアニメでよく見るとのことでありました。「それはお米と海苔と具で作ったパニーニみたいなもんで、黒いのは海藻を乾燥させて巻いてんだよ。日本人のソウルフードで、子供から政治家まで、普段もそうだけど、大事な時はこれ食べて気合い入れるんや」と説明しておりました。イタリア人は、なんか海苔の黒いのが気持ち悪いとか何とか言っておりました。フィンランドが舞台の映画「かもめ食堂」でも食堂のメインディッシュであるおにぎりはなかなかに苦戦をしています。

当時イタリアでは日本のアニメはしょっちゅう放映されていて、店主も現地で「赤き血のイレブン」を見て驚きましたし、知り合いの通訳は「うる星やつら」で日本語を勉強したといっておりました。日本を代表するアニメのうちの一つといえば「機動戦士ガンダム」、そのなかで主人公に勝るとも劣らない人気を誇るのが「赤い彗星、シャー」ということになる(個人の感想です)かと思います。このシャー少佐の本名は別にあるらしいのですが、この「シャー・アズナブル」、フランスを代表する歌手「シャルル・アズナブール」から来ているとウキペディアには書かれております。

それでこのシャルル・アズナブール、ご用達のサルトが、今は亡き、MAX・ EVZELINE(マックス・エブゼリン)であります。なのでここのスーツは赤いモビルスーツみたいなもん?です。またシャー少佐のほかにも、セルジュ・ゲンズブールもここのお得意さんだったようです。ゲンズブールといえば、あのジェーン・バーキンやブリジット・バルドー、カトリーヌ・ドヌーブ等、数々の美女と浮名を流し、「ジェーン・バーキンのどこが好きか」と聞かれ、「彼女の心の中にいる俺」と答えた、稀代の遊び人であります。フランスのビスポークスーツでは、どちらかというとですが、堅い感じの政治家やCEOはカンプスやスマルト、着道楽はチフォネリかアルニス、それが振りきるとここという棲み分けだそうです。

そんな、エブゼリンの82年製のカシミア100%のコートがフランスの細いルートから入荷しました。もちろんビスポークです。当時の価格が2ピースのスーツで通常グレードの生地で5万フラン。82年当時(バブルの前ですね)フランスフランは1フラン40円なので、当時でなんと200万、パニコのスーツが当時15万で作れたと思うので、話半分としても、もはや雲上中の雲上サルトになるかと思います。80年代半ばから円高が進んだ後、ユーロが導入され一気に反転、その後も日本はデフレ、欧州は緩いインフレ傾向で、今の価格に換算するのは容易ではありませんが、為替が円高でトータル半分、価格上昇が40年で3倍(実際は多分もっと)とすると、現存していたとしてもとても手が出ない金額になります。まあ赤い彗星のモビルスーツですから当たり前かもしれません。そのフランス人によると、クロード・ルソーとここが(「究極の三品」ならぬ)「究極の二品」と申しておりました(当店ルソーのスーツも在庫しております)。今回の商品はコートでしかもカシミア100%です。赤い彗星ファンの皆様にはマストアイテム、 アズナブール、ゲンズブールのファンの皆様もぜひよろしくお願いいたします。今年の冬は、そんな歴史を感じながら、このコートの襟を立てて、バーキン持ったパートナーとアズナブールを聞きながら、ゲンズブールになりきってお過ごしください。ちなみにサイズは44相当になるかと思います。

大変恐縮ではありますが、当店、クレジトカードに対応できておらず、もし何かお買い上げいただける場合は現金決済となってしまいます。ご不便おかけいたしますがご容赦いただきますようお願い申し上げます。また不定期営業であり、倉庫や自宅にて保管し店舗にない商品もありますので、原則予約制とさせていただいております。すでにお買い上げいただいている場合もありますのでお手数おかけしますが、ご来店の際はメールか電話にてご連絡いただきますようお願いいたします。店主の予定がなければ土曜日曜祝日を問わず、また夜間についてもご対応させていただきます。ナポリの名店マリネラを真似てコーヒーをご用意しお待ち申し上げます。よろしくお願いいたします。*当店につきましてはこちらこちらも読みいただければありがたいです。

 

カールフロイデンブブルグ

こんにちは、Tango245です。
最近、カールフロイデンブルグの問い合わせを、ポツポツいただきます。「なんであるんスか?」、「革のみで売ってもらえませんか?」、「そんな古い革で大丈夫ですか?」等々です。「当店、別注靴用にカールフロイデンブルグを在庫しております」とインスタグラムやブログにて書かせていただいた関係からかと思います。

カールフロイデンブルグは、ドイツのタンナーでボックスカーフが有名ですが、環境規制があって2000年頃に廃業してしまった企業であります。個人的には数年前という感じですが、かれこれ20年が経過しているとは、光陰矢の如しであります。昔の雑誌でタンナーの紹介記事が時々ありましたが、カーフでは、カールフロイデンブルグがやはり別格で、他は1ノッチか2ノッチ落ちるというような感じを、当時、その行間から受けたものです。同社は、品質を維持すると環境規制には適応できないということで廃業されたという、いかにも我々が感じる、ドイツの原理主義的決断を選択されたわけでありますが、その一徹さが、製品の品質を担保してくれているようで、今の時代、逆に安心感があります。また、一枚革の状態で見ると、(もちろん上質ではありますが)それほどの雲上感はなく、「まあこんなもんなんかな」という感じでもあるのですが、製品になって磨くとやはり雲上です。店主は、靴磨きに関して素人ですし、ワックスは使わないのですが、それでも差は歴然です。

最近は世界的に環境面の規制が厳しいようで、多くのタンナーが廃業しているようです。環境規制は域内で一律か少なくとも同一国内では一律のはずなので、規制をクリアーしながら、品質を維持するのは、孤高の存在のカールフロイデンブルグができなかったわけですから、他のタンナーもそう簡単ではないと思われます。カールフロイデンブルグから派生したタンナーもありますが、品質が担保できるのなら何も本家が廃業する必要はないわけですし、規制のない(なかった)よその国で始めるのも「何だかな感」があり、突き詰めていくとなかなか難しい問題があるように感じます。当時規制がなかった国でも、その後約20年経っているわけですから、それなりに強化されているのではないかと思います。(未確認です。)

また製造工程もさることながら、素材の枯渇も深刻だと思います。一昔前は、車の本革シートは、標準装備は外車の超高級車に限られ、高級車でもオプション設定でありました。それがいつの頃からか、国産の中級車でも上級グレードで標準装備されたりし、家具にも頻繁に使われるようになりました。これが中国や東南アジア諸国の生活水準の向上と相まって、需要は増大しておりますので、これもなかなかに難しい問題であります。某大手自動車メーカーは、革シート用に牧場?を運営しているという話も聞いたことがあります(未確認です)。資本の論理から言って、自動車メーカーが乗り出して来ていると、ビスポークシューズ業界どころかシューズ業界にとって、質よりもまず量の確保が先決といったレベルになるのではないか、とも思います。

別に店主がこういったお話をするまでもなく、皆様もすでにモヤモヤと思っていらっしゃるので、カールフロイデンブルグについてのお問い合わせをいただけているのかもしれません。すでに数をお持ちのお客様は、せっかく作るならカールフロイデンブルグを、ということなのかもしれません。20年近く、あるいはそれ以上経っていて耐久性のご心配もあるかもしれませんが、それにつきましては70年代のビスポークシューズを、使用頻度が同等の現行の上級ブランドと比べてみると、よくわかります。どれくらい履くかにもよりますが、20年前のデッドストックの革で作ってもそれからお孫さんの代ぐらいまでは多分大丈夫なんじゃないでしょうか。(未確認です)

今は有名どころの工房さんでも、お手持ちの在庫が減ってきているようで、中でもブラックは絶滅寸前とも聞いております。幸い当店には、ダークブラウン、ワイン、ブラックと微妙な違いを含め、まだまだ相応の在庫がありますので、ご検討の一つにでもお考えいただければと存じます。また別注靴のほか、同社の革を使用したベルトや財布の既製品も結構在庫しております。ベルトはロシアンカーフの時と同様、長めのサイズをご用意しておりますので、キーリングや靴ベラ、場合によっては時計のベルトにも応用可能かと思います。併せてご検討いただければ幸いです。

大変恐縮ではありますが、当店、クレジトカードに対応できておらず、もし何かお買い上げいただける場合は現金決済となってしまいます。ご不便おかけいたしますがご容赦いただきますようお願い申し上げます。また不定期営業であり、倉庫や自宅にて保管し店舗にない商品もありますので、原則予約制とさせていただいております。すでにお買い上げいただいている場合もありますのでお手数おかけしますが、ご来店の際はメールか電話にてご連絡いただきますようお願いいたします。店主の予定がなければ土曜日曜祝日を問わず、また夜間についてもご対応させていただきます。ナポリの名店マリネラを真似てコーヒーをご用意しお待ち申し上げます。よろしくお願いいたします。*当店につきましてはこちらこちらも読みいただければありがたいです。

 

8相当と、大きいガット

こんにちは、Tango245です。
ロンドンとかですとヴィンテージショップがいくつもあり、割と分厚いユーズドのマーケットが形成されておりますし、パリとかもロンドンに準じる形かと思いますが、イタリアでヴィンテージショップというのは、自分が知らないだけかもしれませんが、あまり聞いたことがありません。かつてキトンやアットリーニが数万円半ばでザクザクしていた、ミラノのイルサルバジェンテ等のストッキスタは昔かなりお世話になりましたが、そういった新品既製品ではなくて、イタリアの富裕層が過去に仕立てた、カラチェニやパニコ、ガットやマリーニといったスミズーラはいったいどうなってしまっているのでしょうか。祖父や親父さんが定期的に仕立ててきたものの、本人は一度も履かないうちに、ご子息に流れ、そのご子息は興味がなかったりサイズが合わなかったりで、そのままになっている逸品が、イタリアのあちらこちらに大量に埋まっているような気がしております。

とはいえ、イタリアンルートの開拓は、なかなかに手強そうで、当該商品もさることながら、決済、物流等、段階ごとに地雷が埋まっている感じがあります。マスでご商売されるセレクトショップさんなんかは、楽しいお話もたくさんお持ちの一方で、笑えない話の一つや二つ、墓場まで持っていく話の一つや二つは、きっとあるのではないでしょうか。当店規模ですと、人的つながりをもとに、ごく少数、スポットでお付き合いさせていただく程度で、少し前に「フランスの細いルート」として、マニアックな友人をご紹介させていただきましたが、イタリアもそんな感じで細いルートで現在はやらせていただいております。

幸い今のところ大きなトラブルにあったことはありません。どこの国でも人それぞれというか、ちゃんとしている人はちゃんとしているわけで、イメージや言われている国民性で判断するのはよくないのかもしれません。実際、店主もイタリア人から「お前みたいな怠け者の日本人は今まで見たことがない」と結構言われ、イタリア人に言われたくない気もしますが、人の評価は正しいのでしょうがありません。(ですが「やるときはやる」気でおります)。「日本人とドイツ人は似ている」と言われますが、「日本人が似ているのは、ドイツ人よりイタリア人」と思っているのは自分だけなのかもしれません。

ちなみに英国なんかはのんびりしていて、2ケ月経っても音沙汰なく、問い合わせると「もう送った」といわれる一方、物流会社の追跡サイトでは、一度も更新されなかったりで、結局半年ぐらいたって忘れていたころにいきなり届いたりします。半年間も放置されたにもかかわらず紛失しないで届くというのは、逆にというか、さすが大英帝国、すごいのかもしれません。

そんなこんなですが、当店といたしましては、今のような感じでもいいのですが、逸品がかなり眠っているにちがいないイタリア、できればそこで太いルートを2,3本開拓できないかな、とも考えている今日この頃であります。

ということで、本題ですが、まだブログやインスタグラムに載せていなかった、イタリア物をご紹介させていただきます。今は亡きローマの銘店ガットのスミズーラです。ガットにつきましては、ほかの人のサイトでの解説にお譲りするといたしまして、当店、現状10足強、在庫しております。超絶素材品や未使用品もありますが、今回ご紹介したいのは、お値段抑え目のいわゆるプレーヤーズコンディションの物で、おそらく同じ人がオーダーしたと思われるものが数品あります。アウトソール、アッパーにはそれなりの使用跡はあるものの、インソールの状態が非常に綺麗で、オーダー主のお人柄が想像できます。こういう人がオーダーされたお品はいろいろな意味でお薦めできるのであります。色やタイプも選べますので、サイズ(大きめの8相当)が合いそうなお客様、ご検討いただければ幸いです。また、これらとは別に黒の大きいサイズ(アウトソールで33㎝強)の内羽根フルブローグが1足あります。普段サイズがなかなか無くてお悩みのお客様いらっしゃいましたら、こちらもぜひよろしくお願いいたします。

大変恐縮ではありますが、当店、クレジトカードに対応できておらず、もし何かお買い上げいただける場合は現金決済となってしまいます。ご不便おかけいたしますがご容赦いただきますようお願い申し上げます。また不定期営業であり、倉庫や自宅にて保管し店舗にない商品もありますので、原則予約制とさせていただいております。すでにお買い上げいただいている場合もありますのでお手数おかけしますが、ご来店の際はメールか電話にてご連絡いただきますようお願いいたします。店主の予定がなければ土曜日曜祝日を問わず、また夜間についてもご対応させていただきます。ナポリの名店マリネラを真似てコーヒーをご用意しお待ち申し上げます。よろしくお願いいたします。*当店につきましてはこちらこちらも読みいただければありがたいです。

 

 

手縫いのシャツとキトン

こんにちは、Tango245です。
当店、少し前から別注品の企画を始め、日本の若い職人さんと世界を目指し、現在、スーツ、靴、ネクタイを展開させていただいております。当然シャツも出したいのですが、なかなかにこれが苦戦しております。スーツや靴の世界では、国内海外で、多くの日本人の職人の皆様が修行されており、すでに高い評価を受けられている職人さんもいらっしゃいますし、元々、手縫いの文化もあります。ですがシャツの場合は、ナポリのような手縫いの文化はないようで、日本では特にマシンメイドの大量生産品が主流のようなのであります。

別にマシンメイドが悪いと言うわけではないのですが、当店、「手縫い」と言う物作りに注力しており、そこに、雰囲気とともに、着やすさ、動きやすさの多くの部分を依存しているわけであります。それで、スーツを手縫いで展開している一方で、肌に直接触れる部分の、ある意味、着やすさ、動きやすさを、より重要視しなければならないはずのシャツがマシンメイドでいいのなら、スーツもミシンでいいじゃないか、となってしまいます。当然そんなことはありませんでして、手縫いのスーツの着心地が実際いいように、手縫いのシャツの着心地もスーツに勝るとも劣らない感じで違ってきます。

ですので、できれば別注スーツ同様、ミシンを一切使わない完全ハンドメイドも目指す一方で、どんなに日和っても、襟付け、袖付け、ボタンホールは手縫いで出したいと考えており、落とし所は20年以上前のロンバルディの上級グレードと考えております。ただ手縫いでシャツを作っていただける職人さんにはまだ巡り会えてない状況であります。

価格もネックです。シャツも、自宅で少しだけ気を付けて洗えば、洗濯機でも耐久性は20−30年いけると思います。実際、店主も20年以上着ているシャツもあります。月2回着用したとして年24回、20年以上なら通算500回、話半分としても200回以上着用している計算になりますが、まだまだ現役バリバリです。ですがこれは耐久性の問題で、実際は、トマトソースや赤ワイン等、日常生活には危険がいっぱいですので、そのリスクを考えると出せる金額には限度が出てくるかと思います。当店では、一枚5万円台がとりあえずの限度、実際は上述の落とし所のロンバルディグレードを3万円台で出したいと考えていて、仮に職人さんがいらっしゃっても値段的に合わないという構造問題も抱えております。

とはいえ我々世界を目指しておりますので、少しも諦めてはおらず、これからも職人さんを日本中、地の果てまで探し続けます。元ネタはこちらにありますのでスキルを持っていてさえくれれば物は出せると思っています。価格面も、世界をベースに考えれば、一枚10万円以上出せるお客様も数多くいらっしゃいますし、為替が1ドル150円とか180円になれば一気に採算に乗ってきますので、先行きは比較的ですが楽観的に考えております。(国内生産ですので為替変動しても国内価格はもちろん据え置きです。)

一方で当面、当店の別注スーツに合わせるプレーンなシャツをどうするか問題に対し、とりあえずは「キトン」かなと考えており、同ブランドの白とライトブルーのシャツをご提供しております。キトンというと、スーツ一声1着100万円、ビキューナのコートだと数百万円級の、もはや雲上価格のブランドですが、シャツはプレーンな無地モノでも6万円弱の価格設定(税前)となっています。高いは高いですがスーツ対比では、ちょっとお得感があり、そのうち価格改定あるかも、です。実際セカンドラインもある中、キトンのロゴがつくわけですから同ブランドのスーツに合わせるのを想定し、それに見合った生地や縫製がされています。ハンド比率も当然高く、昔のロンバルディーグレードとはいきませんが、それでも既製品では手縫い比率は現状で最高水準、一方で価格はギリセーフの水準に止まっており、別注シャツができるまではお勧めしております。直営の路面店でご購入いただいても構いませんし、当店もイタリアの細いルートから時々仕入れており、数は限られますが、3万円台でお出ししておりますので、ご検討頂ければ幸甚です。

大変恐縮ではありますが、当店、クレジトカードに対応できておらず、もし何かお買い上げいただける場合は現金決済となってしまいます。ご不便おかけいたしますがご容赦いただきますようお願い申し上げます。また不定期営業であり、倉庫や自宅にて保管し店舗にない商品もありますので、原則予約制とさせていただいております。すでにお買い上げいただいている場合もありますのでお手数おかけしますが、ご来店の際はメールか電話にてご連絡いただきますようお願いいたします。店主の予定がなければ土曜日曜祝日を問わず、また夜間についてもご対応させていただきます。ナポリの名店マリネラを真似てコーヒーをご用意しお待ち申し上げます。よろしくお願いいたします。*当店につきましてはこちらこちらも読みいただければありがたいです。

 

 

 

FORZA STYLEさんから

こんにちは、Tango245です。
先日、大手ファッションウェブマガジンのFORZA STYLEさんからお話をいただきました。昨年末のメンズプレシャスさんに続き、当店のような店舗にとりましては、非常に光栄で、ありがたいお話でございます。この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございます。

今回いただきましたお話は、「これまで捨てられなかった服を紹介する」というコーナーであります。当店は最近でこそ、下取りや買取もさせていただいておりますが、当初は、店主の過去30年の物欲と断捨離の波をくぐり受けた品で始めた店でありますので、店内にある品のほとんどは、捨てられなかった服ということになります。そして「これは売る」、「これは売らない」というのでは、お客様に対して失礼になると考えておりますので、自分の持ち物は基本的にはすべて商品とさせていただいております。ですので、今回掲載される品は、基本的には店内に置いてありますので、気になるものございましたら、お気軽にご連絡いただければと存じます。よろしくお願いいたします。

それで、どういうのをご紹介させていこうかと悩みました。せっかくの機会なので、例えばブルックスのボタンダウンシャツのような、いわゆる鉄板のような品は避けるとしても、高価な品は捨てないのは当たり前ですし、かといって自己満足なものもパケットの無駄遣いになります。また店の宣伝色が強くなるのもNGですので、畏れ多いですが「江夏の21球」のような感じ(ベストピッチは三振取りに行く1球前のボール球)でセレクトさせていただきました。

「江夏の21球」とは、近鉄対広島の日本シリーズ最終戦、広島1点リードで迎えた9回裏、近鉄が無死満塁の逆転サヨナラの絶好のチャンスを掴むものの、三振、スクイズ失敗、三振でゲームセットとなり、広島が優勝を決めた時の江夏豊さんのピッチングを言うのですが、ピッチング以外にもこの最終回の約20分間に様々なドラマが詰まった試合です。個人的には、江夏さんや鉄人衣笠祥雄さんはすごいなと思う反面、近鉄ファンでもあったので「あれぐらいならスクイズ決めてくれよ。せめてバットに当ててくれよ。」と今でも思っています。

話がずれましたが、当日は、万一、配送事故等があるとまずいので、「捨てられなかった服」を詰めて、護国寺の講談社に直接お持ちしました。講談社さんは、20年以上前に、ある雑誌の取材でグイドボージのスーツをお持ちして以来の訪問となります。わかるようにしていただいていたエレベーター前の地下駐車場に停めて、お取りいただいていた講談社の最上階の応接室まで一気に、とまるで、矢沢永吉さんが、「成り上がり」の中で書かれていた、CBSソニーとの面談のように、、、というのは嘘で、実際は、1階の受付のあと、3階を横断しお連れいただいたのですが、臨場感はたっぷりであります。最上階からの眺めも素晴らしく、お持ちした服の説明にも力が入り、話を少し盛ってしまいました。

同コーナーに過去にご登場された皆様が、日本のファッション界のお歴々で、自分なんかが出ていいのかと怯みましたが、当店も、別注品にて世界を狙っておりますので、気持ちを切り替え、全力で取り組まさせていただきました。どれが採用されているかは自分もまだわかりませんでして、個人的にも楽しみにしております。掲載は8月ということですので、ぜひご覧いただきたく、何卒宜しくお願い申し上げます。

大変恐縮ではありますが、当店、クレジトカードに対応できておらず、もし何かお買い上げいただける場合は現金決済となってしまいます。ご不便おかけいたしますがご容赦いただきますようお願い申し上げます。また不定期営業であり、倉庫や自宅にて保管し店舗にない商品もありますので、原則予約制とさせていただいております。すでにお買い上げいただいている場合もありますのでお手数おかけしますが、ご来店の際はメールか電話にてご連絡いただきますようお願いいたします。店主の予定がなければ土曜日曜祝日を問わず、また夜間についてもご対応させていただきます。ナポリの名店マリネラを真似てコーヒーをご用意しお待ち申し上げます。よろしくお願いいたします。*当店につきましてはこちらも読みいただければありがたいです。

100時間に届くかも、です。

こんにちは、Tango245です。
100時間ぶっとおしで仕事ができる(ことを目指している)スーツのサンプルが上がってきました。

当店の別注スーツは、3つのグレードを設けており、手縫いの量の違いによって、クチュールライン、フランチェスコ、アンソニー、という3つのグレードをご用意しております。クチュールラインは正真正銘のフルハンド、ミシンは一切使わない渾身のスーツで、例えばズボンのポケットの袋まで手縫いを施しております。フランチェスコは世間一般にフルハンドというレベルの仕様、アンソニーは、袖付けと衿付けをハンドで行う仕様になります。スタイルにつきましては、当店、英国、イタリア、フランスの有名ビスポークスーツを少なからず保有・販売してきている経験からキモの部分は研究させていただいておりますので、どのグレードも、お好きなスタイルでお仕立てが可能です。

ビンテージギターでよく「音はネックが7割」といいますが、スーツの着心地でいいますと、袖付けと衿付けが、ギターで言うネックの部分になりますでしょうか?ですのでアンソニー(th入っています)でも費用対効果からみれば十分かもしれません。ちなみに残り3割の部分の多くは芯地とアイロンワークになるかと思っています。当店には無料でお渡しできる生地もありますので、それであつらえますと、百貨店等で展開されている、有名ブランドのほぼミシンで縫われる工場生産のMTMのライセンス物以下の値段でおつくりが可能です。

フランチェスコ(r入っています)は世間一般で言うフルハンド?のラインです。生産効率ではなく機能によって、手縫いがいいところは手縫い、ミシンがいいところはミシンと、使い分けています。また既成の出来芯は使用せず、手仕事で誂え芯(本来当たり前)を作成しておりますし、先日インスタで上げたようなアイロンワーク(残りの3割の多くの部分)も施しております。最近はこの芯地とアイロンワークが簡略化されているようなので、そういう意味では、一度ご体験いただきたい仕様であります。

それで今回のサンプルは当店で言うところのクチュールラインという最高級グレードであります。総手縫いというのは、逆にどうなん?、というご意見もあるかとは思います。多分そうだと思います。ですが、「神は細部に宿る」と言いますし、そこまでやる?というプライドをもってご提供しております。世界を舞台に戦うビジネスマンの皆様の日頃のハードワークや大事なプレゼンの場面、スーツが皆様の足を引っ張ってはいけませんので、我々もこれ以上できないところまでフォローさせていただき、お応えしていこうと、あえて展開させていただいております。世界中探してもこの仕様はほとんどない(できない)のでは、と思っております。

当店スーツに対しまして、ビジネスマンの皆様の商売道具、相棒という位置づけであります。よって相手に対する好印象と動きやすさ、軽さが大事であると考えております。好印象は業種によって許容範囲も違うと思いますので、今回は割とベタなスタイルに抑える一方で動きやすさ、軽さに注力し、動きやすさは前回の全バラリフォームで目途がついておりましたので、今回は軽さの追求が課題でありました。

仮縫い時に予感しましたが、出来上がりは抜群に軽いです。今回は夏物ということもあり、生地の絶対的な軽さはあるのですが、それでも芯地やパッド等、部材を省いている部分はありません。裏地も総裏です。当店には体感の軽さで有名なサルトリアのスーツが二着あるのですが、勝るとも劣ない出来になっているかと思います。この軽さに動きやすさと、総手縫いのプライドが加わりますので、体調良ければ冒頭の「100時間」に届くんじゃないかと思っております。

サンプルは店主のサイズになっていますが、それほど痩せても太ってもいないので、着丈、袖丈はともかく、羽織った感じの雰囲気は割と多くの皆様にご体験いただけるかと思います。ぜひ羽織りに来ていただければと存じます。ちなみに今回の裏地は、昔のパリの地図になっております。価格も、年度内はクチュールラインでも世間一般のフルハンドと同様か、それより安価だと思います。ジャケットのみ、パンツのみのご注文も可能ですので、よろしくお願いいたします。

大変恐縮ではありますが、当店、クレジトカードに対応できておらず、もし何かお買い上げいただける場合は現金決済となってしまいます。ご不便おかけいたしますがご容赦いただきますようお願い申し上げます。また不定期営業であり、倉庫や自宅にて保管し店舗にない商品もありますので、原則予約制とさせていただいております。すでにお買い上げいただいている場合もありますのでお手数おかけしますが、ご来店の際はメールか電話にてご連絡いただきますようお願いいたします。店主の予定がなければ土曜日曜祝日を問わず、また夜間についてもご対応させていただきます。ナポリの名店マリネラを真似てコーヒーをご用意しお待ち申し上げます。よろしくお願いいたします。*当店につきましてはこちらこちらも読みいただければありがたいです。

 

毛皮のコート

こんにちは、Tango245です。
本日は、前回の続きでバーグドルフグッドマン、その毛皮のコートのご紹介です。なんかバブルが来るといった話もちょくちょく出てきておりますが、どうなんでしょうか。店主は80年代後半のバブル時はまだペーペーで、その恩恵にどっぷりと浸かれたわけではありませんでしたし、90年代後半のITバブルには、懐疑的だったのであまり乗れませんでした。リーマンショック前のバブルはそれなりに享受できましたが、その後のリーマンショックでトータル大幅マイナスです。ということでバブルが来るなら、今回は一枚かませていただければ、と考えているこの頃であります。

ところで80年代後半のバブルといえば、くるぶし丈の毛皮のコートとエンジンがかからないフェラーリでしょうか。当店は車屋さんではありませんので、今回毛皮担当で行きます。このご時世、羽織る人もあまりいないですし、希少品種やロングコートはやりすぎかもしれません。膝丈ぐらいのハーフ丈で素材もそこそこ、状態はプレーヤーズコンディションの物を軽く着倒すというのが正解かもしれません。あとはブランドでしょうか。いわゆるコテコテのブランドは痛そうですが、安かろう悪かろう品では台無しになります。

そんな時、頼りになるのがバーグドルフグッドマンです。バブル感ならニーマンマーカスかもしれませんが、オーラはこちらです。映画「魔法の百貨店」でも、前回の繰り返しになりますが、ある年のクリスマスイブ、ジョンレノン夫妻が、バーグドルフグッドマンの毛皮の外商を呼びつけて、70~80着、金額にして250万ドル分を買ってくれたと、担当者がコメントしております。

ということで、当店、そんなバーグドルフグッドマンのハーフ丈のコート(サイズM )を、この秋開催予定のバーグドルフグッドマン祭りのトリとしてご用意いたします。値段はまだ決めておりませんがお祭りですので「持ってけ泥棒」価格で出すつもりです。ここはジョンレノンが大人買い(ゼロの数が二つ三つ違いますが)した空気感を満喫しながら、有名店のコンソメスープ(最近は割とアリアケジャパン?)でそこの本質を知る的なのが正解ではないでしょうか。なんでしたらバーグドルフの外商よろしく、クリスマスイブにタキシードでご自宅までお持ちいたしします。ぜひこれ羽織ってビルの屋上で、ゲットバックかドーントレットミーダウン演って、下の通行人を立ち止まらせてください。この世はあの世までの暇つぶし、らしいのでどうせ暇つぶすならこのコートで人生振り切ってしまってください。coming soon!

大変恐縮ではありますが、当店、クレジトカードに対応できておらず、もし何かお買い上げいただける場合は現金決済となってしまいます。ご不便おかけいたしますがご容赦いただきますようお願い申し上げます。また不定期営業であり、倉庫や自宅にて保管し店舗にない商品もありますので、原則予約制とさせていただいております。すでにお買い上げいただいている場合もありますのでお手数おかけしますが、ご来店の際はメールか電話にてご連絡いただきますようお願いいたします。店主の予定がなければ土曜日曜祝日を問わず、また夜間についてもご対応させていただきます。ナポリの名店マリネラを真似てコーヒーをご用意しお待ち申し上げます。よろしくお願いいたします。*当店につきましてはこちらこちらも読みいただければありがたいです。

 

 

バーグドルフグッドマン

こんにちは、Tango245です。
少し前に、サンモトヤマについて書かせていただきましたが、今回はバーグドルフグッドマンについて書きます。店主はアメリカに行ったのは、80年代後半から90年代前半まででして、過去20年以上ご無沙汰しております。その後、空前の景気拡大や9.11やリーマンショックがあり、まったくよくわかっていない状況ですが、アメリカといっても行くのはボストンが中心だったので、ニューヨークはさらにわかっていない感じであります。

ある渡米時、フルシチョフやカストロ、アラファトも泊り、アイゼンハワーやマフィアのコステロの自邸であったといわれる、ウォルドルフ・アストリアホテルに宿泊し、夜そのバーでそんなことを考えながら確か40ドルぐらいだった(いい時代です)インシグニアを一本飲んで、次の朝、タクシーでプラザホテルに行こうとしたら、運転手に「歩けよ」と言われたのを覚えております。とはいえ場所わからないし地図も持っていないので、イタリア系ぽかった運転手に「ペルファボーレ」とお願いして載せていってもらったのですが、その道中(といってもプラザホテルのすぐ近く)で見つけたのが、バーグドルフグッドマンでした(長い)。

「うぉ~」というのと、「近いやん」というのが第一印象で、「帰りは歩きか」と思っていたので、もちろん帰りに寄りました。なんか、「ここには入れる(誰でも入れます)だけで幸せ」という何とも言えない夢のような雰囲気がありました。子供のころデパートの特別食堂でからしの効いたハムサンドを初めて食べたような、あの感じです。むしろ何も買いたくなかったのですが、やっぱり紙袋が欲しくなり、エンジと紺のソリッドのオリジナルのタイをセール(19.99ドル、いい時代です)で、二本買って帰りました。その後バーグドルフグッドマンは、ニーマンマーカスに買収、そのニーマンマーカスもファンドに買われ、ニーマンマーカスともども利払いでヘロヘロのところにこのコロナ禍でチャプター11、ウォルドルフ・アストリアもファンドを経て今は中国の国営?企業ということで、「思い出すたびに切なさ募り」ます。

そのバーグドルフグッドマンですが、デザイナーにとっては世界一というより別格で、バーニーズやサックスあたりはブルペンみたいなもので、バーグドルフグッドマンにおいてもらうのが目標だったようです。映画の中で、ルブタンやドルチェ&ガッバーナ、アルマーニもその魅力を語っています。スタッフの給与体系も別格で、優秀な販売員は45~50万ドル稼いだそうです。ジョンレノンとオノヨーコは一度に毛皮を70 ,80着、金額にして250万ドル買ったこともあるようです。今後経営がどうなるのかわかりませんが、そんな昔の熱量みたいなものは期待できないと思うと残念です。なにより当店も別注品を置いてもらおうと思っていたので、目標が一つなくなりました。今後は、同店の熱量が詰まっていた頃の逸品を当店でご紹介しながら、その意思は勝手に引き継いでいこうと考えております。

ということで、今秋冬は、バーグドルフ・グッドマン祭りをやります。アルマーニやドルガバ、バルスター、セントアンドリュース等とのダブルネームや、専属テーラーだった、ドメニコ・スパノのビスポークを取りそろえお待ち申し上げます。目玉は毛皮です。

しかしLBOというのは厄介ですね。結局のところ、買われた企業が買収資金を背負い返済していくわけですからほとんど奴隷みたいなもんです。買収資金が60億ドル、それの年間利払いが3.3億ドルに対し、売上が46億ドル、営業利益は1.6億ドルとのことで、コロナがなくてもそもそも破綻しております。買ったファンドは高値で転売できると思ったのか、上場できると思っていたのか、よくわかりませんが、よくわかりません。店主は当店株を100%持っており今のところ大丈夫ですが気を付けます。(いや、いっそ売ろうかな。)

 

大変恐縮ではありますが、当店、クレジトカードに対応できておらず、もし何かお買い上げいただける場合は現金決済となってしまいます。ご不便おかけいたしますがご容赦いただきますようお願い申し上げます。また不定期営業であり、倉庫や自宅にて保管し店舗にない商品もありますので、原則予約制とさせていただいております。すでにお買い上げいただいている場合もありますのでお手数おかけしますが、ご来店の際はメールか電話にてご連絡いただきますようお願いいたします。店主の予定がなければ土曜日曜祝日を問わず、また夜間についてもご対応させていただきます。ナポリの名店マリネラを真似てコーヒーをご用意しお待ち申し上げます。よろしくお願いいたします。*当店につきましてはこちらも読みいただければありがたいです。

ニュービスポーク

こんにちは、Tango245です。
本日は、東京都の営業自粛要に伴う休業期間中の棚卸しで出てきた、いわゆるニュービスポークと呼ばれる、3つのテーラーをご紹介します。英国系スーツと言えばサヴィルロウ、サヴィルロウといえば、ハンツマン、アンダーソン&シェパードとヘンリープールかと思います。60年代はアンダーソン&シェパード、70年代はハンツマンと主役が入れ替わりながら、地位を固めていきますが、高い家賃と伸び切った営業戦線で疲弊していたところに、アルマーニ等のデザイナー系ブランドが攻勢に出て、80年代後半は苦境に陥りました。そこに出てきたのが、オズワルド・ボーディング、ティモシー・エベレスト、リチャード・ジェームスのニュービスポーク御三家で、これにハンツマン出身で、正統派のリチャード・アンダーソンも加えられることもあります。

もともと三者とも、トミー・ナッターの直系であります。トミー・ナッターといえば、アビーロードのジャケットが有名ですが、セヴィルロウを活性化させた、ある意味立役者でもあり、その後既製品に移っていったという点からも、生い立ちや時代背景、考え方が後年のこの3者とかぶります。

オズワルド・ボーディングは90年設立でウィル・スミスやラッセル・クロウが、ティモシーエベレストは91年設立でミッションインポッシブルでのトム・クルーズ、007でのダニエル・クレイグ等、他にも確かデビット・キャメロンが、リチャード・ジェームスも92年設立でトム・クルーズ、ダニエル・クレイグ等がそれぞれ顧客のようです。インタビュー記事を読みますと、そのころの英国の紳士服業界は不況で、それを取り巻く業界も厳しい状況であったため、「通常では受けてもらえないような注文も受けてくれた」とあります。それが独特のフォルムや色遣いを生み出したのかもしれません。イノベーションは不況下に生まれるとも言いますが、そうなのかもしれません。

雰囲気は三者三様ですが、総じていうと、正統派ブリティッシュ系のスーツをいい意味で簡素にかつシャープにした感じでしょうか。その味付けがマイルドな順に、ティモシー・エベレスト、リチャード・ジェームス、オズワルド・ボーディングかなと思います。デビット・キャメロンのダウニング街11番地の首相官邸前での哀愁のスーツ姿とかは雰囲気ありますし、007のダニエル・クレイグもいいですよね。ちなみにデビッド・キャメロンと言えばブレグジット、ブレグジットと言えばナイジェル・ファラージですが、全くもって高田純次か植木等。画面に映るだけで笑いがこみ上げてきます。ですがご本人は大怪我あり、病気あり、連続落選ありと数奇な人生のようで、あの無責任感は侮れません。最近は日本ではあまり全く報道されないので残念です。また個人的にはダニエル・クレイグのジェームス・ボンドが歴代ボンドの中でいちばん好きではあります。

話がそれましたが、この3ブランド、ライセンス物は数多く出回っているようですが、ビスポーク物はあまり見かけません。価格が高い、生産数量が少ない、誰も手放さない、あるいは違う理由、、、、よくわかりませんが、ビスポーク物はとにかく少ないです。ドタ感では、アルニスのビスポーク物より少ない感じです。このくらいの金額出すならヘンリープールのほうが、、、というのはわからないでもありません。とはいえ、一方のライセンス物は、ビスポークとは似て非なるもので、「売りたい」いう熱量は感じられますが、「これを見てくれ」という熱量はあまり感じられません。やはり手に入れるならビスポーク物になると思います。

ということで、当店このニュービスポークのビスポーク物、サイズはイギリスで38,40が中心になりますが、新御三家とリチャード・アンダーソン各テーラーの物を在庫しております。また彼らの師匠のトミー・ナッターやエドワード・セクストンのビスポークもあります。もちろんアンダーソン&シェパード等、本御三家のビスポークもご用意しております。一部を除き平和な値段でお出ししております。フレデリック・ショルツのドレープスタイルから端を発し、御三家の興亡、トミー・ナッター、ニュービスポーク、そしてまた旧御三家、と続く英国紳士服の一大絵巻、ぜひひやかしに見にきてみてください。

大変恐縮ではありますが、当店、クレジトカードに対応できておらず、もし何かお買い上げいただける場合は現金決済となってしまいます。ご不便おかけいたしますがご容赦いただきますようお願い申し上げます。また不定期営業であり、倉庫や自宅にて保管し店舗にない商品もありますので、原則予約制とさせていただいております。すでにお買い上げいただいている場合もありますのでお手数おかけしますが、ご来店の際はメールか電話にてご連絡いただきますようお願いいたします。店主の予定がなければ土曜日曜祝日を問わず、また夜間についてもご対応させていただきます。ナポリの名店マリネラを真似てコーヒーをご用意しお待ち申し上げます。よろしくお願いいたします。*当店につきましてはこちらこちらも読みいただければありがたいです。

 

ビスポーク仮縫い

こんにちは、Tango245です。
先日、当店の別注スーツのサンプルの仮縫いに行ってきました。スーツに関しましては、ちょっとしたリフォーム、まあまあリフォーム、がっつりリフォーム、全バラリフォーム等と、素人の立場をいいことに、職人さんには、あること、ないこと、言いたい放題で進めながら、バグ出しを行い、ようやくビスポークのサンプルまでこぎつけた次第です。職人さんも大変だとは思いますが、こちらもプロのアマチュア?、世界を驚かすような逸品を出そうと考えておりますので、妥協するわけにはいきません。ヨーロッパでのトランクショー開催を目指し、これからも突き詰めていく予定であります。

当店がスーツについて求めるものは、相手に対する好印象と自身の動きやすさや軽さなのですが、(少し違いますが)ここでは単純に好印象を格好良さと仮定しますと、この格好良さと動きやすさは基本的にはトレードオフの関係になるかと思います。格好良さを追求すると動きにくくなりますし、動きやすさを追求しますとダブついたフィルムになってしまいます。キングスマンのアクションシーンと会話のシーンで着用されるスーツははたして同一なのか、同一でCG無しなら結構動きにくいと思いますし、よく見ていると結構、襟が抜けていたりしてます。まあパロディ映画なんですけど。(毎度、個人の感想です)

で、各サルトとも、このトレードオフの関係を、カッティング、アイロンワーク、縫製、芯地、あるいは目の錯覚等を用いながらできる限り両立させていくわけなんですが、当店のような単なる古着屋が、これに一から取り組み、両立できるようなことではないので、別注靴同様に帰納法的アプローチで、すでにある巨匠の逸品を勉強させていただきました。結果として、60年代のアンダーソン&シェパード、比較的最近のヘンリープールをレスペクトすることになり、それらは意外とナポリ系に近いと書かせていただいたのもご案内の通りです。(当店の別注スーツ) 店主が言うのもはばかられますが、クレバリー御大とともに、ヒッチコック御大もさすがですね。まさに「神は細部に宿る」でしょうか。またヘンリープールのアレックス氏もセンスが抜群で、格好いいのを作ってくれます。ちなみに彼はかなりです。仮縫いにオークラに行った際、いきなり「おっ、XXか、この前はエビスだったな」と突っ込まれました。

それで本題ですが、全バラリフォームでは、かなりいい感触をつかめたというのはご案内の通りでありますが、今回の別注スーツのサンプルの仮縫いでは、前回の全バラリフォームで出た課題を解決すべく、再検討した型紙や芯地(これはまだ)をチェックし、更なるバグ出しを2回に分け、計3時間かけて行いました。それで今回の感触ですが、よりいい感じのシルエットとともに、かなり軽いスーツができそうです。着て軽いスーツといえば、有名なサルトリアさんが一軒いらっしゃいますが、どこまで迫れるか、楽しみであります(本音は超えたいと思っております)。 軽さについては、絶対的な軽さもさることながら、着て感じる軽さのほうが大事かと思っております。この辺りを突き詰めるべく、先日秤を購入し、まずは元データとなるジャケットの重さを現在片っ端からはかっています。何かしら見えてくると思いますので、ご報告いたします。

また全バラリフォームでは、意外と制約度の高かったパンツでしたが、今回は制約もなく、言い訳が効きません。前回に比べ、かなり動きやすく作ってもらっています。当店の別注パンツは、「とにもかくにもアイロンワーク」、「暇さえあればアイロンワーク」がモットーです。アイロンワークを省略するテーラーさんもあると聞きますが、各工程で念入りにかけてもらえるよう、お願いしてきました。ということで当店の別注ビスポークスーツ、今後、中縫い、補正を経て完成となりますが、今後も随時ご報告していきます。

大変恐縮ではありますが、当店、クレジトカードに対応できておらず、もし何かお買い上げいただける場合は現金決済となってしまいます。ご不便おかけいたしますがご容赦いただきますようお願い申し上げます。また不定期営業であり、倉庫や自宅にて保管し店舗にない商品もありますので、原則予約制とさせていただいております。すでにお買い上げいただいている場合もありますのでお手数おかけしますが、ご来店の際はメールか電話にてご連絡いただきますようお願いいたします。店主の予定がなければ土曜日曜祝日を問わず、また夜間についてもご対応させていただきます。ナポリの名店マリネラを真似てコーヒーをご用意しお待ち申し上げます。よろしくお願いいたします。*当店につきましてはこちらこちらも読みいただければありがたいです