ニュービスポーク

こんにちは、Tango245です。
本日は、東京都の営業自粛要に伴う休業期間中の棚卸しで出てきた、いわゆるニュービスポークと呼ばれる、3つのテーラーをご紹介します。英国系スーツと言えばサヴィルロウ、サヴィルロウといえば、ハンツマン、アンダーソン&シェパードとヘンリープールかと思います。60年代はアンダーソン&シェパード、70年代はハンツマンと主役が入れ替わりながら、地位を固めていきますが、高い家賃と伸び切った営業戦線で疲弊していたところに、アルマーニ等のデザイナー系ブランドが攻勢に出て、80年代後半は苦境に陥りました。そこに出てきたのが、オズワルド・ボーディング、ティモシー・エベレスト、リチャード・ジェームスのニュービスポーク御三家で、これにハンツマン出身で、正統派のリチャード・アンダーソンも加えられることもあります。

もともと三者とも、トミー・ナッターの直系であります。トミー・ナッターといえば、アビーロードのジャケットが有名ですが、セヴィルロウを活性化させた、ある意味立役者でもあり、その後既製品に移っていったという点からも、生い立ちや時代背景、考え方が後年のこの3者とかぶります。

オズワルド・ボーディングは90年設立でウィル・スミスやラッセル・クロウが、ティモシーエベレストは91年設立でミッションインポッシブルでのトム・クルーズ、007でのダニエル・クレイグ等、他にも確かデビット・キャメロンが、リチャード・ジェームスも92年設立でトム・クルーズ、ダニエル・クレイグ等がそれぞれ顧客のようです。インタビュー記事を読みますと、そのころの英国の紳士服業界は不況で、それを取り巻く業界も厳しい状況であったため、「通常では受けてもらえないような注文も受けてくれた」とあります。それが独特のフォルムや色遣いを生み出したのかもしれません。イノベーションは不況下に生まれるとも言いますが、そうなのかもしれません。

雰囲気は三者三様ですが、総じていうと、正統派ブリティッシュ系のスーツをいい意味で簡素にかつシャープにした感じでしょうか。その味付けがマイルドな順に、ティモシー・エベレスト、リチャード・ジェームス、オズワルド・ボーディングかなと思います。デビット・キャメロンのダウニング街11番地の首相官邸前での哀愁のスーツ姿とかは雰囲気ありますし、007のダニエル・クレイグもいいですよね。ちなみにデビッド・キャメロンと言えばブレグジット、ブレグジットと言えばナイジェル・ファラージですが、全くもって高田純次か植木等。画面に映るだけで笑いがこみ上げてきます。ですがご本人は大怪我あり、病気あり、連続落選ありと数奇な人生のようで、あの無責任感は侮れません。最近は日本ではあまり全く報道されないので残念です。また個人的にはダニエル・クレイグのジェームス・ボンドが歴代ボンドの中でいちばん好きではあります。

話がそれましたが、この3ブランド、ライセンス物は数多く出回っているようですが、ビスポーク物はあまり見かけません。価格が高い、生産数量が少ない、誰も手放さない、あるいは違う理由、、、、よくわかりませんが、ビスポーク物はとにかく少ないです。ドタ感では、アルニスのビスポーク物より少ない感じです。このくらいの金額出すならヘンリープールのほうが、、、というのはわからないでもありません。とはいえ、一方のライセンス物は、ビスポークとは似て非なるもので、「売りたい」いう熱量は感じられますが、「これを見てくれ」という熱量はあまり感じられません。やはり手に入れるならビスポーク物になると思います。

ということで、当店このニュービスポークのビスポーク物、サイズはイギリスで38,40が中心になりますが、新御三家とリチャード・アンダーソン各テーラーの物を在庫しております。また彼らの師匠のトミー・ナッターやエドワード・セクストンのビスポークもあります。もちろんアンダーソン&シェパード等、本御三家のビスポークもご用意しております。一部を除き平和な値段でお出ししております。フレデリック・ショルツのドレープスタイルから端を発し、御三家の興亡、トミー・ナッター、ニュービスポーク、そしてまた旧御三家、と続く英国紳士服の一大絵巻、ぜひひやかしに見にきてみてください。

大変恐縮ではありますが、当店、クレジトカードに対応できておらず、もし何かお買い上げいただける場合は現金決済となってしまいます。ご不便おかけいたしますがご容赦いただきますようお願い申し上げます。また不定期営業であり、倉庫や自宅にて保管し店舗にない商品もありますので、原則予約制とさせていただいております。すでにお買い上げいただいている場合もありますのでお手数おかけしますが、ご来店の際はメールか電話にてご連絡いただきますようお願いいたします。店主の予定がなければ土曜日曜祝日を問わず、また夜間についてもご対応させていただきます。ナポリの名店マリネラを真似てコーヒーをご用意しお待ち申し上げます。よろしくお願いいたします。*当店につきましてはこちらこちらも読みいただければありがたいです。