クラシコイタリアの荒波にもまれ

こんにちは、Tango245です。
昔から服好き靴好きが高じ、波はありつつも30年は散財して来た店主ですが、それに加速がかかったのが90年代後半からのクラシコイタリアブームであります。当時は雑誌の数も実際に取り扱う店舗数も多く、ブームには熱量がありました。店主が、ジンターラ(当時はラタンジを逆に読んでジンターラと)やキトン、アットリーニ、リベラーノ、カンパーニャ等を知ったのもこのころで、その後勢い余って現地に赴くようになり、フィノッロやパニコ、ガットやステファノベーメル等でスミズーラ、その後イギリス物にも若干戻り、クレバリーやロブ、アンダーソン&シェパードやヘンリープールのビスポークという流れで、荒波にもまれながらもなんとか泳ぎきりました。泳ぎきれたのは、まあ誰にも止められない「若さ」ってやつだったのでしょうか。

そんな90年代後半から2000年代前半でしたが、当たり前ですがサルトやブランド自体はそれ以前から存在しているわけでして、当店在庫の関係を調べてみると、バリーニがなんと1847年、エディモネッティが1887年創業です。フィノッロが1899年創業、ガットで1912年、意外にプラダが1913年創業、マリネラで1914年創業だそうです。ミラノの銘店ロレンツィーが1929年、アットリーニが1930年、ナポリの銘店ロンドンハウスが1931年、ブリオーニは1945年、リベラーノが1948年、イザイア、ボレッリが1957年、フィレンツェの銘店チェレリーニが1956年、ロータ、フライが1962年、ベルベストが1964年と続き、ボッテガも割と古く1966年となっております。それでキトンが1969年、ラタンジが1971年と続きます。

前にも同じような話を書いていますが、ガットやフィノッロのような歴史のある、雲上ブランドは一般のイタリア人はほとんど知らない(知らなかった)わけです。こういう店は特別な階級の人たちが代々オーダーする特別なお店であり、一般の人が出入りするような店ではない(なかった)ためです。実際、看板もなく、表札のようなプレート一枚のような店もあります。で、そういう店の逸品を、極東の異国、日本で一般の人間がその存在を知り実際購入していると。どうせなら歴史のある逸品、銘品とともに人生を歩んでいきたいと思います。バリーニの1847年なんて日本は江戸時代です。(ちなみに信濃屋の創業は1866年。日本にもこうした銘店はあります。) 日本人に生まれてよかった。イタリア人に生まれていればガットを知らずに生活していると思いますので。

それだけに昨今、閉店や逝去、あるいは経営が変わってしまっている例が相次いでいるのは残念であります。日本でも先日サンモトヤマの自己破産の報道がありました。昔はクラシコがそれほど流行る前から、並木通りの店の地下にコードバンのジンターラ(1足買いました)とかありましたし、もっと昔はグイドボージ(2着買いました)とかチチェリ(3枚買いました)とか、軽く置いてましたから凄すぎです。東京フォーラムとかでやる前のサンフェアとかも結構お世話になりました。

幸いにも店主はそんないい時代のサルトやブランドを一通り着倒して来れました。ポリシーも節操もなく横に広げすぎて格好悪かったと思っておりますが、今となってはこれも逆に財産かもしれません。そして価格高騰の昨今、どういう買い物が満足度を得られるか。無駄に身銭で着倒して来た身としても色々と考えています。(昔の値段を知っているのでそういうことも加味しています。) お金を出せばいいものが買えるはずですが、最近はそうもいかなく、高価にもかかわらず、なんか違うような商品も結構あるような気がします。またその一方でスーツやシャツはやはり消耗品だと思いますので、趣味性の高い希少品を除けば、現役世代のお客様が高いお金を出すのは厳しいかもしれません。ですがビジネスマンにとってスーツやジャケットは商売道具。妥協をするのはよろしくありません。商売道具に妥協するようではそこまでの人生です。玉石混交のなか、二律相反する事象をどう咀嚼していくか、当店ではこのところ、下記の7つを推しております。

1)最近のブリオーニの未使用品を10万円台後半で、
2)最近のボッテガのベーシックな未使用品を10万円強で、
3)最近の(MTMでない)チフォネリの未使用品を7-8万円で、
4)最近のベルベストやゼニアの未使用品を5-7万円で、
5)少しこなれたユーズドのブリオーニを、5万円前後で、
6)定価数万円のクラシコ系のベーシックな未使用品のシャツを1万円台で、
7)セッテピエゲの未使用のネクタイを1万円以下で、

これらはお客様ご本人はもちろんですが、洋服にはあまり興味がなく、これまでお仕事で頑張ってこられたお父様の今後の人生に彩りを添えられる、あるいは社会人として今後成長されていかれるであろうご子息のお仕事の一助となる、その入り口となるようなコストパフォーマンスの高いチョイスもしているつもりです。そういったプレゼントとしてもご検討いただければありがたいです。各項の詳細につきまして次回以降書かせていただきます。

 

大変恐縮ではありますが、当店は不定期営業で、また倉庫や自宅にて保管し店舗にない商品もありますので、原則予約制とさせていただいております。またすでにお買い上げいただいている場合もありますのでお手数おかけしますが、ご来店の際はメールか電話にてご連絡いただきますようお願いいたします。店主の予定がなければ土曜日曜祝日を問わず、また夜間についてもご対応させていただきます。ナポリの名店マリネラを真似てコーヒーをご用意しお待ち申し上げます。よろしくお願いいたします。*当店につきましてはこちらこちらこちらもお読みいただければありがたいです。