難しい問題、不都合な真実?

こんにちは、Tango245です。
ブログでは時折、ガットは閉店、ステファノベーメル氏やジャンニカンパーニャ氏は逝去、シルバノラタンジ氏やアントニオパニコ氏は引退、バリーニロレンツィーは経営方針が変化等、古き良き時代の逸品がも手に入らなくなってしまったことを書いております。残った名店も後継者の方々の努力、経営方針が変わった名店も効率化等を進める等、それぞれに頑張っておられ、何もしない自分ごときが偉そうなことを言う筋合いではありませんが、それでも昔のものと現状のものとの質の違いは歴然で、さらに値段が現状のものの方が価格がかなり高いとなると、これが健全で持続可能な状況かは難しい問題だと考えております。

上記は主に職人のスキルの部分を書いていますが、素材の面でもそれは起こっているようです。先日も書いていますが、フォックスでは「薄い生地の生産をこれまでの供給元がやめてしまったことからあの細い傘がもはや作れない」、エルメスでは「シルクのスカーフが薄くなり、材料の枯渇からボックスカーフの製品群が廃盤」という状況で、「本物のアイリッシュリネンはもはや絶滅」とか「カシミアが高騰」と言った次元ではなく、定番品の材料がないわけですからもっと本質的な問題かと思います。こう言った現象は、スーツの芯地や縫製用の糸にまで及んで来ているようです。スーツの芯地が変われば、それまでの雰囲気は出なくなってしまいます。

一方でファッションブランドは二大グループを中心に集約化が進みましたが、両グループとも上場しておりますし、属していないブランド群も大きくなっておりますので、資本の論理を無視できません。

こう考えると、服好き、物好きには、何とも住み難い外部環境です。また上記の状況は業界全体にとって不都合な真実ではないでしょうか。現行品が本物といえなくなってきている中、「最高の素材、丁寧な縫製、極上の着心地、、、」といった抽象的な表現でどこまで押せますでしょうか。(大きなお世話ですが。)

こうした状況下、当店のできることもほとんど何もありませんが、それでも楽しくご提案していこうと考えております。幸い利潤はそれほどは求めておりませんし、古い品も多数保有しております。実際、温めている(アホアホな)企画もいくつかありますので、折を見て書かせていただければと考えております。(写真はロシアンカーフの証明書付きクレバリーのアタッシュケース

大変恐縮ではありますが、当店は不定期営業で、また倉庫や自宅にて保管し店舗にない商品もありますので、原則予約制とさせていただいております。またすでにお買い上げいただいている場合もありますのでお手数おかけしますが、ご来店の際はメールか電話にてご連絡いただきますようお願いいたします。店主の予定がなければ土曜日曜祝日を問わず、また夜間についてもご対応させていただきます。ナポリの名店マリネラを真似てコーヒーをご用意しお待ち申し上げます。よろしくお願いいたします。