ストーンアイランドにて

こんにちは、Tango245です。
前回、店員さん(といっても大御所で恐れ多いのですが)について書かせていただきましたが、今回はその番外編です。店主はこれまで、色々な人に助けられ、なんとかここまでやって着ました、いや来れました。ですが、これまでに2度、「終わったのかな」と思った経験があります。その一つが、ミラノで警察に逮捕されそうになった時のことであります。(もちろん潔白です)

フィノッロの仮縫いをカラチェニで済ませ(割とすごい)、サンバビラ広場のジャンニカンパーニャに向かうべくスピガ通りを歩いてきて、たまたまストーンアイランドの店を見つけました。店主はベンタイルが大好きで、ストーンアイランドが20年以上前に出した、シングルのトレンチコート?を今でも着ています(防水は今も完璧)が、その時も何かベンタイルを使った商品がないか、と店に入りました。10分ほど話をしていると、警官が数人店に入って来て、自分に対しパスポートを見せろと言って来ました。そして店を出ろと言われ、出るとパトカーが2、3台止まっていて、人だかりができていました。「爆弾の通報でもあったのかな」と思っているとどうも様子が違うようで、警官が無線で何かやり取りをしていて、人だかりは口々に「ジャポネーゼ、ジャポネーゼ」とヒソヒソ話をしています。ですがその時点でも何が起こっているのかは把握できていませんでした。(写真はその約20年後の現場です。当時とほとんど何も変わっていないような。店は今もストーンアイランドのような。)

そのうち、そのストーンアイランドの男?の店員さんが、「あなた、何かした?」、「かなりまずそうよ」と、状況を教えてくれました。彼によると、どうも茶色のスーツを着た日本人が何かをやらかして逃げていて、「今、日本人を拘束した」と無線で言ってる、と。確かに自分は日本人でその時、茶色いスーツを着ていたので、それは確かにまずいな、とその時初めて事の重大さに気づきました。(繰り返しますがもちろん潔白です)

「(イタリアの警察からすれば)茶色いスーツを着た日本人なら多分誰でもいいんだろうな」、「ルカ(ジェノバから来てくれたフィノッロのフィッター)はもうカラチェニ出てるよな。アリバイどうしよう。誰か見てくれていたかな。」、「大使館(ミラノは領事館ですが)なんてなんもしてくれないだろうな」とか「ポケットに薬か何か入れられて一生刑務所かな」とか「屈強な人たちのお相手を毎日、、、、」とか。そして「そもそもなんでこんなことになったんかな」とか色々考えながら、わからないイタリア語の無線のやり取りを眺めていました。とにかく「人生終わったな」と。それで「ついてなかった、諦めるしかない」と。完全に心折れてました。

それで30分ぐらい(体感は3時間ぐらい)たった頃、そこの店員さんが「どうも人違いとか言ってるみたいよ」と教えてくれました。「当たり前やろ」とか思いながらも、「ちゃんと調べてくれよ」と祈っていると、また店員さんが「別の犯人が捕まった、と言ってるわ」と。「でも警官もメンツがあるからまだダメよ」とか逐一教えてくれました。「まあそうだよな」とか折れた心が揺れてました。それで結局、1時間ぐらい(体感は半日)店の前で拘束?されましたが、署に連行されることもなく、解放されました。どっと疲れが出て、カンパーニャには行くのを止め、色々と教えてくれた店員さんにお礼を言ってその日はホテルに帰りました。次の日もう一度お礼に店に寄りましたら「良かった、良かった。あなたはついてたわ」、「普通は連行されるところよ」と。こちらは「いやいやあなたのおかげですよ」と。この店員さんには、もう感謝しかないです。自分にとってはまさにone&only のカリスマ店員さんであります。なんとか落ち着けていたのも、細やかな心配りで逐一情報を入れてくれていたからで、もし彼がいなければ、訳もわからず取り乱して、逆に連行されていたかもしれません。この時もまたいい人に助けられた次第で、今も本当に感謝しています。もちろんちゃんと調べてくれたイタリア警察にも感謝しております。(写真は今も現役バリバリのベンタイルのコート)

ですがその後はやっぱり海外は何が起こってもおかしくない(結局は起こらなかったのですが)と再認識し、これ以降、出張かツアー以外は海外に行くのはやめよう、と一気に海外熱が冷めた弱気な店主でありました。今から思えば、このぐらいでめげず、もっと出て行ってもう少し鍛えてもらってもよかったもかもしれません。

大変恐縮ではありますが、当店は不定期営業で、また倉庫や自宅にて保管し店舗にない商品もありますので、原則予約制とさせていただいております。またすでにお買い上げいただいている場合もありますのでお手数おかけしますが、ご来店の際はメールか電話にてご連絡いただきますようお願いいたします。店主の予定がなければ土曜日曜祝日を問わず、また夜間についてもご対応させていただきます。ナポリの名店マリネラを真似てコーヒーをご用意しお待ち申し上げます。よろしくお願いいたします。
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