12発の緑

こんにちは、Tango245です。
先日、当店別注シャツの受注会の告知をさせていただいたのですが、おかげさまで、多数のお予約を賜り、スケジュールが埋まってしまいましたので、今月はこれで打ち止めとさせてくださいませ。ご予約いただきましたお客様ありがとうございました。全力で頑張りますので、当日はどうぞよろしくお願いいたします。またご検討くださったお客様、来月も開催予定ですので、引き続きよろしくお願い申し上げます。

前のブログで、次の車(当時)は「12発の緑にすると決めた」と書きました。ベストはその緑のモンディアル(じゃなくて412i)な訳ですが、モンディアル(じゃなくて412i)もなかなかに厄介な車でしたし、そもそもそんな色のフェラーリなんてまずないわけで、計画は早々に頓挫。プランBに切り替えて、どうしようかと考えておりました。

12発というとジャガーのダブルシックスで、緑とくればジャガーがお約束ではあるのですが、まだまだ若かったこともあり「どうかな?」と思っていたところに、XJ−Sのコンバーチブルがあるとのことです。しかも93年なのにクロムバンパー、リアが三角ではないのが残念ではありましたが、いちいち買わない理由を探してもしょうがないので見に行きました。実はXJ−Sのコンバーチブルは、自分がさらに若かった頃、SLで街を徘徊していて、道を譲った車がXJ−Sのコンバーチブルで、その優雅さ、美しさに我を忘れ、隣の席の優雅で美しい人を忘れ、後ろを追っかけて行ったのを今でも覚えているという因縁がある車です。

見にいくと、ワンオーナー、走行距離2.3万キロ、塗装も革シートも綺麗で、ウッドパネルの割れもありません。これは買うしか、とボンネット開けるとスカスカで、「え、4リットル?」、「いや、でもなんで革シート?」。聞くとオーナーが特注で注文したようです。当時はXJ−Sのコンバーチブルでも4Lは標準装備は布シートでした。新車価格は1400万(当時)ぐらいしていたはずなのに、、、。今はその辺走っている車でも革シート標準装備ですから、そりゃあクツの革も無くなりますね。ということで、アップチャージはどのくらいだろうと思いながら、初代オーナーの魂みたいなものを、二代目として引き継がさせていただきました。敬意を表し完全整備を敢行、足回りも全部交換しました。実際いい車でした。2シーターなのに無駄に大きい車体に狭い室内。回転半径は長い上に、しかもハンドルは振り切り厳禁、ガソリンも満タン厳禁です。ですがそれを上回るサムシングがありました。4リットルなので、燃費も良く、プラグ交換も安価で楽チンでしたし。ということで、緑はクリアーしましたが12発は一旦お預けとなりました。

さてそのジャガーですが、憧れではある一方で、「プアマンズ ロールス」との異名を取るのもまた事実であります。それでジャガーがコンバーチブルだったこともあり、今度はセダン、緑のロールス買えば問題ないと思い、狙うようになったのですが、狙っているとそのうち出てくるものです。コーチビルダー物はレアですが、SZのシルバースピリットなら結構あります。外見もおとなしいので街でも大丈夫(多分)ですし、血統からいえば、ある意味、「最後のロールス」とも言えます。ちょうど緑が二台出ていたので試乗、結局安い方を購入しました。それで「12発の緑」作戦はミッションコンプリートとあいなるはずだったのですが、購入後、12発でなかったことが判明、そんなもん初めからそうなのですが、こちらが勝手にロールスなんだから当然12発だろうと思い込んでいた次第です。ボーイングもエアバスもロールスロイスちゃうのぉ、と関係ないんですけど。(そんなレベルです。わかっていない、いわゆる雰囲気派です。)

でもロールス最高でした。エンジンがかかる感じ、細いハンドルを回し始め、遊びがなくなり始めてから各部に力が伝わり後ろのタイヤまで行ってそれがハンドルに戻って来る感じ、そしてコノリーレザーと本物のウッドパネルのインパネやピクニックテーブル、いい体験させてもらいました。よく「運転するならベントレー、後ろに乗るならロールス」とか言いますけど、あれは英国人特有の性格の悪さだと思います。自分なら「運転も後ろもロールス」。細いハンドルに伝わるあの感覚を運転手に譲るにはいきません。ということで12発の緑はまたもお預けとなりました。

がしかし、その後ようやくですが12発に乗ることができるようになります。それもあのモンディアル(じゃなくて412i)の後継、456です。銀座の街で出会ってから苦節30年?、この他にも500Eあり、560SELあり、2台の832ありで、また色は緑ではありませんが、人生初の12気筒。ミッションコンプリートということにしておきましょう。この456もなかなか手強い車でした。カタログ上の車幅は大したことはないのですが、無駄にトレッドが長いので駐車場は平置き、右ハンドルだったのですが、ドアミラーの望遠率が本国仕様のままで、それで運転席側のミラーを覗くと目眩がして危険です。もちろんトランスミッションにはお約束の爆弾抱えています。乗り始めもバスみたいにゴトゴト、ガタガタしています。ですがエンジン温まると12発最高ですね。待たされ後、手に入れてもがっかりすることも多い人生ってやつですが、これは良かったです。まさに完全バランスの2乗です。一台一台となくなっていく12気筒エンジンですが、もしまだ乗られていないお客様いらっしゃいましたら、テスラに行かれる前に、ぜひ一度乗っておいてくださいませ。

しかし日本はいいです。少し開き直れば、一般市民でもフェラーリやロールス乗れますから。イギリスやイタリアにそんな空気感はありません。ということで当店、そんなお車に合わせた用品、ではなく洋品をご用意しております。XJ−Sにはアンダーソン&シェパードのツイードジャケット(にフラノのパンツ)、ロブのスエード(にオレンジのカシミヤのソックス)、SZのシルバースピリットにはトミーナッターのビスポークにロシアンカーフの靴とアタッシュ、マイバッハには、チフォネリかシャルベのビスポークのスーツ、マラネロにはカルロリーバのシニスカルキにグイドボージのスーツとバリーニのストレートチップ、ルノー25にはブリオーニのタキシードをトランクに入れて、アロイジオのスーツにガットのモンクストラップ、ピカソにはルソーかエブゼリンのスーツバーグドルフ毛皮のコート(まだあります)、モデル3にはアルニスのビスポーク等々、如何様にもご提案させていただきます。こんなご時世、合わせやすいとか忘れて、着まわしの効かないコーディネートなんかも楽しんでしまってください。

大変恐縮ではありますが、当店、クレジトカードに対応できておらず、もし何かお買い上げいただける場合は現金決済となってしまいます。ご不便おかけいたしますがご容赦いただきますようお願い申し上げます。また不定期営業であり、倉庫や自宅にて保管し店舗にない商品もありますので、原則予約制とさせていただいております。すでにお買い上げいただいている場合もありますのでお手数おかけしますが、ご来店の際はメールか電話にてご連絡いただきますようお願いいたします。店主の予定がなければ土曜日曜祝日を問わず、また夜間についてもご対応させていただきます。ナポリの名店マリネラを真似てコーヒーをご用意しお待ち申し上げます。よろしくお願いいたします。*当店につきましてはこちらこちらも読みいただければありがたいです。*コーヒーのご提供につきましてはコロナ蔓延を鑑み、現状自粛させていただいております。