当店別注のシューズ


こんにちは、Tango245です。
本日は当店別注のシューズについてお話いたします。タックセックあたりまで遡るとさすがにちょっと履く場所や機会を選ぶことになりますが、一般的には古い靴ほど「格好がいい」ように感じます。その「格好がいい靴」の木型は、本家が保存していると思うので、それで作ればいいと思うのですが、そういう気配はなく、現在の靴は、トゥの形等の細かいディテールは継承していても、全体感が違う気がいたします。

問題は、そのかつての美しいフォルム、昔の限られた天才職人のスキルによるものなのか、木型とある程度の技術があればできるのかということであり、この辺りを、古い実物を見ながら日本の若い靴職人の人と話したところ、(程度問題ではあるものの)後者に近い感覚でありました。じゃあ何故できないのかと聞くと、こんなのは見たことがない、そんなことをゆっくり考える時間もない、親方のスタイルを継承しそこに自分のエスプリを入れて作っている、資本の論理から効率や採算を優先してしまう、、、、。といったような答えが返って来ました。

ということなら、一度そういった品にじっくり向き合ってもらい、その絶滅してしまったようなフォルムを再現してもらおうということで、別注品の企画をスタートさせました。当店にある、コークストリート時代のクレバリー、御本人が現役バリバリだった頃のステファノベーメルやマリーニ、今は亡きローマの名店ガット、店主が現状最高峰と考えるパリロブのビスポーク等の靴を現行品や既製品と比べながら研究し、余計な装飾や細部のディテール等での差別化には走らず、既製品や最近のビスポークでは出せない、素で美しく、なんとも言えないフォルムを目指し削り出しております。当初は3パターンの展開で少しずつ増やしていく予定でおります。(サンプルのサンプルは一度確認しており、現在さらなる改良をお願いしている状況です。)

削り出したそのフォルムを崩したくないのでビスポークはお受けできません。基本的に採寸は行わず、サンプルでサイズをお試ししただき、(若干の調整は行えますが)その木型でお作りする受注生産となります。ですが製法は、グッドイヤーではなく、ハンドソーンで出し縫いまでハンドで行います。またインソールは伝統的な製法の物に加えて、ハイテク素材を使用し、フォルムはそのままにクッション性を高めた物もご用意する予定です。

一般に靴のビスポークは、今や非常に高価なうえに出来上がりで失望することも多く、なかなか手強い代物です。「きっと完璧なものができるはず」、という期待を膨らませながら待っているその時間が一番幸せ、という意見もあります。一方で既製品はどうしても効率性や在庫リスクを勘案せざるを得ず、製造工程や素材で簡略化が否めません。当店の別注靴は、両者のいいとこ取りを目指しております。はじめにシェイプをご提示し、それをサイズ展開することで出来上がりのイメージを担保、一方でビスポークと同水準、あるいはそれ以上の手間をかけて制作しますので、既製品のように大量生産を前提とした製造工程の効率化、簡略化はいたしません。そもそも簡略化できるようなフォルムではありません。そんな商品を既製品並みの価格でご提供いたします。採寸を行うビスポークに比べ、履き心地は劣るかもしれませんが、その履き心地は試着時に確認はできますし、履き心地の優先順位が高いお客様は、クッション性を高めたものをお選びいただければ、フォルムはそのままにスニーカー並みの快適さをご提供できます。当初1年間はお試し期間とし、フルハンドで20万円半ばでお受けできますので、ぜひ今春完成予定のサンプルを手にとって見ていただければ幸甚です。

大変恐縮ではありますが、当店、クレジトカードに対応できておらず、もし何かお買い上げいただける場合は現金決済となってしまいます。ご不便おかけいたしますがご容赦いただきますようお願い申し上げます。また不定期営業であり、倉庫や自宅にて保管し店舗にない商品もありますので、原則予約制とさせていただいております。すでにお買い上げいただいている場合もありますのでお手数おかけしますが、ご来店の際はメールか電話にてご連絡いただきますようお願いいたします。店主の予定がなければ土曜日曜祝日を問わず、また夜間についてもご対応させていただきます。ナポリの名店マリネラを真似てコーヒーをご用意しお待ち申し上げます。よろしくお願いいたします。*当店につきましてはこちらこちらこちらもお読みいただければありがたいです。