こんにちは、Tango245です。
ビスポークというのは、なかなかに厄介でして、ほとんど00道、修行のような側面があります。雑誌とかには、包み込まれる着心地(履き心地)、美しいシェイプ、最高の素材と丁寧な縫製、一生ものとか、、、、と、いいことばかり書かれていますが、そんな品が初回から手に入るほど甘くはありません。もともとビスポークなど、限られた富裕層の脈々と受け継がれた道楽や身だしなみの集積みたいなもので、そこに我々ごときが単身参入するなど、本来は、「それ絶対アカンやつ」なわけで、待っているのはケモノ道であります。数注文して、顔覚えてもらって、どう見ても変な上がりの物も、「Excellent!」と笑顔で受け取って、それを何回も繰り返して、ようやくスタートラインという感じなんじゃないんでしょうか。
店主の場合、期待はしつつもあてにはしていなく、ビスポークの過程とか、彼らの話(いいわけ)とか、ハプニングとかの周りの部分を楽しむようにしていました。普通に考えると割に合わないのですが、当時は今ほど高くなかったこともあり、そういうものだと思ってやってました。ぼったくりバーでぼられても、二度と行かないんじゃなくて、逆に何回も行ってぼられ続けていると、ある時点からだんだん安くなって、最後は「今日はいいよ」とかになるみたいなものです。何事も「急がば回れ」、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」、人の価値はいくら貯めたかよりいくら使ったかですから、そういう経験が幅を広げてくれたりもすることもたまにはある、と。また数こなしてると場外ホームランみたいな出会い頭の一発みたいなのがあり、それがあるんで止められなくもあるのですが、だいたいは、、、なんで、それも「急がば回れ」なのであります。
一方、ぼったくりバーじゃないですけど、一旦そのインナーサークルに入ってしまうと、今度は至れり尽くせりで、いい素材が回ってきて、いい職人さんが担当してくれて、親身の指導が受けられます。そのゴールまでたどり着けるか、途中「死して屍、拾うものなし」となるかが運命の分かれ目ですが、「夜明け前が一番暗い」ので、実はもう一歩だったのに、あきらめてしまうケースも少なからずでままなりません。特にフランス系は相当ハードルが高く、ゴールがどこにあるのか本当に分かりませんが、クラシコ系はブームの功績は日本も大きく、今の巨匠も何人かは日本様様のはずなので、頑張れば十分入れる領域かと思います。
とはいえ、この為替ですし、海外はインフレですし、「急がば回れ」、「虎穴、、」はそうなんですが、なるべく回り道は避けたいところでもあります。それで、まずは当たりのベンチマークを知るべく、インナーサークルの住民の手放す逸品をゲットしてみるのが得策ということで、本題の写真のコートのご紹介です。
このコート、車で言いますと走行800㎞のコーチビルダー製のワンオーナー物。しかもオーダー主は、ナポリの有名サルトの中で知らない人がいないくらい有名な日本人のかたで、「物欲がめっきりなくなって」とおっしゃりながら、裏地にベビーミンクの毛皮を貼った、カシミアのジップセーターを色違いで2着ビスポークしてしまう天井人であります。先日、久方ぶりにご尊顔を拝見させていただいた際、せっかくですので、これから沼の世界に清水ダイブのお客様に向け、「洋品界の松方コレクション」ともいえるそのコレクションの中から2品お預かりしてまいりました。
うちの1品がこちらのコスタンティーノのコートです。生地はカシミア混のオーソドックスなヘリンボーン、仕様も伝統的なチェスターコートです。テーブルに置くと全くもって普通のコートなのですが、羽織らせていただくとまさにインナーサークル物、当たりの逸品であります。こういった逸品をベンチマークに、ぜひ皆様、哀しくも楽しいケモノ道にお入りください。暗闇で人の気配がした時、味方を識別する合言葉は「タンゴ?」、「ニーヨンゴ」です。
大変恐縮ではありますが、当店、クレジトカードに対応できておらず、もし何かお買い上げいただける場合は現金決済となってしまいます。ご不便おかけいたしますがご容赦いただきますようお願い申し上げます。また不定期営業であり、倉庫や自宅にて保管し店舗にない商品もありますので、原則予約制とさせていただいております。すでにお買い上げいただいている場合もありますのでお手数おかけしますが、ご来店の際はメールか電話にてご連絡いただきますようお願いいたします。店主の予定がなければ土曜日曜祝日を問わず、また夜間についてもご対応させていただきます。ナポリの名店マリネラを真似てコーヒーをご用意しお待ち申し上げます。よろしくお願いいたします。*当店につきましてはこちらとこちらも読みいただければありがたいです。*コーヒーのご提供につきましてはコロナ蔓延を鑑み、現状自粛させていただいております。