風が好きだ

こんにちは、Tango245です。
先日日経新聞で、5000円スーツが流行っているとの記事がありました。その記事によると、スーツのコストのほとんどは接客や採寸等の人件費で、ネットや2着目ならそれがかからなく、5000円でもペイするという解説でした。

原価はザックリで生地代1000円、縫製2000円といったところでしょうか。生地もサイズも絞り、ボタンの数も減らして、シャツのように畳んで、ネット販売限定で、、とか書かれていたような気がします。生地はスーツでだいたい3m必要ですので1mあたり333円、縫製が上着1300円、パンツ700円? フォックスの生地だとメートル当たり1万円を軽く超えますし、当店ではボタンホールの穴かがり、職人さんに1つ1000円お支払いしていますので、原価3000円はいくら大量生産だとしても凄い値段です。またサイズ関係なしで買う自分が言うのもなんですが、スーツは「サイズさえあっていれば」と思っていますので、試着無しというのはモヤモヤします。

あとその5000円スーツが本当に売れているなら少し哀しいです。ある意味スーツはビジネスマンの商売道具、道具にお金をかけない人がいい仕事できるのか、そもそも相手に対し失礼じゃないのか等々、老婆心ながらそう思います。少し前ですが、緊急事態宣言中にお越しいただいたお客様に2着ご購入いただいたのですが、ご試着された際、「こういうの着ると気合入りますね」、「早くこれで営業行きたいです」とおっしゃっていただき、誠に僭越ながら「スーツはこうじゃなきゃあ」と思う次第であります。

それで本題ですが、そんなビジネスマンたるもの、ジャンニ・アニエッリは気持ちだけでも意識させていただきたい存在で、政財界を動かし、王侯貴族との交流は無理でも、発する言葉や所作等は勉強になります。この世のほとんどすべての物を手に入れてしまい、しまいには「(買えない)風が好きだ」という氏ですが、その彼の足元を飾るのが、マリーニの靴であります。

スペイン坂を少しテルミニ駅に歩いて行ったところにある(あった?)マリーニ、創業は1893年(明治時代)です。ラタンジやステファノベーメルとかもそうなのですが、なぜかイタリア靴には、「これどうなん?」という作りの物が少なからずあります。それでもラタンジだから、ベーメルだからと言い聞かせたり、自分にはわからない良さがあるはず、と納得させようとしますが、やっぱりダメで、ダメなものはダメなわけです。個人的にはイタリア靴の謎と呼んでいますが、マリーニも同様で、いい感じのもありますが結構手ごわい猛者が鎮座しており、何かを試されている気さえします。

店主は、ローマを訪れるたびマリーニを訪ね、その手ごわい猛者たちに鍛えられつつも、回を重ねながら選んだ「ビスポーク流れ」がこの品です。結構履きこんでしまいクラックも若干入ってしまっていますが、いいマリーニの見本として引き継いでいただきたいと考えております。かつては年間50足、「幻の靴」と言われた逸品です。

大変恐縮ではありますが、当店、クレジトカードに対応できておらず、もし何かお買い上げいただける場合は現金決済となってしまいます。ご不便おかけいたしますがご容赦いただきますようお願い申し上げます。また不定期営業であり、倉庫や自宅にて保管し店舗にない商品もありますので、原則予約制とさせていただいております。すでにお買い上げいただいている場合もありますのでお手数おかけしますが、ご来店の際はメールか電話にてご連絡いただきますようお願いいたします。店主の予定がなければ土曜日曜祝日を問わず、また夜間についてもご対応させていただきます。ナポリの名店マリネラを真似てコーヒーをご用意しお待ち申し上げます。よろしくお願いいたします。*当店につきましてはこちらこちらも読みいただければありがたいです。*コーヒーのご提供につきましてはコロナ蔓延を鑑み、現状自粛させていただいております。