賽の河原の石積と燃える闘魂

こんにちは、Tango245です。
以前、「大御所の店員さん」という題で、パリのオールドイングランドやボストンのルイスとともに、我が方の日本も大阪のアリストクラテコさん等をご紹介させていただきましたが、もう一軒、外せないお店を忘れておりました。自由が丘にあった、「ピッティ・コレクション」であります。

ご存じの方も多いと思いますが、お若いお客様に少しご紹介させていただくと、オーナーは俳優の岩城滉一さん似の本城さんで、8 0年代から単身イタリアに渡り、飛び込みでパニコやピロッツィー、ミコッチ等を開拓、多くのクラシコブランドを日本に紹介されてきました。顧客名簿は3000人超、イタリアのマエストロも、何人かは足を向けては寝れないはずであります。当店のお客様の中にも同店のお客様であったお客様も多く、豪快な本城さん伝説で盛り上がることもしばしばであります。

また同店運営の傍ら、荻窪で、塩分控えめ、油も新鮮な、毎日食べられる醤油ラーメン店を開店、その後も葉山で、日本には9台しかない、ナポリの一子相伝の窯職人、エルネスト製作の窯(ちなみに日本第一号窯は高橋の銘店ベラ・ナポリ)が鎮座したピザ店を開店される等、こだわりは熱くて厚く、もう70歳前後かとお察しいたしますが、今もお若くエネルギッシュにお過ごしになられていると思います。

お話をお聞きする分には楽しいのですが、ご苦労も絶えなかったようで、イタリア中を歩き、サルトを発掘し日本に紹介、手間暇かけて育てても、人気が出ると、先方の性格が変わったり、大手品揃え店にさらわれれたり、という繰り返しで、まさに「賽の河原の石積み」。怠け者の店主ですと、1、2回はともかく、2、3回続きますと止めてしまうところでありますが、そこは「燃える闘魂」、熱量が違うわけであります。現在品揃え店は、現地と直接やり取りされているところは少なく、多くは既に人気の出たブランドの、日本の代理店を通じての仕入れ(まあそうせざるを得ません)が中心と聞いていますし、直で開拓されていらっしゃるお店も、そのブランドが大手にさらわれるほど、有名になった話は最近はあまり聞きません。当時はクラシコイタリアの黎明期であったとはいえ、もうピッティのようなお店は出ないような気がしており、今更ながら日本の銘店、忘れてはいけないクラシコの聖地のような気がします。

ということで下の写真のデッドストックのジーンズで、このジーンズ、そのピッティ・コレクションの別注品であります。CLINTと彫られていますが、その由来は、「やっぱりアメリカやろう、アメリカやったらクリントイーストウッドやろう」、ということでついたらしく、だったらスティーブ・マックイーンでSTEVEじゃないかなとも思いますが、それはともかく、なんでアリゾナなのかわかりません。もちろん、made in Italy (クリントなのに)、それも某有名ジーンズメーカーと同じ工場でつくられた品で、「501の、左足がよれてくるのと、太っといのが気に食わないので作った」という、501フリークのどこか逆を行くような、オーナーの気概満載の、熱いアイテムです。サイズ44-50、価格も1万円台前半。年配のお客様はクラシコ黎明期の当時を今一度お感じいただければ、お若いお客様はかつて日本にあった銘店のそんな気概を体感していただければ幸甚です。折角ですので、この際大人買いで、2年ごとぐらいで1本ずつ下ろしていって、これは何年物、これは何年物と経年変化、また太った時用、痩せたとき用と、バーティカルなご準備等も大歓迎です。かつてあった日本のクラシコの聖地、ぜひとも風化させることなく、ご子息に語り継いでいっていただきたく、何卒よろしくお願いいたします。紙つきのデッドストックです。在庫限り‼(くどい)。

大変恐縮ではありますが、当店、クレジトカードに対応できておらず、もし何かお買い上げいただける場合は現金決済となってしまいます。ご不便おかけいたしますがご容赦いただきますようお願い申し上げます。また不定期営業であり、倉庫や自宅にて保管し店舗にない商品もありますので、原則予約制とさせていただいております。すでにお買い上げいただいている場合もありますのでお手数おかけしますが、ご来店の際はメールか電話にてご連絡いただきますようお願いいたします。店主の予定がなければ土曜日曜祝日を問わず、また夜間についてもご対応させていただきます。ナポリの名店マリネラを真似てコーヒーをご用意しお待ち申し上げます。よろしくお願いいたします。*当店につきましてはこちらこちらも読みいただければありがたいです。*コーヒーのご提供につきましてはコロナ蔓延を鑑み、現状自粛させていただいております。