こんにちはTango245です。
日本は息の長い靴ブームが続いていますが、それを引っ張っているのは、英国靴ではロブ、クレバリー、エドワードグリーン等で、イタリア靴では、ガット、ラタンジ、ステファノベーメル等かと思います(個人の感想です)。ですがこの靴ブームの火付け役を遡ると、89年11月1日号のブルータス「靴だけは英国靴に限る、という人が多い」だったと思います。
この特集の表紙を飾っているのは、ロブでもエドワードグリーンでもなく、ポールセンスコーンの靴でありました。その後30年近くの年月が経った現在、このポールセンコーンは、上記の2ブランドに比べ日本での評価は低く、一般的にはあまり注目されていないかと思います。
ポールセンスコーンについて当時から言われていたことは、世界最古の靴メーカーであること、1972年にニュー&リングウッドに買収された、ということで、そのニュー&リングウッドは、ジャーミンストリートに店舗がありますが、それよりも1865年創業で、イギリスの名門イートン校ご用達の用品店ということで、昔は押し出し感がかなり強いものがありました。
ということで店主も渡英の際に行くべき店舗の最前列に位置する店の一つでありました。しかしながら実際92年に訪問したのですが、それほどのインパクトはなかったのを憶えています。日本にもよくある学校指定の洋品店みたいな感じでした。とりわけ期待が高かった二階の靴売り場ですがなんらオーラを感じられませんでした。後で聞くところには、91年に経営が変わり、靴はリーガルが製造したりしていたりもしたそうです。またシューソックスもニュー&リングウッドの表記がメインでポールセンスコーンの表記は小さく、同ブランドの立ち位置も少しわかりずらかったのが影響したのかもしれません。とにかくその後は名前を聞くことは少なくなっていったように感じます。
そんな不遇なポールセンスコーンですが、非常に美しいシェイプをもったビスポークの品に時々出会います。革の質感、ウエストの切込み、小ぶりなヒールにフィリップズスペシャル、マイナスビスのヴィンテージスチール、どう見てもただ物じゃない逸品です。なぜこういうのが埋もれてしまっているのか、日本のサイト等では上段で書いたような記述しかなく、よくわからないので海外のサイトをいろいろ徘徊してみました。するとその昔、ジョージとアンソニーは独立前、ジャーミンストリートのニュー&リングウッドの二階で働いていた、というのが出てきました。(ほんまか、と)
いや、そうは言ってもジョージクレバリーが独立したのは確か1958年のはずなのでそれが本当なら60年、あるいはそれ以上前の靴になり、さすがにそれはどうかとも思いますし、そうだとしてもポールセンスコーン買収前になるのでシューソックスにポールセンスコーンの表記はないはずですし、そもそもジョージクレバリーは独立前の約40年はタックゼックにいたことになっているわけですから、それは違うんじゃないかとも思います。(とはいえ、実際はニュー&リングウッドの表記のみでポールセンスコーンの表記がないシューソックスもありますし、クレバリーがクレバリーを立ち上げたのは確か70歳の時なので、38年間タックゼックにいたとしても、彼の経歴がそれで埋まってしまうわけではありません。)
ですが、前述したように同ブランドの古い靴の中に非常に美しいものがあるのは事実なので、もしかすると、ニュー&リングウッドにいたのは、ジョージとアンソニーではなく、グラスゴーとカネラだったのかもしれません。実際クレバリーは1976年に閉店しています。なので閉店後、一旦ニュー&リングウッドにいたものの、91年にニュー&リングウッドの経営方針の変化に嫌気がさし93年に再度クレバリーを立ち上げた(歩いて5分ですし)と考えてもとりあえず違和感はありません。
話が二転三転しすみません。とはいえ時々見る古いポールセンスコーンのビスポーク物、別にクレバリー製でなくてももう少し評価されていいような逸品だと思います。次回渡英の折にはグラスゴーに直接聞いてみようと思っておりますが、どなたかご存知ないでしょうか?ご教授いただければありがたいです。
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