こんにちは、Tango245です。
突然ですが人は一人では生きて行けません(いきなりすみません)。家族や友人、恋人、上司や部下の励ましやサポートの上になんとか成り立っているようなものであります。そしてこの励ましやサポートは、人に限ったことではなく、自分の持ち物にも当てはまると考えています。自分の愛車やスーツ、靴や鞄が、難局を切り開いてくれることもしばしばあります。店主も何度となく助けられてきました。
20代後半の頃は外資系企業に勤務しており、生意気にもマセラッティで通勤しておりました。当時のマセラッティは外見は地味で、一見うるさい国産車という感じでありましたが、内装は最高で局地的に人気がありました。ですがその一方で都市伝説満載で、「壊れる」というのはもちろん日常ですが、「ハンドルを右に回すと左に曲がる」、「ローに入れてクラッチつないだらたまにバックする」、「ボンネットが高速でせりあがる」等がまことしやかに語られており、その非常に魅力的な内装から一度は乗りたいと思う逸品である反面、絶対に近寄ってはいけない存在でありました。
公用語が英語という日本の企業もある昨今ですが、当時は英語が片言でも外資系に採用された時代でした。店主もそれほど英語が話せたわけではなく、それでも社内では日本語で事足りたので何とかなっていましたが、外国人ばかりの何日間か缶詰めのセミナーに出たりするときは大変です。仕事は専門用語が多いので何とかなるのですが終わった後の食事等では、英語が喋れないと本当にきついものがありました。実際日本人の評価も微妙でしたからなおさらであります。それでもしゃべれないものはしゃべれないので黙ってやり過ごしていると、当時はだいたい車の話になって「何乗ってる?」となり、(順番なので日本人にも一応聞いてやるよと)自分にも聞かれるので「マゼラーティー」と答えると、そのテーブルは空気がかわり、あとは都市伝説の真偽の程の質問攻めにあう展開になりました。マセラッティの都市伝説は万国共通のようでした。それで「真面目な、つまんない日本人」から「ネジの外れた、いかれた日本人」に評価が変わり、それを誰かが勝手に宣伝してくれるので翌日以降のそのセミナーでは会ったこともない人からも食事に誘われるようになりました。食事で聞かれることはマセラッティの都市伝説に決まっているのできつくも無く、むしろ発音やテンポ、いいまわしに注意して話すようになり英語も少し上達したと思います。そのうち調子に乗って「ユーはそれでもイタリア人か?ドイツ人じゃないのか?」と説教を始める始末でありました。自分は英語もろくにしゃべれないダメな人間のわけで、まさに「マセラティ様様」なわけです。マセラッティでこうですから、ランチアテーマ832の都市伝説はさらに上を行きますし、フェラーリに至っては当時は言うに及ばず(走らないのが普通)でした。
服や靴、鞄も同様かと思います。イギリス紳士はみんなお洒落に見えますが、よく見るとそういう人は一部分で多くの人は「まったり」としているのがわかります。大体は靴はチャーチが、シャツはピンクが最高峰と思っていて、「チャーチは無理だけどピンクのシャツはセールで買ったのを何枚か持ってる」という人が一般には多かった気がします。クレバリーを知っている比率は日本人のほうが圧倒的に多いと思います。何もビビることはありません。まあイギリスは階級制度が効いていて、分不相応な買い物はしないし、できないのかもしれません。そういう状況の中で、カラトラバをはめ、ビスポークの靴とスーツでロンドンの本社に行ってましたので、もしかしたら、一部の人に大きな誤解を与えてしまったのかもしれません。皆さん優しく食事にも家にも誘っていただきまして、当然そこでは車の話にもなりますので、都市伝説の解説を披露させていただきくと、スーツや時計と相まって仕事が楽に進みました。
またホテルでの扱いも変わります。香港のマンダリンホテルでは、何度か部屋でチェックインさせていただきました。暑い中、白人の皆様が列に並んで順番を待っているにもかかわらず、黄色人種の自分が入り口で声を掛けられ、そのまま部屋まで案内されそこでサインをしチェックインを済ませました。よくいる小柄な日本人なので、短パンTシャツの白人の皆様はかなり不愉快そうでした。ちなみに自分は香港では麻のスーツにエルメスのビンテージのトランクケースが定番でした。
このように逸品には持ち主を助けたり気分を良くさせる不思議なパワーがあります。購入するために頑張る、購入して満足する、見て楽しむ、時々使って楽しむ等、逸品にはそれだけでも多くの効用があると思いますが、本当の楽しみは、これらの品々を使い倒して、そのブランド力にあやかることではないでしょうか。幸い日本は、本人が気にしなければ何でも買えます。会社員が、ヘンリープールやクレバリーでスーツや靴をビスポークで誂えることも可能ですし、フェラーリやロールスに乗ることも可能です。階級制度が根付いている欧州の一般の会社員はそんなこと考えもしないでしょう。運送のバイトでフェラーリ買うなんてイタリアではありえないと思います。であればこの際この日本の特権を満喫し、開き直ってアホアホな楽しい人生を送ってみるのはどうでしょう。当店には皆様の人生のサポートができる、それでいて、やりすぎ感、頑張っている感のない品を数多くご用意しております。皆様のご要望に応じて見繕いますのでぜひ何なりとお申し付けください。
大変恐縮ではありますが、当店は不定期営業で、また倉庫や自宅にて保管し店舗にない商品もありますので、原則予約制とさせていただいております。またすでにお買い上げいただいている場合もありますのでお手数おかけしますが、ご来店の際はメールか電話にてご連絡いただきますようお願いいたします。店主の予定がなければ土曜日曜祝日を問わず、また夜間についてもご対応させていただきます。ナポリの名店マリネラを真似てコーヒーをご用意しお待ち申し上げます。よろしくお願いいたします。