アイリッシュリネンのスーツ

こんにちは、Tango245です。
これまで、時代や友人、家族に恵まれて、「着道楽」、「食い道楽」、「車道楽」に溺れてきた店主ですが、車と食は先行きに悲観的になってしまっているものの、着道楽についてはまだまだ楽しみがあるんじゃないかと考えていて、いいものを少しずつ揃えてくのは如何でしょうか、それが英国でいうグッドインベストメンツというものでは、というようなことをここ何回かのブログで書かせていただきました。(文章長すぎ)

それで、そのグッドインベストメンツとして、ヘンリープールやアントニオパニコ、ガット、パリロブ、クレバリー、フィノッロ、シニスカルキ等々のサルトや工房を挙げておりますが、さらに突き詰めていくと、上記のサルトや工房製の「アイリッシュリネンのスーツ」、「ビキューナ100%のコート」、「ロシアンカーフの靴」が究極の三品になるかと思っています。それで今回のブログを含め、都合三回でこの三品の自分なりの勝手な解釈を書かせていただこうと考えております。

今回は「アイリッシュリネンのスーツ」です。店主は麻の素材が大好きで、似合いもしないのに性懲りもなく麻のスーツを仕立てたりしてしまいます。麻のシャツは言うに及ばず、下着やハンカチ、枕やベッドカバー、鞄、かつては野球のユニフォームまで麻で作っておりました。基本的に麻なら何でも好きなのですが、別格に好きなのはアイリッシュリネンです。

ですが本物のアイリッシュリネンは絶滅状態で、量産品で謳っているアイリッシュリネンは「なんちゃってアイリッシュリネン」になります。本物のアイリッシュリネンの詳しい解説は各種サイトにお譲りしますが、本物は独特のヌメリ感と肌触りがあり、醸し出される存在感、オーラが圧倒的に違います。当店にも「本物」と「なんちゃって」がそれぞれあり、「なんちゃって」もいいものは単独で見ると悪くないのですが「本物」と比べてしまうと残念ながら負けてしまいます。「知らなければ良かった」の好例であります。それでこの本物のアイリッシュリネンで誂えるビスポークスーツを究極のグッドインベストメンツの一つに考えております。ロットでは絶滅状態ではあるのですが、着分単位程度であれば、時々デッドストックに出会うことができます。まだ買える値段だと思いますので、あれば抑えられた方が、と思っています。

麻は耐久性もありますし、水洗いもできます。経年変化も楽しめます。耐用年数は軽く50年はあると思うので、マージン多めに確保して仕立てておけば、お孫さん、あるいは曾孫さんの代まで引き継げるのではないでしょうか。「この膝のかけはぎは爺のパパが昔ジョージアンクラブというフレンチの階段で滑ったときのものらしい」、「この焼き焦げはおじいちゃんがモナコのカジノで、熱くなってつけてしまったコヒーバじゃ。もう時効じゃ」、「曽おじいちゃんはもったいなくてほとんど着てなかったみたいじゃ。なのでおじいちゃんが着倒していい味出してやったんじゃ」とか。2代3代と物語を紡いでいってください。仕立てはフェリーチェが元気なうちにコスタンティーノにお願いされましたら如何でしょうか。

なお大変恐縮ではありますが、当店は不定期営業で、また倉庫や自宅にて保管し店舗にない商品もありますので、原則予約制とさせていただいております。またすでにお買い上げいただいている場合もありますのでお手数おかけしますが、ご来店の際はメールか電話にてご連絡いただきますようお願いいたします。店主の予定がなければ土曜日曜祝日を問わず、また夜間についてもご対応させていただきます。ナポリの名店マリネラを真似てコーヒーをご用意しお待ち申し上げます。よろしくお願いいたします。*当店につきましてはこちらこちらこちらもお読みいただければありがたいです。