こんにちは、Tango245です。前回のブログで、当時のイタリアオーダー旅行で行程について少し書きましたが、今回はスーツのオーダーについて書かせてください。店主はスーツはこれまで30着程仕立てております。当時の流行りもありましたが英国的なものは少し堅苦しく感じていたのでイタリア物が中心でした。ミラノでは当時はまだミラノにあったイプシロン、サンバビラ広場の一等地にあったカンパーニャ、ローマではカラチェニから独立したマテウッチ、ナポリではスカルピーノ(コスタンティーノ)、アントニオパニコといったところです。アットリーニ、リベラ―ノ、キトンあたりは既製品(既製品といっても高額で、むしろ上記のサルトより高額だったような)を買っていました。
オーダー品の出来が素晴らしいかというと、実際は何とも言えません。もちろんバチっといいのが出来てくる場合もありますがそうでないこともあります。サルトとのコミュニケーションが必要ですし、我々日本人との嗜好の違いもあります。彼らの感覚で縫上がってくると「うーん」となることも多々あります。また数着同時に同じサルトで頼み、出来上がりの違いに驚いた(それはそれで楽しいのですが)こともあります。同時でこれだけ違うなら「前回と同じで、、、」は通用しないなと思いました。そもそも手足の長さ、肩や胸回り、肘、お尻の感じも欧米人とは違いますので、仕立てるほうも経験がないと難しいと思います。彼らも着物はどこか似合いませんからその裏返しでしょうか。
またあまり言われていないとは思うのですが、仕立てたスーツは体型の変化の許容範囲が既製品に比べ狭いように感じます。少し痩せたり太ったりすると割と気になります。もちろん直してくれますが有料です。ばらすのが大変らしく結構高いです。昔は無料でした。それ(直しは無料)が「(はじめは高いけど一生付き合える)オーダーの魅力」と雑誌には書かれていました。
よく「家は3回建てないと満足いくものは建てられない」といいますが、スーツも定期的に数着は仕立てていかないとオーダーの勘所はわかってこないと思います。今はだいたいどこも一着50万でしょうか。春夏5着、秋冬5着の計10着で500万。割と馬力要りますよね。バブルの頃のジョークにこういうのがありました。「フェラーリを持っていて一番幸せな時間は?」と聞かれ、「買った時と売った時」。オーダースーツの場合は「待っている時」、ですかね。
とはいえ、オーダースーツは楽しいものです。慣れてくれば打率上がります。何より重厚なサルトは空気感が違いますし、普段会えないような人が時々いて、サルトを通して共通の友人ということで、コーヒー飲みながら気さくに話してくれたりします。まだ体験されていない人は(最初の期待値をあまり上げないところから)ぜひ始めて見てください。当店には、上記のサルトや既製品のスーツが44-46サイズを中心に、常時20-30着置いてあります。オーダーのとっかかりにでもしていただければ幸いです。
大変恐縮ではありますが、当店は不定期営業で、また倉庫や自宅にて保管し店舗にない商品もありますので、原則予約制とさせていただいております。またすでにお買い上げいただいている場合もあるかもしれませんのでお手数おかけしますが、ご来店の際はメールか電話にてご連絡いただきますようお願いいたします。店主の予定がなければ土曜日曜祝日を問わず、また夜間についてもご対応させていただきます。ナポリの名店マリネラを真似てコーヒーをご用意しお待ち申し上げます。よろしくお願いいたします。