こんにちは、Tango245です。
最近、カールフロイデンブルグの問い合わせを、ポツポツいただきます。「なんであるんスか?」、「革のみで売ってもらえませんか?」、「そんな古い革で大丈夫ですか?」等々です。「当店、別注靴用にカールフロイデンブルグを在庫しております」とインスタグラムやブログにて書かせていただいた関係からかと思います。
カールフロイデンブルグは、ドイツのタンナーでボックスカーフが有名ですが、環境規制があって2000年頃に廃業してしまった企業であります。個人的には数年前という感じですが、かれこれ20年が経過しているとは、光陰矢の如しであります。昔の雑誌でタンナーの紹介記事が時々ありましたが、カーフでは、カールフロイデンブルグがやはり別格で、他は1ノッチか2ノッチ落ちるというような感じを、当時、その行間から受けたものです。同社は、品質を維持すると環境規制には適応できないということで廃業されたという、いかにも我々が感じる、ドイツの原理主義的決断を選択されたわけでありますが、その一徹さが、製品の品質を担保してくれているようで、今の時代、逆に安心感があります。また、一枚革の状態で見ると、(もちろん上質ではありますが)それほどの雲上感はなく、「まあこんなもんなんかな」という感じでもあるのですが、製品になって磨くとやはり雲上です。店主は、靴磨きに関して素人ですし、ワックスは使わないのですが、それでも差は歴然です。
最近は世界的に環境面の規制が厳しいようで、多くのタンナーが廃業しているようです。環境規制は域内で一律か少なくとも同一国内では一律のはずなので、規制をクリアーしながら、品質を維持するのは、孤高の存在のカールフロイデンブルグができなかったわけですから、他のタンナーもそう簡単ではないと思われます。カールフロイデンブルグから派生したタンナーもありますが、品質が担保できるのなら何も本家が廃業する必要はないわけですし、規制のない(なかった)よその国で始めるのも「何だかな感」があり、突き詰めていくとなかなか難しい問題があるように感じます。当時規制がなかった国でも、その後約20年経っているわけですから、それなりに強化されているのではないかと思います。(未確認です。)
また製造工程もさることながら、素材の枯渇も深刻だと思います。一昔前は、車の本革シートは、標準装備は外車の超高級車に限られ、高級車でもオプション設定でありました。それがいつの頃からか、国産の中級車でも上級グレードで標準装備されたりし、家具にも頻繁に使われるようになりました。これが中国や東南アジア諸国の生活水準の向上と相まって、需要は増大しておりますので、これもなかなかに難しい問題であります。某大手自動車メーカーは、革シート用に牧場?を運営しているという話も聞いたことがあります(未確認です)。資本の論理から言って、自動車メーカーが乗り出して来ていると、ビスポークシューズ業界どころかシューズ業界にとって、質よりもまず量の確保が先決といったレベルになるのではないか、とも思います。
別に店主がこういったお話をするまでもなく、皆様もすでにモヤモヤと思っていらっしゃるので、カールフロイデンブルグについてのお問い合わせをいただけているのかもしれません。すでに数をお持ちのお客様は、せっかく作るならカールフロイデンブルグを、ということなのかもしれません。20年近く、あるいはそれ以上経っていて耐久性のご心配もあるかもしれませんが、それにつきましては70年代のビスポークシューズを、使用頻度が同等の現行の上級ブランドと比べてみると、よくわかります。どれくらい履くかにもよりますが、20年前のデッドストックの革で作ってもそれからお孫さんの代ぐらいまでは多分大丈夫なんじゃないでしょうか。(未確認です)
今は有名どころの工房さんでも、お手持ちの在庫が減ってきているようで、中でもブラックは絶滅寸前とも聞いております。幸い当店には、ダークブラウン、ワイン、ブラックと微妙な違いを含め、まだまだ相応の在庫がありますので、ご検討の一つにでもお考えいただければと存じます。また別注靴のほか、同社の革を使用したベルトや財布の既製品も結構在庫しております。ベルトはロシアンカーフの時と同様、長めのサイズをご用意しておりますので、キーリングや靴ベラ、場合によっては時計のベルトにも応用可能かと思います。併せてご検討いただければ幸いです。
大変恐縮ではありますが、当店、クレジトカードに対応できておらず、もし何かお買い上げいただける場合は現金決済となってしまいます。ご不便おかけいたしますがご容赦いただきますようお願い申し上げます。また不定期営業であり、倉庫や自宅にて保管し店舗にない商品もありますので、原則予約制とさせていただいております。すでにお買い上げいただいている場合もありますのでお手数おかけしますが、ご来店の際はメールか電話にてご連絡いただきますようお願いいたします。店主の予定がなければ土曜日曜祝日を問わず、また夜間についてもご対応させていただきます。ナポリの名店マリネラを真似てコーヒーをご用意しお待ち申し上げます。よろしくお願いいたします。*当店につきましてはこちらとこちらも読みいただければありがたいです。