こんにちは、Tango245です。
当店スーツや靴のみならず、ネクタイにもこだわって別注品を企画しておりまして、その中で本日はネクタイに使用する生地について書かせていただきます。当店が扱うネクタイの生地は、一部リネンやプリント柄も使いますが、基本的にはシルクのジャガードであります。理由は持った時の質感と織り特有の裏側の妙であります。
まずは質感についてですが、プリントではどうもペナペナして、持った時のしっとりとした感じを出せない気がしています。最近のプリントネクタイを百貨店とかで見てみると、有名ブランドのものでも薄いというか硬いというか、どこかチープな感じでがしてしまうのであります。(個人の感想です)
もう一つは、織った裏側の模様です。店主は20年ぐらい前にナポリのマリーノの工場に行って、その膨大な生地のストックを見せてもらったことがあるのですが、その時感じたのが裏側の美しさでした。生地は当たり前ですが表側を内側にして巻かれてストックされているわけで、まずはその裏側が目につくわけです。で、これがなんとも美しく、規則的ではありますものの、ポロックやバスキアを彷彿とさせるものを感じました(いいすぎです)。で、それらの「表側はもっと美しいに違いない」と思ってめくってみると、なんとも拍子抜けで「普通やん」と。「神は細部に宿る」と言いますが、この普通な柄を折るために、こんなにも多くの色の糸が頑張っているのかと、考えさせられました。この裏側をフューチャーできないものかと思ったわけです。
ということで、20年前の想いをぶつけるべく、当店の別注ネクタイは生地の裏側が主役であります。生地屋さんには表地は地味で裏側がビビッドな生地ありませんか、と意味不明な誰もしないようなリクエストを出して、いくつか見繕ってもらったのですが、そもそも目的と順序と結果が逆なので、もっといいのないかな、と泥沼にはまってしまったのですが、そのうち、当方の意図をご理解していただいたようで、生地屋の社長さんから「じゃあ俺が、裏側ファーストの生地織ってやる」と言っていただきました。当方としては表地と裏地の色の出方の関係がわからないので、この道何十年のプロの方に、お願いしてしまった方が心強いので、とりあえず20本分お願いし、出来上がったのが写真の生地です。いかがでしょうか、表側はよくある地味な柄ですが、風が吹けば目立つはずです。
今回、店主も裏側の糸の出方を研究できましたので、次回ロットは、専門家にも引き続きお願いする一方で、こちらでも企画してみようと考えております。そんなこんなで、昨今は締める機会がなくなって肩身の狭いネクタイですが、毎日でも締めたくなるような、毎日スーツを着たくなるようなネクタイをお届けしていきたい、と考えております。ぜひこのネクタイでアニエッリよろしく「風を愛し」ながらお過ごしください。14ピエゲやルロルタージュ等、仕様にもこだわっておりますし、無地もご用意しておりますので、よろしくお願いいたします。
今回の20本は、同じのが2本、色違いで2パターン、5種類の限定販売となります。当店、ブリオーニやタイユアタイの新品ネクタイを1万円で出している中、別注ネクタイは、18,000円と暴挙のような値段設定ですが、生地屋の社長さんからは、「それでそんな仕様でいくらで売るん?」と聞かれ、「(18,000円とは言えず)2万円で」と言いましたが、「それは道楽超えて、慈善事業やな」と言われております。年度内はこの値段で頑張りますが来年度はこの価格では無理と思われ、価格上昇で次回以降のロットを出せなくなれば、この仕様は絶滅してしまいます。気に入っていただける柄がもしありましたら今年中にでもよろしくお願い申し上げます。同じのを二本お買い上げ(昔の雑誌のような)いただければ、世界でお一人となり、他の方と世界中どこにいっても被ることはないと存じますが、当店といたしましてもそんな男前なお客様には感謝感激ですので、僭越ながら同柄のチーフをお付けさせていただきます。重ねてよろしくお願いいたします。
大変恐縮ではありますが、当店、クレジトカードに対応できておらず、もし何かお買い上げいただける場合は現金決済となってしまいます。ご不便おかけいたしますがご容赦いただきますようお願い申し上げます。また不定期営業であり、倉庫や自宅にて保管し店舗にない商品もありますので、原則予約制とさせていただいております。すでにお買い上げいただいている場合もありますのでお手数おかけしますが、ご来店の際はメールか電話にてご連絡いただきますようお願いいたします。店主の予定がなければ土曜日曜祝日を問わず、また夜間についてもご対応させていただきます。ナポリの名店マリネラを真似てコーヒーをご用意しお待ち申し上げます。よろしくお願いいたします。*当店につきましてはこちらとこちらも読みいただければありがたいです。