鳥肌が立ったジャケット

「止まらない雨が、恋が降らせた雨が、、」、こんにちは、Tango245です。久保田利伸、格が違いました。この流れで、年明けスキマスイッチ、山崎まさよしと行ってきます。

さて、現在店主が保有しているジャケットやスーツ、店舗と自宅にあるのが約100着、過去の断捨離で処分したのもそれぐらいあるとして約100着、合計200着ぐらい買った計算になります。試着のみで買わなかったのは、まあその何倍かあるかと思いますので、ざっくりですが1000着ぐらいは試着していますでしょうか。「いいかも」と思って、ちょっと手に取ったものはまたこの何倍ということになるかと思います。(少し盛っているかもしれませんが、30年強、スーツ着てますんで数はこなしております。)

実際に買った200着は「欲しい、買う」と思ったわけですし、今もある100着は、さらに「いい」と思っているわけですが、そのなかで「これは凄いな」と思っているのが20着ほどあり別格で、その、そのなかでも5着が別格中の別格で、その、その、そのなかで別格中の別格の別格(くどい)が1着あります。割と最近に購入した、61年製のアンダーソン&シェパードのジャケットであります。

61年製なので自分が誂えたものではありません。状態は超ミントで着用の形跡が見当たりません。半世紀以上眠っていたということになりますが、これ着た時、鳥肌が立って、その後涙が出て来ました。たかが洋服、ジャケット羽織って泣いているわけですから、本当に世話ないです。着心地とかはもちろんいいんですけど、なにかこう静かに包み込んでくれる感じが違うんです。「あんまり無理すんなよ」って。

個人的にはですが、フェラーリの「(車が)もっと踏んでみろ」と言ってくる感じ、ロールスのあの細いハンドルを回して遊びが無くなる一瞬に全てのメカの連動があの細いハンドルに戻ってくる感じと回すの止めた時に少し行き過ぎるタイムラグの感じ、アンリジャイエを口に含んで、口が閉じられず開けたまましばらく沈黙してしまう感じ、ジャンボさんの宮崎のフェニックスで大逆転優勝につながる十七番か十八番のロングで2オンした第二打のドローボールの弾道の感じ、長野オリンピックで金メダルを取った清水宏保選手のレース前の空気感、こう言ったものとどこか共通する感覚であります。

セビルローの仕立て屋といえば、ヘンリープール、ハンツマンと、このアンダーソン&シェパードが有名ですが、日本人的には、ハンツマンはどこかがっしりしすぎ、というイメージで、その対極にあるアンダーソン&シェパードに仕立てやすいイメージ、またヘンリープールには白洲次郎氏のお気に入りだったということもあり、憧れがあるかと思います。店主も、ヘンリープールとアンダーソン&シェパードでは仕立てております。(ハンツマンは当店にも数点ありますが、実際は意外と柔らかいものも多いようです。)

それでヘンリープールで仕立てたスーツには感動していまして、上述した別格中の別格の5着に属しています。ですがアンダーソン&シェパードで仕立てたスーツは残念ながら、その5着にも、また別格の20着には入っておりません。もちろん嫌いじゃないんですが、期待値が高かった点、また同時期にビスポークしたヘンリープールと比べてしまう点が影響してか、少し残念な結果となってしまっています。(個人の感想です。)

羽織って涙が出るようなジャケットなんて人生でそうそうあるものではありませんし、繰り返しですがたかが洋服、そんなんでいちいち泣いていたら泣き虫になってしまいますので、それは別格(の別格の別格)としても、モヤモヤ感があるのは、この61年製のジャケットと自分がビスポークしたスーツの間に共通したサムシングが感じられないことであります。例えばカンパーニャとカラチェニのスーツには、何となく同じ空気感が感じられると思います。そういう何となくでも同じ空気感みたいなものが、このアンダーソン&シェパードの二つには感じられないのであります。自分が仕立てたスーツの方が、(新しいですし多分高いですので)より魅力的であれば気にはならないと思うのですが、古い物、しかも61年製の方が魅力的であるわけですから、モヤモヤ感、ザワザワ感、「すれ違いは否めない」です。流行りなのか、断絶なのか、否定なのか、技術なのか、客で区別しているのか、、、。難しい問題です。まあバット長く持ってヤマ張って振り回していますので、ホームランもあれば凡打もあります。下手なのでバットも折りますし、ぶつけられることもあります。打席に立っている以上しょうがないですね。これからも「やれるだけ頑張って」みます。(森とか柳田はすごいですね。)

大変恐縮ではありますが、当店、クレジトカードに対応できておらず、もし何かお買い上げいただける場合は現金決済となってしまいます。ご不便おかけいたしますがご容赦いただきますようお願い申し上げます。また不定期営業であり、倉庫や自宅にて保管し店舗にない商品もありますので、原則予約制とさせていただいております。すでにお買い上げいただいている場合もありますのでお手数おかけしますが、ご来店の際はメールか電話にてご連絡いただきますようお願いいたします。店主の予定がなければ土曜日曜祝日を問わず、また夜間についてもご対応させていただきます。ナポリの名店マリネラを真似てコーヒーをご用意しお待ち申し上げます。よろしくお願いいたします。*当店につきましてはこちらこちらこちらもお読みいただければありがたいです。