こんにちは、Tango245です。
昔の話ですが、イタリアに行くと、よくイタリア人から「お前らがよく食べている、あの黒い塊はなんだ?」と聞かれました。初めはなにを聞かれているかわからなかったのですが、どうもおにぎりのことのようで、それをアニメでよく見るとのことでありました。「それはお米と海苔と具で作ったパニーニみたいなもんで、黒いのは海藻を乾燥させて巻いてんだよ。日本人のソウルフードで、子供から政治家まで、普段もそうだけど、大事な時はこれ食べて気合い入れるんや」と説明しておりました。イタリア人は、なんか海苔の黒いのが気持ち悪いとか何とか言っておりました。フィンランドが舞台の映画「かもめ食堂」でも食堂のメインディッシュであるおにぎりはなかなかに苦戦をしています。
当時イタリアでは日本のアニメはしょっちゅう放映されていて、店主も現地で「赤き血のイレブン」を見て驚きましたし、知り合いの通訳は「うる星やつら」で日本語を勉強したといっておりました。日本を代表するアニメのうちの一つといえば「機動戦士ガンダム」、そのなかで主人公に勝るとも劣らない人気を誇るのが「赤い彗星、シャー」ということになる(個人の感想です)かと思います。このシャー少佐の本名は別にあるらしいのですが、この「シャー・アズナブル」、フランスを代表する歌手「シャルル・アズナブール」から来ているとウキペディアには書かれております。
それでこのシャルル・アズナブール、ご用達のサルトが、今は亡き、MAX・ EVZELINE(マックス・エブゼリン)であります。なのでここのスーツは赤いモビルスーツみたいなもん?です。またシャー少佐のほかにも、セルジュ・ゲンズブールもここのお得意さんだったようです。ゲンズブールといえば、あのジェーン・バーキンやブリジット・バルドー、カトリーヌ・ドヌーブ等、数々の美女と浮名を流し、「ジェーン・バーキンのどこが好きか」と聞かれ、「彼女の心の中にいる俺」と答えた、稀代の遊び人であります。フランスのビスポークスーツでは、どちらかというとですが、堅い感じの政治家やCEOはカンプスやスマルト、着道楽はチフォネリかアルニス、それが振りきるとここという棲み分けだそうです。
そんな、エブゼリンの82年製のカシミア100%のコートがフランスの細いルートから入荷しました。もちろんビスポークです。当時の価格が2ピースのスーツで通常グレードの生地で5万フラン。82年当時(バブルの前ですね)フランスフランは1フラン40円なので、当時でなんと200万、パニコのスーツが当時15万で作れたと思うので、話半分としても、もはや雲上中の雲上サルトになるかと思います。80年代半ばから円高が進んだ後、ユーロが導入され一気に反転、その後も日本はデフレ、欧州は緩いインフレ傾向で、今の価格に換算するのは容易ではありませんが、為替が円高でトータル半分、価格上昇が40年で3倍(実際は多分もっと)とすると、現存していたとしてもとても手が出ない金額になります。まあ赤い彗星のモビルスーツですから当たり前かもしれません。そのフランス人によると、クロード・ルソーとここが(「究極の三品」ならぬ)「究極の二品」と申しておりました(当店ルソーのスーツも在庫しております)。今回の商品はコートでしかもカシミア100%です。赤い彗星ファンの皆様にはマストアイテム、 アズナブール、ゲンズブールのファンの皆様もぜひよろしくお願いいたします。今年の冬は、そんな歴史を感じながら、このコートの襟を立てて、バーキン持ったパートナーとアズナブールを聞きながら、ゲンズブールになりきってお過ごしください。ちなみにサイズは44相当になるかと思います。
大変恐縮ではありますが、当店、クレジトカードに対応できておらず、もし何かお買い上げいただける場合は現金決済となってしまいます。ご不便おかけいたしますがご容赦いただきますようお願い申し上げます。また不定期営業であり、倉庫や自宅にて保管し店舗にない商品もありますので、原則予約制とさせていただいております。すでにお買い上げいただいている場合もありますのでお手数おかけしますが、ご来店の際はメールか電話にてご連絡いただきますようお願いいたします。店主の予定がなければ土曜日曜祝日を問わず、また夜間についてもご対応させていただきます。ナポリの名店マリネラを真似てコーヒーをご用意しお待ち申し上げます。よろしくお願いいたします。*当店につきましてはこちらとこちらも読みいただければありがたいです。