当店別注品のご案内

数千円でスーツが手に入る昨今、何十万円のスーツが必要なのかと言われれば、必要ないのかもしれませんし、着心地が100倍違うのかと聞かれても、明確なお答えはできません。ですが逸品には逸品のチカラがあり、店主もそんな品々に、これまで、単に元気づけられただけでなく、公私にわたり助けられてきました。皆様におかれましても、ぜひそう言った経験をしていただきたいと考えております。またビジネスマンにとってジャケットやスーツ、靴は大事な商売道具でありますので、アスリートが道具にお金をかけるように、ビジネスマンの皆様におかれましても、アスリート同様、相応のご投資はお願いしたく思っております。

とはいえ、そういった意識をお持ちいただいているお客様からは「買いたいものがない」、「値段が高すぎる」、「質が落ちた」等、ネガティブなご意見をよくお聞きします。店主もブログ等で実際にそう書いてしまっております。であれば、お客様にご満足いただける商品をこちらから出せなければ、それは「片手落ち」だろう、と感じておりました。

一方で、誠に僭越ながら、当店、商品には多少の自負を思っているのですが、売れれば無くなる運命にあります。別の人にまた大事にしていただけるのは非常にありがたい反面、手元からなくなってしまうことに対して一抹の寂しさも感じます。実物はなくなってもなにかDNAみたいなものをなんとか残せないだろうか、と開店以来、このことも考えておりました。

商品を眺めておりますと、フォルムの美しさ、素材の上質さ、縫製の丁寧さは、古いものに軍配が上がります。60年代のアンダーソン&シェパードと店主が2000年代後半にビスポークしたアンダーソン&シェパード、コークストリート時代のクレバリーと2000年代半ばに店主がビスポークしたクレバリーを比べると、正直、同じブランドなのかと悩んでしまうほどの差を感じてしまいます。またご来店いただいたお客様がなんとなくお手にとっていただける商品も、だいたいですが2000年半ばぐらいまでのものが多い感じです。こういった品々、あと10年もすれば思わぬ高値になっているかもしれない一方で、埋もれていって忘れられてしまうのかもしれません。もしそうなれば非常に残念であります。

そこで、昔の美しいシェイプ、もはや本家が作れない(作らない)なら、こちらで作ってしまおう、どうせ作るのなら本家を超えるものを、そしてお客様の人生をサポートできるようなものを、と別注品の販売を計画し、話を進めてまいりました。別注品としてそういった品の何かを継承していければ、現在の商品も心おきなく嫁がせることができますし、「片手落ち」と考えていたことにも答えを出せるのではないかと考えたからであります。

欧米では、ブランドの買収が続いております。大元は大資本なので資本効率を求めます。後継者難も深刻です。欧米にて逸品を求めるのはますます困難になるかと思います。国内の状況はどうでしょうか。海外と同様な傾向もある一方で、優秀な大学を卒業したような人達が、それも少なくない人数の人たちが欧米に渡り、非常に厳しい環境下で修行を積まれています。その想いは相当のものかと思います。この洋品の世界、そんな職人の層の厚さ、想いの強さ、(いい意味での)プライドの高さ等、今後日本の職人さんは世界を圧倒していくのではないでしょうか。当店、欧州の古い商品を販売しておりますが、新しい商品につきましては、日本の職人さんの時代だと思っております。当店では、そんな職人さんと組み、少量ずつではありますが、世界を驚かせる商品を出していこうと考えております。

 


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