「ビスポークあるあるとその折り合い、その三」

こんにちは、欧州の逸品を通して皆さまにハピネスを届けるビスポークの古着店、tango245です。

前回はなぜビスポークあるあるが起こるのかについて書きました。要するに我々(欧州の人も)とナポリのサルト、同じものは見ているのですが、見てる世界観(割引率)が違い、パラレルワールドを生きていると思うのです。ここが出発点です。またまた変な例えで恐縮ですが、クルマを買い換えた途端、その自分が買い換えた車と同じ車種を頻繁に見かけるようになりませんか。別に買い換えたからその車種が増えたわけではありません。そんなはずはありません。もともと巷を走っているその車種の数は変わらないはずです。我々に見えてなかったのではなく、我々が見ていなかっただけなのです。

それであるあるが起こった場合はどう折り合いをつけるか。その先を考えてみましょう。あくまでも折り合いで解すのでそこはご容赦ください。

1)シェイプや雰囲気はいいけどディテールが違った場合:ストレートチップがパンチドで上がったというようなケースです。工房側がこちらの要望をちゃんと聞いてくれていなかったわけですが、常連客(へのジョーク)ならいざ知らず、一見客で向こうもわざわざ揉めるようなことはしないと思いますので、どうだったかわからなくなってしまった場合、彼らのワールドで無難な選択をしているはずです。あるいは彼らのワールドで当然こうだろうと思い込み、我々の話を聞いてなかったのかもしれません。また我々のオーダーが彼らのワールドであまりに一般的でなかった場合は「本当にそれでいいのか?」と念を押してくると思うので、それがない場合は我々の要望も彼らの頭の中では彼らのワールドの範囲内かもしれません。なので彼らのワールドではそのディテールの方が一般的、あるいはそれがハウススタイルなのであれば、我々も一旦怒りを飲み込んで、再考の余地はあると言えばあります。

とはいえ特定の状況下での着用を前提にその仕様でオーダーしていた場合は痺れます。その場合は「これこれこういう理由でこの仕様を頼んだのに、、、」と身振り手振りで長々と説明し、これはこれで受け取るけどもう一足、もともとの仕様で作ってくれる?と。相手は断りませんので、その際、「悪いけど500ユーロ引いてくれないかな?」と。向こうも間違ったのは(認めないにしても)認識はしているし、早く家に帰りたいし、法外なディスカウントでなければ「わかった、わかった」となるのではないでしょうか?そして次回もその価格をお友達価格としてしまえば、一矢報えます。「わかった、わかった」となった時点でもうお友達なので大丈夫だと思います。

2)サイズが違った場合:前述のように違うワールドを生きているので、よほどの差がない限り、残念ながら言い訳になってない言い訳(これが戦略なのかもしれません)で押し切られるでしょう。その時基本はその言い訳に反応しないことです。アウェーで戦うのは不利ですし、そもそも言い訳になってないのですから、同じ土俵に立ってそれに反応すればするほど向こうのループに嵌るだけであります。むしろこちらもわけのわからない話をその上に被せて、逆に「こいつは何を言ってるんだ」と我々のホームに引き込んで訳わからなくしてしまいましょう。そうすればワンチャン、やり直してくれるかもしれません。生地が違った場合、後述のカレーパンだった場合(これは自分のせいですが)も同様であります。

とはいえ以上は対処療法に過ぎません。心を穏やかに保つには根本的な整理が必要です。一度原点に立ち返りましょう。そもそもなんで言葉もろくに話せないのに、イタリアまで行って、観光もせず、靴や服をオーダーするのでしょうか(店主の場合です)。もちろん服や靴が好きだからであります。ですがそればかりではありません。オーダーをするためにイタリアに行くこと、観光もせずにサルトに行くこと、言葉も喋れないのにオーダーすること、そしてビスポークアルアルの洗礼を受けること、それを笑いのネタにすること、、、。もしかしたらこういったことの方が楽しいのかもしれません。はい、お金と時間の無駄かもしれません。痛いは痛いですけど、人間万事塞翁が馬、お金も天下の回りもの。また稼げばいいじゃないですか。人の価値はいくら無駄使いをしたか!ですから。

それと逆にですね、オーダーした品が完璧に上がってきたとして、それもそれで小っ恥ずかしくないですか。「いつ着るねん」、「何、格好つけとんねん」と自分で思ってしまいませんか。もちろんキメる時はキメないといけません。そのために生きているのです。ですがアニェッリのように普段はちょっとハズしておくのもアリかなと思うのです。時々は少々のことは気にせず着てしまってください。怒るより落ち込むより、着倒して着倒して着倒して昇華してしまってください。すみません、あまり参考にならなかったかもですが、これに懲りず引き続き当店をよろしくお願いいたします。

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