Tango225~232、ニーディエック

ニーディエックはドイツの生地メーカーで、英国のブリスベンモスと並び、ベルベット・コーデュロイ素材を得意としておりました。ベルベットとコーデュロイはイメージがだいぶ違いますが、素材がコットンなためか、ベルベットをつくるメーカーはコーデュロイも、コーデュロイを作るメーカーはベルベットも作るようです。

一般にコットンよりウールの方が高級感がありますが、製造過程ではコットンは何かあった時のリカバリーショットが打てないためリスクが多いらしく、購入者にそういったリスクが転嫁されます。そんな構造もあってか同ブランドは迷走、中国産の廉価版も出回り、結局はスパイラルの悪循環で倒産してしまいます。その後はレダエリが買収したのですが、そのレダエリもマルゾットに吸収されています。

W126あたりのベンツの話になると、革シートよりもモケットの方が、耐久性があり、ヤレも少ないので、ある面、評価が高いのですが、560SELはフラッグシップで当然革シートも多く、モケットの500SEとかがトータルで楽しめました。恐らくこれにモケットを供給していたのが同社ではないかと考えています。同社のジャケット生地は、一時期、国内で数多く出回ったのですが、倒産後は手に入らなくなってしまっています。

コーデュロイはカジュアル、ベルベットはナローパスで、なかなか中庸がないのですが、Tango184のフランスの至宝カンプス・デ・ルカのジャケットで覆されました。コーデュロイの太畝とその感覚が、コーデュロイをカジュアルでなくドレッシーに、それでいてデニムにも合う中庸さを絶妙に醸出しておりました。

それ以降、当店、このカンプスの極太畝のジャケットを参考に、一つのテーマとして追いかけています。肩パッドはやめて、芯地も極薄の物を使用、場合によっては省いていて、生地感でドレッシーに振って、シルエットでカジュアル感を出し、ボトムはデニム前提の仕様としています。