Tango207-209、バーグドルフ

ある渡米時、フルシチョフやカストロ、アラファトも泊り、アイゼンハワーやコステロの自邸であったといわれる、ウォルドルフ・アストリアホテルに宿泊し、夜そのバーでそんなことを考えながら確か40ドルぐらいだったインシグニアを一本飲んで、次の朝、朝タクシーでプラザホテルに行こうとしたら、運転手に「歩けよ」と言われたのを覚えております。その道中(といってもプラザホテルのすぐ近く)で見つけた、バーグドルフグッッドマンであります。

「ここには入れる(誰でも入れます)だけで幸せ」という何とも言えない夢のような雰囲気がありました。子供のころデパートの特別食堂でからしの効いたハムサンドを初めて食べたような、あの感じです。むしろ何も買いたくなかったのですが、やっぱり紙袋が欲しくなり、エンジと紺のソリッドのオリジナルのタイをセール(19.99ドル、いい時代です)で、二本買って帰りました。その後バーグドルフグッドマンは、ニーマンマーカスに買収、そのニーマンマーカスもファンドに買われ、ニーマンマーカスともども利払いが嵩む中にコロナ禍でチャプター11、ウォルドルフ・アストリアもファンドを経て今は中国の国営?企業ということで、諸行無常の響きありです。

そのバーグドルフグッドマンですが、デザイナーにとっては世界一というより別格で、バーニーズやサックスはブルペンで、バーグドルフグッドマンに置くのが目標だったようです。映画の中で、ルブタンやドルチェ&ガッバーナ、アルマーニもその魅力を語っています。スタッフの給与体系も別格で、優秀な販売員は45~50万ドル稼いだそうです。ジョンレノンとオノヨーコは一度に毛皮を70 ,80着、金額にして250万ドル買ったこともあるようです。

当店にもハーフ丈のビーバーのコートがあります。程よいヤレ感で頑張っている感もありませんし、いい時代を生き抜いてきたオーラも感じます。ぜひこれ羽織ってビルの屋上で、ゲットバックかドーントレットミーダウン演って、下の通行人を立ち止まらせてください。この世はあの世までの暇つぶしなので、どうせ暇つぶすならこのコートで人生振り切ってしまってください。バブルが来れば毛皮はマストアイテム! しかもバーグドルフグッドマン! 着やすいハーフ丈! 今年の冬は寒い!です。