Tango183~189、フランチェスコ・スマルト

カンプスと並ぶ、フランスビスポークの雄、フランチェスコ・スマルトです。価格もさることながら、店に入るのにもかなりの圧力を感じます。ここもアルニスやチフォネリ同様、あるいはそれ以上に既製品を手掛けていていますが、狙いは当然ビスポークのみになります。

また同アトリエは、現在パリで工房を構える、鈴木健次郎氏がマスターカッターを務めたことでも有名ですが、同氏は「80年代のスマルトは本当に素晴らしい出来ですよ」とおっしゃられていました。このうち4品はそんな80年代のスマルトのビスポークです。生産年がすべて違いますが、同一人物のビスポークなので、一見の顧客ではなく常連さんだと思われます。常連さんには粗相ができないためか縫製も丁寧なことが多いのが特徴です。

フランスの雲上ビスポークは、政財界の要人や王族が顧客リストに名を連ねており、数は少なく価格も高いので、時折ビックリするようなネームが入った品に出くわすことがあります。楽器やスポーツ用品と違い、紳士洋品の場合はそんな品でもプレミアムはまだついていないので、これもヴィンテージ品の楽しみであります。

また2品、歴史に残る政治家が仕立てたジャケットになります。本人もさることながら、これを着てキャンプデービット等で各国の要人と会っていたと考えると、生産年と外交日程を照らし合わしたくなります。