Tango169~171、クロード・ルソー

フランスのビスポークというとあまり馴染みがありませんが、英国やイタリア同様、存在しており、フランス政財界や芸能人、中東の王侯を顧客にビスポークを手掛けています。日本にあまり馴染みがない理由は、市場が小さいということもありますが、敷居の高さと高価格が効いているのだと思います。

ブログでも「80年当時2ピースのスーツが5万フランで1フランが40円とすれば200万円」と書いていますが、当時のナポリのビスポークが10万円ぐらいだとすると、およそ20倍の価格差になり、それを輸入しようなどとはどこも思わないわけです。

そんなフランスビスポーク界の両巨頭が、政財界王族ご用達のカンプス・デ・ルカとそこから独立したフランチェスコ・スマルトであり、フランチェスコ・スマルトは、ダンディーで有名なモロッコの元国王ハッサン2世のお抱えで、カンプスもモハメド5世のご用達で、当時カンプスにいたクロード・ルソーとアンリ・アーバンが国王のメイドの部屋でスーツを縫っていたと伝えられております。

そのクロード・ルソーは、コンケープトショルダーやフィッシュマウスを一般化させた職人で、これまたブログにも時折登場するマニアックなフランス人が「スーツはカラチェニとルソーがあればもうそれでいい」と言っているほどの職人で、後年チフォネリに買収されることになります。

Tango169~171はそのルソーのビスポークで、その他にも別掲のスマルトやカンプス、アルニスやシャルベ、チフォネッリ等、当店、フランスのビスポーク物も多士済々の布陣でお待ちしております。今となってはサヴィル・ロウもナポリも同じような価格に裁定が働いてしまっていますので、同じような値段なら、フランス物に限る、という人が多くなるだろう、とも思ったりします。