Tango156~163、ブルネロクチネリ

洋服もハマると、ダルクオーレやパニコ、チャルディやセミナーラぐらいのスミズーラでないと感じがしなくなります。ですがピノノワールみたいなもので、当たればテスラの加速のようにぶっ飛べる反面、残念ながらハズすことも少なからずや。一度知ってしまうともう戻れない、「知らないほうが幸せ」の世界であります。

「知らない」方の世界でいえば、コストパフォーマンスはゼニアで、ゼニアでいいではなくゼニアがいいというアレです。ですが洋服ジャンキーにとっては、結構気恥ずかしかったり、「なんで俺がゼニア」と悶々としたりで、それでも社会復帰を目指し頑張って着ても、時々は相手がジャンキーで「なんだ、ゼニアか」と思われたりすると結構落ち込むので、世の中、どうでもいいところ、細かいところでなかなかままにならず、悩みは尽きません。

これがブルネロクチネリであればいかがでしょうか。好感度、知名度ともにゼニアよりは2ノッチ上、女性からの評価は上がること間違いなしですし、ジャンキーは直接絡めず、手を出せない領域(街の不良も「あいつはやめとけ」みたいな)なので安心して羽織れます。

名前を聞いただけでブルジョワな響きがあります。店構えもなんか違います。キトンやブリオーニについて否定的なコメントを聞くことはありますが、ブルネロクチネリの否定的なコメントはあまり聞きません。好感度は断トツでナンバーワン、アースカラーのグランディーションを普段着としてさりげなく着れば、朝のコーヒー、冬の浜辺、夕方の焚火、夜の読書等、ちょっとした生活シーンを一段上げてくれる感じです。

お約束のカシミアだと、その高級さからやり過ぎ感が出てしまい、人によっては嫌味になります。むしろ通常のウール素材が最強で、一見何の変哲もないようで、滲み出る素材の高級感と優しいシルエットがどこか上品な雰囲気をお膳立てしてくれ、ジャケットを脱ぐときに見えるそのブルネロのタグが、襟を立てたときに見えるそのブルネロの刺繍が、ダメを押してくれます。恋も仕事も、もううまくいくしかありません。

エルメスやキトンのタグより、こちらのほうがデキる選択ですね。チャンスがあれば長く着れるシンプルな物を、できればユーズドではなく未使用新品で手に入れてください。