Tango085~092、コークストリート時代のクレバリー

店主は靴の工房を2つ挙げろと言われると、ガットとコークストリート時代のクレバリー、を挙げます。

ジョージクレバリーは、40年ニコラス・タックセックに勤めた後、1958年に独立、コークストリートに店を構えますが、1976年に閉店。その後1993年に現在の場所にて再開されるのですが、これは弟子のグラスゴー氏とカネラ氏の手によるものであります。またこの76年から93年の間はヘンリープール等の別注品を手掛けたり、ニューアンドリングウッドのビスポークを製作していたようです。

コークストリート時代のクレバリーは、サムシングがあり、オーラを感じます。またニューアンドリングウッドの中には明らかにクレバリーだろうという逸品があります。93年以降のクレバリーも魅力的ですが、その雰囲気は年を追うごとに徐々に薄れていき、また製品のばらつきも大きくなっていきます。

Tango085はほぼデッドストックの状態で、50年前の靴とは思えない状態を保っております。幅広にも関わらず美しく見え、人工的でない造形美があります。逆にTango086 はかなり履きこまれているのですが、逆にそれが凄みを増しています。

Tango087は、黒と茶のコンビで、通常この組み合わせはないと思われますが、黒が少し緑がかっていてむしろお洒落です。Tango089 はモンクス、Tango090はレディースのレイジーマン、Tango091がスエードのレイジーマン、Tango086 もレイジーマンと、御大はレイジーマンがお好きなのかもしれません。

Tango092もデッドストックで、スエードとカーフの同色のコンビのレイジーマンです。閉店後、アウトワーカーとして製作していた頃の品になります。ボンドストリートの刻印があります。スエードやカーフの一色や白とか型押しとかのコンビよりも、こちらの方がいい気がします。またフルブローグが正解だとも思います。スエードで気になる甲の波打ちが、フルブローグにすることと、その部分をカーフとのコンビにすることで軽減されています。またレイジーマンだとダミーのレースを付けたくなりますが、このパターンだと付けないほうが正解に思えます。ここまで確信犯的にオーダーしておきながら一回も履かずにお蔵入り。本人と会ってお話を聞いてみたいものです。