Tango049~052、エドワードセクストン 60年代後半、セヴィル・ロウに新風を吹き込んだトミー・ナッター率いるナッターズ・オブ・セヴィル・ロウですが、トミー・ナッター自身はセールスマンで、実際にスーツを仕立てていたのは、彼の同僚であったエドワード・セクストンであります。 瞬く間に人気化し、多くのセレブリティが顧客となったナッターズ・オブ・セヴィル・ロウですが、トミー・ナッターはより大きな成功を求め、77年にキルガーに移り、既製服を手掛けようとします。一方のエドワード・セクストンは、82年までナッターズ・オブ・セヴィル・ロウを続け、その後エドワード・セクストンと自身の名前を掲げ、新たなスタートを切ります。 2015年にカノニコ主催のフィレンツェで開かれた、紳士洋品のシンポジウムで、チフォネリやパニコ、リベラーノらのマエストロが一同に集う中、英国からジョン・ヒッチコック、リチャード・アンダーソンとともに参加する等、今もなお、現役で第一線を張っております。 その彼のアイコンとなっているのは、オーソドックスな素材をベースにしたダブルの4つボタンで、これは現在においても同様で、そのシンポジウムでディスプレイされたモデルもこれでありました。 物語性を考慮すればナッターズ・オブ・セヴィル・ロウに分がありますが、技術的な習熟度や価格を勘案すれば、90年代や2000年代のエドワード・セクストンが魅力的であると思います。