日本人ですと、誂えたいイタリアのスーツの代表格は、アントニオ・パニコとヌンツォ・ピロッツィーになるかと思われますが、格上過ぎて初めから外してしまっているのがカラチェニではないでしょうか。実際、日本で流通しているほとんどはカンパーニャ買収以降の吊るしですし。
ドミニコとかアウグストとかの系譜や、アニエッリお気に入りの件は雑誌等にお任せするとして、当サイトのブログに登場する細いルートのフランス人も、「スーツはカラチェニとルソーがあればそれでいい」と言っています。店主も初めてカラチェニを羽織ったときは、一瞬でカンパーニャと繋がり、本末転倒ながら何故か感動したものです。
アトリエも荘厳で、ミラノ市内の少し北に位置するアウグストのアトリエも、カンパーニャが居ぬきで入ったサン・バビラ広場のアトリエもまるで博物館か美術館のようであります。
もともと顧客はかなり限られていたわけで、我々が接していたこと自体どうかしていたのかもしれません。トランクショーはありませんし、あっても今やそこそこの生地でも1着100万円オーバーの雲上な世界。旅費や為替の水準も勘案すると一介の服好きとの距離は遠のく一方だと思われます。カラチェニのビスポーク、手の届くうちに持っておきたい逸品ではないでしょうか。
Tango079~082はドミニコ・カラチェニ。市場に出回るドミニコは、カンパーニャ買収後の既製品がほとんどなのですが、こちらはカンパーニャが買収する前のビスポークです。Tango083~086はアウグスト・カラチェニ。表記はありませんが格子のジャケット2着はカシミアと思われます。サイズ52~54相当。さすがに年代からドミニコはプレーヤーズコンディションですが、アウグストの4着は程度もよく、気持ちよく羽織れるコンディションです。Tango088はローマのトニー&ジュリオ・カラチェニで、サイズ48相当のコットンジャケット。コットン素材がまだ生きていてこちらもおすすめです。