英国でビスポークというと、靴ではセントジェームズのロブか、かつてジャーミンストリートにあったフォスター&サン、あとはジョージクレバリ―に、スーツではハンツマン、ヘンリープール、そしてアンダーソン&シェパードになるかと思います。
店主も、ロンドンとクレバリー、ヘンリープールとアンダーソン&シェパードでビスポークをお願いしていますが、結局リピートオーダーに至ったのはヘンリープールのみであります。ほかの3つではかなり修正をお願いしましたが、出来上がりは結構哀しく、自分の体型や足型の問題もありますが、それでもガットやパニコは感動してリピしているので、納得がいかない部分がないわけではありません。
実際オーダーしたスーツや靴がどういうふうに製品になっていくのかという流れがわかってしまうと、モヤモヤした感は否めませんし、また職人の高齢化、素材の枯渇の問題等も考えると、現地でのビスポークは、価格の問題も含め、今後はより痺れる世界だと思います。
ですが、店主がビスポークした年と同じ年に仕立てられた、Tango075は、そんなマイナスイメージを一瞬に覆すほどよくできていて、そういうのに出会うと「やっぱりアンダーソン&シェパードかなぁ」としみじみ感じます。こういうのを仕立ててもらうにはお得意さんにならないと無理なんでしょうけど、でもこういうの仕立ててもらえるのなら、こちらも値段は頑張るので、ぜひともなんとかお願いできないかなと思ったりします。
お得意さんになるのはそれなりの歴史が必要でしょうし、英国のことですから一代では無理かもしれませんので、ご子息やお孫さんのための前裁きなら別ですが、ご自身となると現実的には厳しいかもしれません。であればすでに仕立てられた品で探すしかなく、もちろん未使用品がいいのですが、その分、値が張りますし、頑張って買っても、もったいなくて着る機会を逸してしまうことも「あるある」です。ガンガン着倒すことを考えると、そのお得意様に慣らし運転をしてもらったぐらいの品も好都合かもしれません。包丁やゴルフクラブも初めはプロの人に使ってもらった方が使いやすくなります。ということで当店では、単なるビスポーク品ではなく、そんなお得意さんがオーダーしたビスポーク品を揃えることにしております。
Tango071 は8ハーフ相当のロンドンロブ、黒のメダリオン付き内羽根ストレートチップで慣らし運転手前のお品になります。パリロブ寄りのロンドンロブで、ロンドンロブ特有のトゥが少しポッテリとした感じがありません。またオリジナルのシューツリーがついています。通常ロンドンロブのシューツリーは別売りで、少なくとも当時は雲上既成靴が買える値段ぐらいしましたので、多くの人は遠慮することが多いのですが、このペアには普通についており、そんなことからも品の良さが感じられます。使用頻度は半日といったところかと思います。
またフォスターの方もお得意様がオーダーしたと思われる逸品が3足あり、Tango072、Tango073はほぼ未使用、Tango074はビスポーク流れの未使用品になります。



