絵(その4、絵の値段)

こんにちは、Tango245です。
このところ絵の話ばかりですみません。絵の話はこれで一旦最後ですのでお許しください。インスタグラムの方では、秋冬物の商品紹介をさせていただいております。

普通、物には「価格の目安」があるかと思います。昨今価格の高騰が激しいビスポークの世界でも、希少な材料を使わなければ、スーツで100万、靴でも150万ぐらいまでではないでしょうか。一回の食事も、希少な食材と高価なワインさえ頼まなければ、まあ二人で10万前後で収まるのではないでしょうか。昔と比べるとずいぶんと高いわけですが、それでも(一部モーダ系の商品を除けば)4万円のスーツとその5倍の20万円のスーツとそのまた5倍の100万円のスーツを、専門家でなくとも服好きなら、タグ外しても見分けられると思います。当店のお客様なら、「秒」でわかると思います。(ワインを除けば)食事も、食べ歩きが趣味の人ならそうだと思うのです。ですが絵は20万円の作品と100万円の作品、あるいは500万円の作品を、作者や扱い業者を伏せて見分けられる人がどれだけいるでしょうか。店主はこれまで絵画を購入する際、この作品が何故この価格なのかを、素朴な疑問として聞いてきました。人気がある、芸大卒、どこどこで個展を開いた、とかいう話はよく聞きましたが。納得のいく説明を得られたことは稀でしたし、「よく聞いてくれました」と、1時間も2時間も話が止まらない人もほとんどいませんでした。(靴や洋服、あるいは料理の世界にはかなりいらっしゃるかと思います。)専門家のはずの売り手サイドでそんな感じでした。

でも、それはそうなんだと思います。(物価が落ち着いていると仮定して)今まで10万円のスーツが数年後200万円になることはまずないですし、シェフのお任せ3万円コースが数年で50万円になることもないかと思います。ですが絵画の場合は人気が出れば、数年で何十倍の値段が付くわけです。ところがその作品自体は数年前と何も変わらないわけですから絶対的な価値は変わっていません。変わるのは相対的な価値ということになります。相対的な価値を説明するには、結局、人気や流行りということになり、それを計量化するのは(今のところ)無理だろうと思うのです。

流行りというものは厄介で、いい時はいい(当たり前)ですが、ブームが去ると厳しいものがあります。そこに経済状況の悪化が加われば最悪です。「社会の中の美術」の中に、美術品の1932‐34年の2年間の下落率とその後1941年までの回復率の表があり、12人の画家が載せられています。当時超有名であったであろう12人ですが、自分が知っているのは4人です。また下落前の水準に戻っている画家は皆無で、12人の平均下落率は76%、平均回復率は52%。ほぼ戻っているように見えますが、100が76%下落して24、そこから52%回復しても36.5ですから、回復込みで約3分の1の水準になってしまっているわけです。また調査の起点は32年ですが世界大恐慌は1929年で、ちなみに29年から(この調査が始まる)32年までにアメリカ株は約5分の1に下落しています。(乱暴ですが)仮にこの調査の起点が29年で、株式と絵が連動する(実際は流動性の観点から言って絵画の方がダメージは大きいとも言えますが)と考えると、100が回復込みで7、8という感じです。しかもこれは超人気画家でかつ業者の販売価格なわけですから、バブッた絵画ほど怖いものもない感じです。

「だから別に儲けるために買ってるんじゃないんだよ、俺は好きで買ってるんだよ。」そういう人もいらっしゃるかと思います。そういう人へのメッセージではありません。当店、買い手の人の満足感に水を差すつもりは毛頭ありませんし、外野がとやかく言う問題ではありません。お正月恒例のマグロの初セリのように高値落札で業界全体が活気づき、盛り上がることは非常にいいこと(今年はシラケていた、とも聞きましたが)かと思います。ただ当店といたしましては、これまで絵に興味があったものの、不透明感満載でなかなか踏み込めなかったお客様に、お気軽にお楽しみいただけるよう、敷居を低くして、業界最高水準の透明性との下取り価格業界最低水準の販売価格をご提供し営業している次第です。「いい靴を履けばその靴が貴方をいい場所に連れていってくれる」と言われているようですが、絵画も同じだと思いますので、何かありましたら是非ご連絡いただければと存じます。

大変恐縮ではありますが、当店は不定期営業で、また倉庫や自宅にて保管し店舗にない商品もありますので、原則予約制とさせていただいております。またすでにお買い上げいただいている場合もありますのでお手数おかけしますが、ご来店の際はメールか電話にてご連絡いただきますようお願いいたします。店主の予定がなければ土曜日曜祝日を問わず、また夜間についてもご対応させていただきます。ナポリの名店マリネラを真似てコーヒーをご用意しお待ち申し上げます。よろしくお願いいたします。*当店につきましてはこちらこちらこちらもお読みいただければありがたいです。